『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の“教育熱”がすごい。『ローグ・レガシー2』はリプレイ性の高さが魅力。『Critters for Sale』がよくわからない。今週のゲーミング

 

Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。364回目です。床暖房がお気に入り。


挑戦心に火をつけてくれる


先日日本語に対応した『ローグ・レガシー2』を、最近よくプレイしています。ローグライト&メトロイドヴァニアなアクションゲームです。装備やスキルをはじめ個性的なアイテムが多数登場するため、それぞれの効果をサッと理解するにあたって日本語対応はありがたい。ローカライズはハチノヨンが担当しており、翻訳の品質やフォントの選択も良し。

本作では、主人公にヘンな特性が付与されることがある。たとえば上の画像のように敵にモザイクがかかったり、宝箱を開けると爆弾が飛び出したり、あるいは主人公がオナラしまくるようになったり、攻撃力ゼロの武器を持たされたり。そして難易度が上がる特性の場合は、獲得するお金にボーナスがつくようになる。本作には、ほかにも道中でのアップグレードなど、こうしたリスクとリターンを天秤にかけて選択する要素がさまざま存在。コンテンツ量が豊富なため、これもリプレイ性の高さに繋がっているように感じます。
by. Taijiro Yamanaka


何を見せられているんだ


今週は、混沌とした短編ポイント&クリックADV『Critters for Sale』を遊んでいました。本作は蛇/羊/猿/蛛(蜘蛛)/龍の5編で構成された作品です。章ごとに、それぞれ異なる場所と時間軸の物語が展開。午前3時に見知らぬマイケル・ジャクソンに呼び出されてバーに行ったり、恐るべきノイドたちの計画に巻き込まれたり、異星人によって地球が破壊されたり、山羊に殺されたり、オカルト的な怪しい世界が繰り広げられていきます。何を言っているのかわからないと思いますが、最後まで遊んでもよくわからなかったので、たぶんそういうものなのでしょう。

断っておくと、本作には既読スキップやセーブといった気の利いた機能は用意されていません。各編はそれぞれ短いため必須ではないものの、怪しげな世界観やよくわからない展開も相まって、人を選ぶ作品になっています。しかし、本作にはそうした欠点を上回る奇妙な魔力が宿っていました。白と黒の動くグラフィックやグリッチ表現。心地よいBGMと共に待ち受ける混沌としたマルチエンディングは、疲れた頭でプレイするのに丁度よく、不思議と次の展開を見たいと思わせてくれるものでした。
by. Keiichi Yokoyama


ゲーム内啓蒙


『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』を(ほぼ)クリアしました。このゲームはマジでプレイヤーを教育しにきている気がします。ゲーム全体を通じて啓蒙要素が強い。プレイヤーが学生という立場なのもありますが、シナリオでも現実世界で身近な倫理観に関する題材がでてきますし、学校の授業なんかはかなりメッセージ性が強く、“教えられている”と感じました。人間関係のあり方や生き物との接し方など、直球に啓蒙されます。『ポケモン』は教育的な挑戦はかなり早くからやっているシリーズだと思いますが、今作は特にすごい。

啓蒙については、特定のイデオロギーをリードするのではなく、いわゆる普通の学校で教えられる一般的な道徳の内容をゲームに落とし込んだ多い印象。「ひとりで抱え込まないようにしよう」とか割と一般的な考えが多いです。ただ物語を通じて間接的にモラルを問いかける作品はありますが、ゲーム内でプレイヤー=主人公に道徳を啓蒙するコンテンツはあまり見たことなく、びっくり。筆者はもともと教育専攻で教員免許をもっていて、教育現場もいろいろ見てきたので、特に反応しているのかも。個人的には面白いと思う一方で、教育ということでなんかしらの圧はあるので嫌がる人の気持ちも理解できたりもします。1000万人がこのゲーム内授業を受けると思うと興味深い。このゲームを遊んだ子供は、このゲーム内道徳の影響を受けるでしょうね。すごいなあ。
by. Ayuo Kawase