赤坂アカxSCRAPx集英社ゲームズの謎解きゲーム『カミとミコ』は、謎解きゲームだが「ストーリーが良い」。転生する少女と共に紐解く壮大な人間讃歌

今回先行プレイの機会をいただきエンディングまで先に遊んできたので、クリティカルなネタバレは避けつつ内容を紹介しよう。

集英社ゲームズは4月13日、『カミとミコ』を4月23日に発売すると告知した。同作は「リアル脱出ゲーム」のSCRAP、「【推しの子】」(原作)などの漫画家・赤坂アカ氏、集英社ゲームズの共同制作作品となっている。同作はプレイヤーがカミとなり、人類の発展を導く世界想像謎解きアドベンチャーなのだという。一方で、情報の中に不穏なシーンが存在。先日公開されたPVには、チャットアプリ風の画面で、人類の滅びを示唆する内容も映されている。

いったいどんなストーリーが待っているのだろうか。いろいろと気になる本作について、今回先行プレイの機会をいただきエンディングまで先に遊んできたので、クリティカルなネタバレは避けつつ内容を紹介しよう。

『カミとミコ』は、少女ミコと共に人類史を歩み、歴史上の課題にも立ち向かっていく、謎解きADVである。本作のメインキャラクター・ミコは、古代の集落で暮らす一人の少女だ。ある時、彼女の住む集落が凍てつく風にさらされ続け、滅亡の危機に瀕していた。本作で彼女は、ちょっとした理由から生贄の巫女となり、禁術を使用。カミを呼び覚まして、集落の危機を救おうとする。プレイヤーは、ミコにカミと呼ばれる存在となり、まずは古代の集落の危機を解決。また何度も転生するミコと共に、古代から現代まで時代ごとのさまざまな問題にも挑んでいく。転生を繰り返す少女ミコと歩む、人類の歴史を追う旅が繰り広げられる。

本作でプレイヤーは、天候操作と啓示によって目の前の問題を解決しようとする。プレイヤーは作中でミコからカミと呼ばれている。しかし、少なくとも全知全能の存在ではない。実際に世界に干渉する手段は、大きく二つに限られている。まず天候操作では、文字通り天気を操れる。具体的には、晴れ/雨/風/雷の4種類の天候への変更が可能。4種類の天候が操作を使えば、画面内の状況があわせて変化する場合がある。雨が降れば川が増水するかもしれない、風が吹けば物が落ちるかもしれない。雷については、ちょっとした制限はあるものの、対象を選んで落とすこともできる。

またもう一つの手段として、「カミノイシ」を用いた啓示がある。カミと呼ばれるプレイヤーは、巫女であるミコに啓示を届けられるが、言語が違うのか直接言葉を伝えることはできない。そこで本作では、「カミノイシ」と呼ばれる意味を持った石を使用。時にはカミノイシを複数組み合わせ、ミコにニュアンスを拾ってもらう。

たとえば、最初の舞台となる100万年前の世界では、人類は寒波やイノシシといった問題に相対している。寒さはどうすれば解決するのか。問題に対して、プレイヤーはドット絵で描かれた俯瞰視点の画面で、周囲の状況などを調査。古代の人類の会話を聞いたり、天候の操作によって状況を変えたりなど、まずは情報を集める。また画面上を調べていくと、カミノイシが獲得可能。ミコは察しがいいので、話と聞くを組み合わせてミコから話を聞く、イノシシと攻撃を組み合わせてイノシシに攻撃など、カミノイシの組み合わせによってニュアンスを読み取ってくれる。本作では天候の操作や、カミノイシによる啓示によって、問題を解決していくのだ。

ところで、時代ごとの問題に立ち向かう上で、一番重要になるのはプレイヤー自身のもつ知識である。本作でカミとミコが挑むのは、基本的に人類が歴史の中で相対し、解決してきた過去の問題だ。古代や中世など、その時代ごとの人たちにとっては無理難題に思えても、現代人であるプレイヤーにとっては一般常識レベルの知識で簡単に解決できることも多い。もちろん時代や場所、状況によって利用できるものなどに制限はある。啓示と天候によって解決しなくてはならないといった手段の制限もある。制限のために必ずしも簡単にはいかないものの、本作ではプレイヤーのもつ現代の知識と論理的な思考によって問題を解決するわけだ。公式サイトにもあるように、「現代知識無双で転生するミコと世界を救う」ゲームだと言っても過言ではないだろう。

ゲームプレイとしては、啓示と天候操作を使って問題を解決する謎解きが中心となる。各シーンごとに、決まった正解を示すとゲームが進行。カミが目覚める先に転生しているミコと共に、人類の発展によって障害を取り除くことで、時代ごとのストーリーが繰り広げられていく。人類史上の問題に挑むと言うと難しく聞こえるかもしれないが、基本的に答えそのものはわかりやすい。義務教育で習ったような歴史上の印象的な出来事が中心となっており、発展の重要なポイントを軸に歴史を振り返るようなかたちとなっている。100万年前の古代より始まり、現代社会が形作られていく過程を追っていくのだ。

限られた手段で謎を解く作品で起こりがちな問題であるが、本作にも答えはわかっているのに、正解となる組み合わせや伝え方がわかりづらいシーンは存在する。一方で、本作ではプレイヤーの啓示に対して、ミコが正解でない場合も含めていろんな反応を返してくれる。3段階のヒント機能も搭載。各シーンでプレイヤーが挑むミッションについても、ただ人類を発展させるだけでなく、状況を観察して論理的に感染の防止方法を導き出す推理問題や、ちょっとした恋愛と絡めて描かれるシーンなど、さまざまな形で展開されていく。謎解き部分については、旧体験版を触った時に感じた印象よりも、気合の入った作りになっており、シナリオを中心としたシステムを使った遊びとしてよくまとまっている印象を受けた。

ここからは筆者の所感になるが、本作を最後まで遊んだ上で特によかった点は、システムも使って表現したストーリーとキャラクターだった。本作では、転生を繰り返すミコとカミと呼ばれるプレイヤーが、古代から現代までの時間を歩む。しかし人類の歴史とは何だろう。本作においては、目の前の課題に取り組んできた発見と発展の記録であり、より良い明日を目指してきた軌跡。そして、生き残りをかけた争いや虐殺の繰り返しでもある。

100万年前の世界に生まれたミコは、幾度も転生する中で膨大な時間を体験する。もちろん、彼女が経験するのも明るい時代ばかりではない。古代の時代、自ら生贄となって集落を救おうとした彼女は、時代ごとに女王や王、投資家などさまざまな姿になり、戦争や疾病にも巻き込まれていく。プレイヤーの視点では、そうした彼女の辿った歴史の一部が描写。本作では人類の歴史の暗い部分も含め、ゲームならではのシステムも活かした表現で、時にやるせなく、時に切なく、カミとミコの歴史が描かれるのだ。

ミコが歩む100万年以上の旅路のうち、もちろんゲーム上で直接描かれるのは断片的ではあるが、プレイヤーの視点であるカミを除くと、主な登場キャラクターはミコ一人だけ。そのため、彼女の心情についてはストーリーを通してしっかりと伝わってくる。そもそも、なぜミコは転生しているのか。カミとは何者なのか。時代ごとに人類を救おうとしてきたカミとミコが、人類史を辿っていった先に何を果たすのか。人類の歴史を巡っていった2人の旅の結末を見届けてほしい。なお、筆者のプレイ時間はおおよそ5時間程度。複数のエンディングも用意されている。個人的には、好きな人間讃歌のシナリオだったので、きっとほかにも刺さる人が大勢いることだろう。

カミとミコ』は、ブラウザ(PC/スマートフォンなど)向けに、4月23日12時配信開始予定だ。4月13日より予約が開始されており、通常版相当のいますぐプレイ版は税込3500円。特装版「カミとミコの想世記」は税込6930円で、特別読切「カミとミコ 地球一の女の子」を含む設定資料集、ゲームクリア後に向けた特典謎「ミコの最後の挑戦状」などが付属する。

©SCRAP / 赤坂アカ / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

記事本文: 3329