『FF14』で「24アカウント」運用をするプレイヤーにインタビュー。24アカウント運用をしていたら職場の環境がよくなった

 

オンラインゲームはさまざまなプレイヤーが集まる世界である。エンドコンテンツにひたすら挑み続ける戦闘民族系プレイヤーや、生活系コンテンツを極めるプレイヤー、美しいスクリーンショットを撮ることを楽しむプレイヤーなど、プレイヤーの数だけ遊び方があると言っても過言ではない。

スクウェア・エニックスが運営する『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)も例外ではない。戦闘コンテンツはもちろん、ハウジングや釣りなど生活系コンテンツも充実しており、「グループポーズ」と呼ばれるフォトモードもパッチごとに進化を遂げていっている。ハードコアプレイヤーからカジュアルプレイヤーまで楽しめる『FF14』だが、特に変わった遊び方で有名なプレイヤーも存在する。本企画では一風変わった『FF14』のプレイングを楽しむプレイヤーを紹介しよう。

ウィン氏は驚異の「24アカウント運用」で有名なプレイヤーだ。週制限コンテンツの多い『FF14』では、1アカウントで2キャラクターを作成しているプレイヤーや、2アカウントを運用して1人で2キャラクターを操作しているプレイヤーも少なくない。とはいえ、24という数のアカウントを所有しているウィン氏はまさに「異質」と言えるだろう。PC12台、多ボタンマウス12台を使用してのプレイ風景は圧巻である。


ウィン氏がYouTubeにアップロードしている手元動画では、20アカウント分のキャラクターで木人に向かってひたすらアク・モーンとリヴァレーションを繰り返す際の操作が映されている。「地道にマウスをひとつずつ、サイドボタンをポチポチやっているだけなんで、大してすごいことはしていないです」と動画中で語るウィン氏だが、そもそも一般的なプレイヤーは多ボタンマウスを10台もデスクに並べないのではないだろうか。ちなみにこの動画はウィン氏がまだ20アカウントだった頃のもの。現在はアカウントをさらに4つ増やして24アカウントとなり、多ボタンマウスは12台に増えているようだ。

ウィン氏の現在のプレイ環境


24アカウントを運用するウィン氏のプレイスタイルは、YouTubeにて『FF14』の実況配信を行っているお笑い芸人・おかずクラブのゆいP氏にも驚かれるほどだ。8月25日の生配信中にゴールドソーサーでウィン氏のキャラクターたちを発見したゆいP氏は、あまりの衝撃にその場でインタビューのアポイントメントを取るほどだった。10月17日にはゆいP氏のYouTubeチャンネルでインタビューが行われ、配信内でウィン氏は自身の部屋や作業環境を公開した。


また、ゲーム内でアルフィノを演じている声優の立花慎之介氏もMildomにおける自身の『FF14』の実況配信でウィン氏に驚愕。以降、Twitterで自身の配信環境をツイートする際に「ウィンさんほどではないが」と添えるほどの印象を残したようで、ウィン氏がMildomの公認配信者として生配信を始めることが決定した際に「時間が合えば是非コラボ配信したい」とコメントしている。

異色のプレイ環境で芸能人をはじめ多くのプレイヤーに衝撃を与えているウィン氏。彼のプレイングや生活スタイルはどのようなものなのだろうか。弊誌AUTOMATONではTwitterを通してウィン氏にコンタクトを取り、ざっくばらんなお話をうかがってきた。『FF14』に人生を変えられた1人のプレイヤーの内面をご紹介しよう。

――――本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、24アカウント運用に手を出したきっかけを教えてください。

こちらこそよろしくお願いいたします。アカウントを増やしたこと自体は効率良く全ジョブをプレイ出来ることや、週制限に縛られないことが理由だったのですが、24アカウントにまで増やしたのはもはやネタですね(笑)

――――週制限に縛られないのがご理由だったと。キャラの数だけ零式などの週制限コンテンツが遊べる、という意味ではとても自由かと思うのですが、逆にトークンは毎週450枚×24人分貯めなければいけない……リーヴ権は毎日144枚消費しなければいけない……などと義務感に駆られることはないのでしょうか? 私は1キャラクターでのプレイで、必死に毎日・毎週これらをこなしているのですが……。

義務感に駆られる事はありませんね。トークン集めもリーヴ権消費も必要な時だけやっています。日課・週課などはせず、やる気になったときだけです。熱中してしまい、気づいたら朝になっている事もしばしばありますが……(笑)

――――契約しているアカウントは24個かと思いますが、実際に作成したキャラクターの数はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

メイン24キャラの他に、サブキャラで神殿騎士団、蒼天騎士団、闇の戦士等のNPC集団や新撰組、WIN24(メスッテアイドルグループ)、ララフェル・ミコッテ男・ルガディンの集団等、いろいろ作成しているので合計176キャラいます。

24人いると、ララフェルも24倍かわいい。


――――176……!ものすごい数ですね。それだけの数を運用しているとかなり出費が多くなるかと思いますが、これまでどれくらいの金額をFF14に注ぎ込んできたのか、差し支えない範囲で教えてください。

課金額だけだと累計で250万円くらいです。PCや周辺デバイスなどの環境も含めると700万円以上は……。出費は多いですが、誰かの笑いに変わっているのであれば注ぎ込んできた価値はあると思うので後悔はありません。

ウィン氏作成の新選組集団。ちなみにこのスクリーンショットでキャラクターが着用している「風雅衣装セット」も課金装備である。ウィン氏は1980円×24キャラクター分も惜しまず課金している。


――――環境といえば、ご自身のTwitterに「PC環境」としてものすごい数のデバイスの写真をアップされていらっしゃったのが印象的です。操作のコツなどはあるのでしょうか?ご自身で「人間離れしている」と思うような動きをすることはありますか?

操作に関しては、『FF14』のゲーム内で作成出来るマクロが優秀なので特別なことはしておらず、誰でもできるような感じです。マウスはディスプレイと同じ並びにしていますが、手元を見ずに操作するので普通にマウスを間違えますし、マウスパッドに置いてあったiPhoneを動かしていることもありますね(笑)

同時操作は両前腕で10個のコントローラーのアナログスティックを動かして範囲攻撃を避けるぐらいしか出来ません。

――――両前腕で回避はかなりテクニカルなように感じられますが……(笑)ちなみに、PCのスペックはどのようなものなのでしょうか。こだわりのデバイスについても教えてください。

CPUはIntel Core-i7 8700、グラフィックボードはGeForce RTX2060くらいのものがPC12台の平均スペックです。PC1台につき2つのアカウントを起動しているので、それなりのスペックのものを使用しています。

こだわりのデバイスはLogicoolの多ボタンマウスG600です。12個を並べて愛用しています。最近ではPS5のコントローラーのDualSenseを12個購入したので、同時操作を練習しています。

――――これほどにゲーミング環境を充実させていらっしゃると、どのようなライフスタイルで暮らしているのか気になります。平日・休日の過ごし方について、差し支えない範囲で教えてください。

※お話をもとに、弊誌にてグラフを作成


就寝時間は深夜1時から3時までで流動的ですが、平日に仕事をしている以外はずっとゲームをしていますね。

―――――24アカウントでプレイしていて良かった!というエピソードはありますか?

お笑い芸人のゆいPさんやアルフィノ役の立花慎之介さんに驚いてもらえた時には、「ああ……生きてて良かった……!」とすごく思いました。あとは、エターナルバンドの会場から出てきた場所に24匹のカーバンクルをハート型に並べておくサプライズで喜んでもらえると嬉しいですね。

利点面でいえば、やはり週制限に縛られることなく遊べるのは良いですね。リーヴ権も1日144枚貯まりますし(笑)

ハート形に並べられたカーバンクル。絆を結んだ2人を祝うサプライズにぴったりだ。


――――レベリングやメインストーリーだけでも24アカウント分となると、育成面だけで労力が半端ないのではでしょうか。24アカウント運用で大変なことはありますか?

絶コンテンツを24キャラクター分消化するために、24人分の零式に行ったりトークンを貯めたりして最終装備を揃えるのが辛かったりしますが、「絶武器24本取るぞ!」などという目標がある事でつらさも快感に変換されます。「つらい……だがそれが良い……!!!」という感じです(笑)

24人のレジェンドが並んだ様子は圧巻である。


―――――FF14には絶・零式をはじめとしたバトルコンテンツやエウレカ・ボズヤなどのフィールドコンテンツがありますが、どれくらいのコンテンツを複数キャラでこなせるのでしょうか?また、「挑戦してみたがさすがに1人では無理だった」というコンテンツはありましたか?

絶や零式は地道に1キャラクターずつ行っています。複数キャラクターでまともにプレイ出来るのはモブハントや宝の地図くらいですね。トークンを貯めるときはエキスパートルーレットに1体ずつ行っていると時間が足りなくなってしまうので、8キャラくらいずつパーティーを組んでモブハントに行くことで集めています。宝の地図はすべて自分のキャラクターでパーティーを組んで行って、1か月で1億ギル稼げたこともありました。

エウレカやボズヤなどのフィールドコンテンツは、僕が入ってしまうとエリアに入ることができる人数の1/3(72人中24人)を埋めることになり、他のプレイヤーの迷惑になってしまいます。なので、人がいなくなるまでは行く予定はありません。

ちなみに、24人レイドのラバナスタに全員自分で行ったところ、みんな(自分)が円柱に押し潰されて全滅するのを繰り返したので諦めました(笑)

――――以前、Twitterで「複数アカウント運用の話を職場でしたところ、本社へ異動となり待遇が改善した」というお話をされていたのが印象的です。差し支えなければ、身バレしない範囲でどういった経緯でそんな話題になったのか、どのように待遇が改善したのかを教えてください。

当時の仕事中、会社の名刺と『FF14』の名刺を同じ名刺入れに入れていたので、危うく『FF14』の名刺を取引先に出しそうになったことがありました。その話を上司にしたら「その名刺、俺にもちょうだい」と言われてそれを渡していたんです。

その上司を含んだ会社の人達がお客さんとの忘年会に参加したときに、そのお客さんの娘さんが光の戦士で、話の流れで上司はその方に僕の名刺を見せたそうです。娘さんは僕のことを「多アカウントでプレイしている人で有名」という理由でご存知のようでした。その場で僕がかなり話題になったらしく……(笑)そのことがなぜか役員経由で社長にまで知れ渡り、社長から直接、社内SEへの部署異動のお話をいただきました。

今では土・日・祝日休みで定時退社もできるようになり、環境も良く快適になりました。キッカケをくれた『FF14』には感謝しかありません!

人生を変えた名刺


――――『FF14』で24アカウントを運用していたら職場環境が改善されたというのは、どこにどんなきっかけがあるかわからないというサクセスストーリーですね。さて、そんなウィンさんから最後の締めとして、記事を読んだ方に一言コメントなどいただけますでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございます!Mildomで生配信を始めたので、そちらも見ていただけたら幸いです!

――――ありがとうございました。

今回はTwitterのDMを通してインタビューの打診をした筆者であったが、ウィン氏からはスピード感あるご快諾をいただいてのセッティングとなった。お話を聞かせていただくなかでも強い決断力と思い切りの良さが垣間見え、ウィン氏が多くのプレイヤーに注目され、愛される理由はここにあるのかもしれないと感じた。

24アカウントを運用すれば『FF14』が1か月で2年分遊べると語るウィン氏。プレイスタイルは少し特異だが、根底にあるのはタイトルへの確かな愛である。筆者もサブキャラクターでもう一度、冒険の旅路に赴いてみようかと思わせるインタビューとなった。




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