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元『ウィッチャー』開発者の新作『The Blood of Dawnwalker』は超自由なのにずっと“悩む”。代償が重いから輝く「真の自由オープンワールド」を試遊した
オープンワールドアクションRPG『The Blood of Dawnwalker』の試遊プレイでは、各所で葛藤や感情を呼び起こされた。

バンダイナムコエンターテインメントは9月3日、アクションRPG『The Blood of Dawnwalker』を発売する。対応プラットフォームはPC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|Sで、価格は9790円(税込)。
『The Blood of Dawnwalker』の舞台は14世紀のヨーロッパをモチーフとしている。血塗られた紛争が大地を覆い、生き残った者には黒死病が襲いかかる時代。そんな“綻び”を狙い、吸血鬼たちは奪われてきた自由と力を取り戻すため牙を剥く。主人公のコーエンは、そんな吸血鬼の支配に翻弄されつつ、昼は人間、夜は吸血鬼として生きるドーンウォーカーとして、運命に抗う。
今回、弊誌はそんな本作を試遊する機会を得た。本作はゲームプレイの中で、プレイヤーに各所で「感情を呼び起こす」作りになっていたことが印象的であった。本作はストーリーとゲームプレイを通じ、どのようにプレイヤーにはたらきかけているのか、そして筆者はどうしてそう思うに至ったか、本稿でお伝えしていきたい。

葛藤が呼び起こす感情
本作の始まりは「サンゴラ谷」。黒死病などとは隔絶された、一見のどかな田舎の村に見える。しかしその実、村は吸血鬼たるヴラキールの「ブレンシス」の一味に支配されている。安住の地を授け、守る(と称する)代わりに、ブレンシスの為に血を捧げ、ミサの折にはブレンシスの血を飲む。つまり、吸血鬼の恐怖に村は支配されている。

そして、主人公コーエンの世界は家から始まる。ある出来事によって衰弱する母、母を案じ、家を背負う者として余裕を失っている父、事の重大さや世界をまだ十分に知らぬ弟妹。コーエンの世界はしだいに村へ拡大し、世界に開かれる。その始まりとなる“家”という最小単位からして綻びを感じ取ることができる。さっそく“不安”が想起されるわけだ。
村に出れば、先述の通り一見のどかな雰囲気が漂う。しかしそれは吸血鬼の恐怖に支配されたかりそめの平穏。序盤の簡単なお使いをこなすときも、景色は綺麗だと感じる一方、村からはどことなく鬱屈した雰囲気が感じ取れる。プレイヤーはさっそくさまざまな場面で選択を迫られる。たとえばお使いは誰のものを優先するか、上納用の旗を盗んだ犯人を特定し、告げ口するか……時間は有限であるし、「さっきのは無し」も当然できない。物語はプレイヤーの葛藤や思惑、欲望によって異なった方向へと前進していく。

こうした葛藤が反映されるのが“時間”の概念だ。本作において、それぞれ発生するクエストは、「受注」によって時が進むのではなく、選択や完遂などによって時間が進む。たとえば脱走した豚の足跡を追ったり、調査を依頼されて該当箇所を調べたりするクエストがあるのだが、それだけでは時間は経過しない。クエストの一定の段階、あるいは特別なクエストや、NPCとの会話における選択肢によって時間が経過する。
典型的なRPGでは、メインストーリーを追跡するためのクエストラインがあり、それを順に進めることで物語が進行していく。しかし『The Blood of Dawnwalker』には目標やクエストこそあれど、それに迫る手段はプレイヤー次第だ。たとえば本作の最序盤では、体調のすぐれない母に飲ませる薬を、薬師のアンカから貰ってくるように父から頼まれる。一方で、アンカのところに向かおうとすると、父から別に魚を獲ってくるよう言いつけられた弟妹たちに、手伝って欲しいと頼まれる。
もちろんどちらを選ぼうが間違いではないし、どちらを選んだって問題ない。とはいえ時間は有限。今回筆者は試遊にて、お使いを頼まれた以上それを完遂すべきと考え、まず先に薬を貰いに行った。その後雨に見舞われ、アンカにラテン語の勉強で時間を潰さないか提案されたものの、せっかく貰った薬だ。早めに家に戻り、まず薬を飲ませることを優先した。……という風に、物語の初めからプレイヤーには自由が与えられている。
どちらを選ぶか、何を大事に思うか。こうした葛藤はプレイ中常に与えられる。限られた時間をどう過ごすかという葛藤は、プレイヤーの感情を正負関わらず呼び起こす。プレイの間は「申し出を受け入れればよかったかも」「理屈では納得できるが、感情では納得できない」といった葛藤がたびたび訪れた。そうしたプレイヤーの葛藤は、コーエンの行動を通じ、村人への態度やとっさに出た言葉、“お使い”の取捨選択などとして表出する。抱いた感情がそのままストーリーの展開を左右していくことになるわけだ。

ちなみに試遊の際には、弊誌以外のメディアも参加していた。話を軽く伺ったところ、4時間という試遊の時間内でもすでに物語の進行における、たとえば母の安否などといった状況に差があったことが判明した。『The Blood of Dawnwalker』のナラティブディレクターを務めるJakub Szamałek氏は、本作独自の魅力として、自由なストーリー進行を「車に乗るようなもの」と形容していた(弊誌インタビュー記事)。プレイヤー自身の葛藤、感情から起きた選択によって異なる表情を見せる物語は、まさに道を選び、自分でハンドルを切って進んでいくドライブに似ている。
倫理との葛藤と“甘い誘い”
そうしてストーリーとしては紆余曲折あったのち、コーエンは望まずしてドーンウォーカーになる。ドーンウォーカーは、昼は人間、夜は吸血鬼として生きる存在。コーエンは自身の家族を救うため、ブレンシスの元へ向かうこととなる。半分吸血鬼となっても人間としての理性、倫理は残った一方で、生命の危機に瀕した際や、吸血鬼としての力が色濃くなる夜間の行動などでは、倫理に反した“本能”が顔を覗かせる。
本作では、吸血鬼の能力として生物から血を吸うことが可能だ。ちなみに人だけではなく、動物からも血を吸うことができる。血を吸えば体力は回復する。RPG的な観点でいえば、動物や人間があたりにいればそれは実質的に“体力回復リソース”がそこらに転がっていると捉えることもできる。

さらに道中では村を支配し、家族を攫ったブレンシスたちの軍勢があちこちに存在。ブレンシスたちの行方を追い、反抗できる力を蓄えていく過程では、兵士たちとも鉢合わせることがある。広大なオープンワールドの大地を踏みしめるにあたっては、住民からの“ちょっとした頼まれごと”などもあるだろう。しかし一分一秒を争う事態では、兵士の見回りのない昼に改めて訪ねよう、というような悠長な構えも取っていられない。そこで、吸血鬼の力を活かした殺しを遂行すれば話は早い。“飢え”に屈して、NPCを取って食うのもいいだろう。
ただし、そんな能力や本能も、便利に使い過ぎては段々人から離れていくことになる。“宿敵”とも言えるブレンシスと同じような存在にならず、人としての矜持を守り続けたいのであれば、食べ物などからの体力回復や、理性的な解決手段に頼りたいところだ。なお試遊でまさに「一分一秒を争う事態」だった筆者は、あるクエストにて力と本能を十全に活かした“パワープレイ”にて解決を図ったのだが、その様子をばっちりと住民に見られてしまった。流石に無辜の民を口封じすることは気が引けたが、こうした吸血鬼としての本能に任せて旅を続ければ、そのうち家族を救うためと称して数多くの死体を積み上げていたかもしれない。
なお試遊の範囲では倫理的/衝動的な判断が物語にどのように影響するかは確認できなかったが、吸血鬼としての能力は、ある程度その力を行使していき、経験を積むことではじめて力を伸ばすことができる。吸血鬼のスキルは非常に便利で、旅の際には“心強い”能力になることは間違いない。そんな甘い誘いが選択肢としてデザインされているわけだ。

オープンワールドという言葉は、リニアな進行でなく、自由にアプローチができるゲーム世界という意図をもって使われることがある。本作はそうした意味では、真にオープンワールドなアクションRPGということができそうだ。物語として最終目標への強い動機を与えつつ、プレイヤーの感情や葛藤を各所で呼び起こし、自在なアプローチをゲームプレイとして実現していると感じられた。当然、今回の4時間限りの試遊ではその一端しか垣間見ることはできなかったが、その先に広がる物語がどう描かれていくのか、今から興味が惹きつけられてやまない。
『The Blood of Dawnwalker』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに9月3日発売予定だ。
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ゲーム内スクリーンショット等は現在開発中のバージョンのものです。
そのため、今後のアップデートにより内容が変更・修正される可能性がございます。
特に日本地域で発売予定のCERO Z版においては、流血表現や四肢欠損などの描写が調整・変更される可能性が高い点、あらかじめご了承ください。
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