気の向くままに食べ物と戯れられる『NOUR』が開発中。フードシミュレーターとインタラクティブアートが出会った実験的ゲーム

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第477回目は『NOUR』を紹介する。

インディースタジオのTerrifying Jellyfishが、PC/Mac向けに『NOUR』を開発中だ。現在Kickstarterで開発資金を募っている。同スタジオは本作について、「食べ物でプレイして、ただただ楽しんでくれ」とコメントしている。どういうことか。

同スタジオいわく、本作は「実験的なフードアートゲーム」らしい。「インタラクティブ・フードシミュレーター」とも称している。つまるところ、「食の美を探求するインタラクティブ作品」なのだそうだ。分かったような分からないような気もするが、もうジャンル名がどうとか細かい話はよそう、見た方が早い。

実にアーティスティックかつ奇妙な映像だが、Terrifying Jellyfishの説明が何ひとつ間違いではなかったような気にさせてくれるトレイラーである。しかし、ここで大きな疑問がひとつ。この作品は何を目標にプレイすればいいのだろうか。

実際のところ、本作にはこなすべきミッションも、これで終わりというゴールもない。目の前に食べ物や調理器具があり、あとはプレイヤーの自由だ。ラーメンだからといって型どおりに綺麗に盛りつける必要はない。タピオカやトーストを撒き散らしたって誰にも怒られない。挽肉機で金塊を挽いてもいいじゃないか。“ただただ楽しむ”とはそういうことなのである。

本来はDJパフォーマンス用機器であるMidi Fighter 3D。アーケードスティックと同じタイプのボタンが搭載されている

ステージ、と呼べばいいのだろうか。上のトレイラーに登場したもの以外には、弁当箱や寿司、マカロン、ジェリービーンズ、ドッグフード、ブレンダー(ミキサー)、アボカドトースト、ピザ、ドーナツなどが現在開発中とのこと。Terrifying Jellyfishによると、ドーナツではとりわけドラマチックなプレイができるそうだ。どういう意味なのかはもう考えないことにしよう。

プレイ方法は、PCのキーボードをタイプするだけ。どのキーにどういった操作がアサインされているのかは秘密で、タイプしてからのお楽しみ。Razer Chromaをサポートするため、Razer製の対応キーボードではLEDがゲームに合わせて反応する。また、DJ TechToolsのUSB MIDIコントローラーMidi Fighter 3Dでの操作にも対応している。トレイラーの後半で見られるのがそれで、16個あるボタンで本作をプレイできる。さらにジャイロセンサーが内蔵されており、本体の傾きにも反応する。

本作を開発するきっかけを得たのは、食べ物の3Dモデルを制作していた時のことだそうだ。Terrifying JellyfishのゲームデザイナーTj Hughes氏は、タピオカティーをモデリングして色をさまざま入れ替えていたところ、アート的な面白さに気付いたという。そして次にラーメンをモデリングしてTwitter上で披露すると、皆が口を揃えて「おなかすいた」と返してきたので、一体どのような色が空腹感を引き出したのかに興味を抱き、そこから発展して食べ物とアートが融合したインタラクティブな作品の制作を決意したそうだ。確かに、本作は一枚絵でもずっと見ていられる、単なる物理シミュレーターにはない美しさがあるが、こういった経緯を聞けば納得である。

本作のKickstarterキャンペーンは、本稿執筆時点で残り19日で初期目標金額2万5000ドル(約280万円)のところ1万5000ドルほどが集まっている状況だ。12ドル(約1350円)以上の出資で本作を入手できる。発売時期は2018年前半で、Steamとitch.ioでリリース予定。ストレッチゴールも設定されており、出資金額が3万ドルに達成するとTwitch APIを実装する。Twitchでの配信中に、視聴者がコメント欄に特定のコマンドを入力することで、本作を遠隔プレイできるようになるそうだ。なにも考えず、ただ食べ物と戯れるアート体験をしてみたい方は、キャンペーンページをチェックしてみてはいかがだろうか。

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