Nintendo Switchなど向け『Dordogne(ドルドーニュ)』は疲れたあなたを優しく癒やす、夏休みアドベンチャーゲーム。郊外で過ごすかけがえのないひととき

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あなたは子供の頃の夏休み、何をして過ごしていたか覚えているだろうか。友達とプールに行く。帰省したり家族旅行をする。町内会のお祭りに参加する。宿題に追われたことがある人もいるだろう。そしてこれらの思い出は、あなた自身を形作る上で、かけがえのないピースの1つになっているはずだ。『Dordogne(ドルドーニュ)』はそんな思い出が持つ力を再認識させてくれるハートフルなゲームである。このたび本作を先行してプレイする機会に恵まれたため、作品の内容を含めて紹介していきたい。


『Dordogne(ドルドーニュ)』はフランスのドルドーニュ地方における夏休みを舞台にしたアドベンチャーゲームだ。対応プラットフォームは、PC(Steam)/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switchとなっている。価格はSteam版が1990円。Nintendo Switch版は2480円で、PS4/5版は2420円。Xbox One/Series X|S版は2400円。Xbox/PC Games Pass向けにも提供中。本作は、フランスのデベロッパーであるUMANIMATIONとUn Je Ne Sais Quoiが共同で開発を担当している。

本作のストーリーは人生の失敗を通じて精神的に参ってしまった主人公「ミミ」が、近々取り壊されるという、今は亡き祖母「ノーラ」の家を再訪するところからスタートする。そこには祖母からミミに向けた一通の手紙が残されていた。プレイヤーは何もかもが過ぎ去った現在と、輝かしい夏休みの思い出とを行き来しながら、家族からのメッセージや思い出の品を集めていく。

「あたたかみ」で溢れた世界


人は物事を表現する際に「あたたかみ」という言葉を使うことがある。対象に込められた人肌のようなやわらかい暖かさに心が触れたとき、私達は「あたたかみ」を感じるのだ。
『Dordogne』は正にこの「あたたかみ」という言葉を全身で表現する作品であると言える。アート。ストーリー。ゲームプレイ。そのどれもが、人の琴線を揺さぶり、優しい情動を引き起こす要素に満ち溢れている。

まず注目したいのは、なんといっても本作最大の特徴である、水彩画を基調としたアートスタイルだ。フランスのアーティストであるCédric Babouche氏がディレクションを担当した背景美術とアニメーションは、水彩画が持つふんわりとした、包み込むような豊かさの中にさまざまな感情が込められており、ひと目見ただけで、プレイヤーの心を掴んで離さないこと請け合いである。そして込められた感情は、喜び、楽しさといった輝かしいものだけでなく、―――水彩画における滲みがよどみの表現に使われるように―――悲しみや不安、苛立ちといった、暗く繊細な感情の動きも内包している。水彩画をベースとした表現は3Dモデルにも現れており、その賑やかな色彩は「飛び出す絵本」のような臨場感だけでなく、たち消えそうな記憶の淡さ、思い出の美しさ、しっかりとした実在感を両立している。

 


『Dordogne』のゲームプレイは、ポイントアンドクリック形式に簡単なコマンド入力を組み合わせたシンプルなものだ。しかし『Dordogne』ほど、この組み合わせがピタリとハマっている作品はそうないだろう。気になる場所を1つずつクリックしたり、細やかにコマンドを入力をしていく行為は、先述したアートがもつ「あたたかみ」と連鎖反応を起こし、プレイヤーに対して「何かを丁寧に成し遂げている感覚」を与えてくれる。強くエモーショナルな気分にさせてくれるのだ。これはまったくもって誇張表現ではないが、ただゲームを遊んでいるだけで、目に涙が浮かんでくることが多々あった。このゲームを遊んでいると、昔の懐かしい思い出が走馬灯のように流れていき、今一度あの頃に帰りたいという郷愁の念と、もうそれは二度と叶わないのだという切なさが頬を撫でるのだ。

 


ゲームはチャプター制を採用しており、全体として祖母との思い出を探す「現代パート」と思い出の中を探索する「過去パート」に分かれている。基本的には「過去パート」が遊びのメインになってくる。過去パートの中で、プレイヤーである「ミミ」は祖母が大切にしている記録媒体としてのバインダーを引き継ぎ、休暇中に撮影した写真、録音した音源、拾ったステッカー、経験した出来事からインスピレーションを得て作った自作の詩を自分のページとして記録していく。「夏休みに絵日記をつける」という経験をした人は多いと思うが、プレイフィールとしてはそれに近い。絵画のような美しい世界を駆け回って、記録できる対象を探すのだ。記録をするという行為は、単に物事を覚えておく役割だけでなく、私はこう世界を見ているのだという自己表明でもある。ページを作ったらスクリーンショットを撮影し、SNSを通じて共有しても面白い。

肝心のストーリーは、ドルドーニュの懐かしい思い出を振り返りながら行われる、主人公「ミミ」のメンタリティの改善を始まりとし、子供の頃にはよく見えていなかった父と祖父母の確執の存在、そして家族全体の秘密の解明へと発展していく。「場所……モノ……それらには多くの人生が刻まれている」祖母であるノーラの言葉だ。ミミにとってかけがえのないあの夏は、ノーラにとっても、この他の人物にとっても、かけがえの無い夏だった。1度は砕けた家族の絆を思い出が繋ぐのか。ぜひ最後までこの物語を追いかけてほしい。


日本にもやがて暑い夏が来る。今年の夏の思い出を作る前に、フランス、ドルドーニュの地で行われる追憶の旅を通じ、これまでの思い出を振り返ってみてはいかがだろうか。『Dordogne』は、PC(Steam)/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに発売中だ。