発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第602回目は『Ergastulum』を紹介する。
『Ergastulum』は、一人称視点で展開されるホラーゲームだ。プレイヤーが探索するのは、奴隷や化物達が収容される建物の地下である。入るたびに構造が変わる、自動生成されるマップを探索し、この地下から脱出することを目指す。この世界には、光の次元と闇の次元が存在しており、世界を行き来することになる。ちなみにこの次元の行き来は「催眠術」によっておこなわれるという。
闇の次元には、化物たちが徘徊しているが、本作はステルスホラーゲーム。つまり、敵と戦う術がないのだ。ではどうするのかというと、基本的には逃げることになる。物陰に隠れるだけでなく、物を投げたり音を立てて誘導をすることで、道を切り開く。またもうひとつの手段として、プレイヤーは十字架を持っている。この十字架を掲げて光を発することで、一時的に敵の接近を止めることが可能。しかし十字架の使用には限りがあるので、ここぞという時のみに使う必要がある。またプレイヤーには正気度が設定されており、この正気度が下がっていくと周囲の景色が変化していき、敵の反応も変化していくとのこと。自動生成された見知らぬマップにて、正気度を保ちながら敵から隠れ続けるという困難なミッションを、プレイヤーは課されるのだ。
本作の世界観は、西洋と中国の民話が融合されており、過激でグロテスクな表現もあれば、湿った恐怖表現も存在しているようだ。ダンジョンなどフィールドは西洋寄りのデザインであるが、閉所になるとアジア色も感じられ、この歪さもプレイヤーの恐怖を煽るだろう。敵は14種類以上存在するといい、それぞれ特性が異なっているとのこと。中にプレイヤーをしつこく追い回してくるものも。マップは変化しても敵の特性は変化しないということを考えると、敵の習性を学習することが鍵になりそうだ。
本作を手がける個人開発者のK Monkey氏は、モバイルおよびPC向けホラーゲーム『Dungeon Nightmares』シリーズを手がけてきた。同ホラーゲームも同様に自動生成されたマップを進んでいくシステムになっており、視覚およびゲーム展開ともに先の読めず、多くのプレイヤーを驚かせ、恐怖させてきた。
なおK Monkey氏は、2017年11月に本作のKickstarterキャンペーンを実施したが、目標額が集まらず断念。それでも諦めず開発を進めてきた。今作はモバイルを選択肢から外し、PC/MacおよびXbox One向けにハイエンドホラーゲームとして開発中。ビジュアルの恐ろしさには磨きがかかっている。前作同様に、自動生成を用いた予測困難のホラー体験が楽しめるだろう。
『Ergastulum』は、PC・Mac(Steam)/Xbox One向けに2019年に発売予定だ。