レゴ®初のオープンワールドレースゲーム『レゴ®2K ドライブ』はどのように作られたのか?開発者に訊いた

 

LEGO Group/2Kより発売中であるオープンワールドレースゲーム『レゴ®2K ドライブ(LEGO®2K Drive)』。すべてがレゴで形成されたオープンワールドを舞台にマシンを自在にカスタマイズし、一流レーサーに成り上がるゲームだ。現時点で1000種類以上のレゴブロックが使える車両のカスタマイズや、道路、オフロード、水場と走っているロケーションによってマシンが自在に変形するといった要素はまさしくレゴならではといっていいだろう。

トレイラー序盤ではロケーションによって変形する車両を確認できる。

今回弊誌では、本作の開発者であるVisual ConceptsのDavid Msika氏にメールインタビューを敢行。Visual Conceptsは2K傘下のスタジオで、『NBA 2K』や、『WWE 2K』などのスポーツゲームを多く手がけたスタジオだ。インタビューでは、なぜオープンワールドレースゲームを作ることになったのか、2K初のレゴ®作品の開発エピソードなどについてお話をうかがった。

David Msika氏


──『レゴ®2K ドライブ』は、2K初のレゴ®作品ですが、どのような作品となっているのでしょうか。また、レゴグループとはどのような形で開発を行ったのでしょう?

レゴ®は、何十年にも渡って顧客体験にイノベーションを起こしてきました。レゴ初ドライビングゲームとなる『レゴ®2K ドライブ』を第1作目として、最高品質、且つ、圧倒的なビジュアルと深みあるゲームプレイで、ファンに愛され親しまれてきたレゴゲームをさらに面白く、ワクワクする新体験に進化させていきたいと考えています。

ゲームのビジュアルデザインから詳細のゲームプレイ機能まで、レゴ®グループとは密に連携をとりながら、レゴ体験を忠実に再現できるよう細心の注意を払いました。


──レゴ®のゲームシリーズといえば、いままでアクションや、パズルなどを得意としてきました。なぜ、オープンワールドレーシングにしようと思ったのでしょうか?

開発スタジオがドライブゲームに特化していたため、レゴを使ったレーシングゲームになったのは自然な流れともいえます。複数人とプレイする従来型のソーシャル要素に磨きをかけるだけではなく、レースに留まらないプレイ体験を実現させるため、オープンワールドを導入しました。ミニゲーム、オン・ザ・ゴー・イベント、ソロでもマルチプレイでも遊べるワールドチャレンジがあり、プレイヤーはゴールするだけではなく、スキルを高めることも可能です。

さらに、『レゴ®2K ドライブ』には壮大な世界観とストーリーがあります。オープンワールドを導入することで、探検や発見したくなる衝動を掻き立て、ジャンプ、空中の操作、ブーストなど、マシンの可能性を最大限に引き出しながら『レゴ®2K ドライブ』の世界を軽快に走り回ることができます。最後に、ほかのレゴタイトルに比べ、見た目や雰囲気の差別化を図りたかった我々にとって、オープンワールドで行うレーシングスタイルは、レゴブロックの創造性や想像力を引き出す最適な要素となりました。


──レゴ®のゲームの魅力は「作る楽しさと壊す楽しさ」この2つが両立していることだと思うのですが、本作ではその魅力を詰め込められましたか。

ゲーム内で「作る」「壊す」は両方体験できます。主要な機能の一つであるガレージでは、多種多様なブロックを組み合わせ、一人一人のレーススタイルに合わせた独自のマシンが作れます。ゲームプレイ通して入手できる1,000種類以上のレゴブロックと、豊富なカラーデザイン、ステッカー、デコパーツでマシンはカスタマイズ可能です。そして完成したマシンに乗り、実際にレゴで遊ぶときと同じように、『レゴ®2K ドライブ』内のあらゆるものに衝突しながら破壊していくことをお勧めしています。

実際に、ゲームプレイの中でレゴのオブジェクトを壊すことには意味があります。マシンがブロックで作られていることから、何かを壊す度に壊されたオブジェクトの一部を吸収し、体力回復ができます。また、オブジェクトを破壊するとブーストが増えていきます。


──道路、水場、オフロードなどで、まるで『トランスフォーマー』のように、機体が変形するカッコいいシステムは、どのようなアイデアで、どのように作られたのでしょうか?

レゴ®とパートナーシップを結んだ以上、実際にレゴで遊ぶときと同じように、プレイヤーにはゲーム内で創造性を存分に発揮してほしいと考えていましたが、水上やオフロードなど、さまざまなレーシングゲームの知見を持っている我々にとって、レーシングゲームを開発することは自然な流れでした。

マシンが切り替わるメカニズムを設計する際、もっとも悩んだのはタイミングです。異なる地形を止まらずシームレスに走行し続けるには、何らかの変化を事前に検知する仕組みが必要でした。反射的にマシンが切り替わるだけでは、水上にたどり着く前にボートへ切り替わったり、ストリートマシンに切り替わるのを待つ間ボートのまま道路を横滑りしたり、思い描いた通りにならない場面がたくさんありました。

そこで我々は、切り替わる際にマシンの比率を調整するハイブリッドシステムを採用しました。例えば、ボートで陸に近づき岸に着きそうな場面ではボートの性能を80%、ストリートの性能を20%にし、岸にたどり着いた後はボートの性能を20%、ストリートの性能を80%にそれぞれ調整しました。そうすることでマシンは徐々に切り替わり、また、切り替わるタイミングをプレイヤーへ分かりやすく見せることができるようになりました。ただ、どんな地形にも適応できるマシンの最大のメリットは、プレイヤーが止まらず走行できるだけでなく、ドライブ体験に多様性を持たせられることです。マシンにはそれぞれ異なる操縦感覚があり、ターンやドリフト、ジャンプさえも操縦方法に違いがあります!


──オープンワールドゲームといえば、気になるのはロケーションですが、本作の舞台にはどのようなロケーションがありますか。また、オープンワールドとして、どのくらいの広さがありますか?

広大なオープンワールドのブロックランディアには、テーマや種類が異なるバイオームが存在し、砂漠、森、沼、ビーチなどで構成され、多様な雰囲気を演出しています。豆知識:バイオームを一列に並べてフルスピードで端から端まで横断した場合、かかる走行時間は12分!(参照


──レゴの世界といえば、コメディ調でどこかふざけたようなお笑い要素がストーリーの随所に出てくるのが魅力ですが、本作にもその要素はありますでしょうか?

ゲーム内のストーリーはもちろんのこと、ビッキ・ウィーラーとパーカー・カーがお届けするAWESOME NEWS NETWORK(オーサム・ニュース・ネットワーク)等、ゲーム外でもコメディ調の動画コンテンツを用意し、ゲーム内外でレゴの世界観を崩さず打ち出しております。


──クラフトゲームが苦手なレースゲーマーや、クラフト要素よりもレースを楽しみたいせっかちゲーマー向けの救済措置などはあるのでしょうか?

ガレージでは1,000種類を超えるレゴブロックが入手でき、多くの選択肢が用意されています。選択肢の多さに圧倒されてしまうことも考慮して、ゲームプレイ中に獲得、あるいは、購入したマシンをお好みの度合でカスタマイズすることもできます。

ゲームではレースで勝ったライバルの機体を使うことができる


──開発チームの方がお気に入りのカスタマイズパーツ(レゴブロック)などあれば教えていただきたいです。

『レゴ®2K ドライブ』でお気に入りのカスタマイズパーツは「テクニックパーツ」で、ボールとヒンジと呼んでいます。さまざまな角度でブロックが組み合わせられるように用意された部品のようなもので、複雑で面白い形のマシンが簡単に作れます。また、ガレージの「反射コピー」ツールを活用するとより簡単にマシンが組み立てられるようになります!マシンの左側のパーツを反射コピーし、マシンの右側に配置するだけで完了です!


上が「ボール」下が「ヒンジ」となっている


今回のメールインタビューでは、なぜ本作が作られることとなったのか、そしてレゴらしい要素はどのように作られていたのかについて伺うことができた。また、それだけでなく、本作の豆知識や、開発者自身が教えるカスタマイズの裏技までこっそり教えていただいたので、早速いろいろ試したいところ。みなさんもぜひ、広大なブロックランディアでのレースを楽しんでほしい。

レゴ®2K ドライブ』はPC(Steam/Epic Gamesストア)およびNintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中だ。