『ポケモン レジェンズ アルセウス』クリア後の感想。『Dying Light 2』のドロップキックが癒し。『7 Days to End with You』はよい短編。今週のゲーミング


Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。323回目です。まだまだ寒いですね。

思い切った新装開店

今週は『オリオリワールド』が配信。スケボーゲーム『OlliOlli』シリーズの最新作です。前2作のように、コンボを繋いでハイスコアを目指したり、指定のチャレンジに挑戦したりといった基本的なところはそのままに、ほかの部分はすべて一新されました。まず物語要素が導入され、NPCも登場。物語を進めながら、ステージやアイテムをアンロックしていく。また、ビジュアルはアニメ「アドベンチャー・タイム」風に刷新。とりとめのない仲間との会話も“ぽい”感じ。

ステージは2.5D形式になり、奥行きを使って分岐を配置したり、新たなトリックに対応したりなど、バラエティ豊かになった印象です。前2作はゲームプレイにフォーカスしたストイックさが特徴でしたが、本作は楽しげな雰囲気を前面に押し出している。UIも賑やかな背景を邪魔しないかたちに。とまあ大きく変貌を遂げながらも、繊細かつ忙しい操作を求められるゲームプレイは健在です。
by. Taijiro Yamanaka


ドロップキックは伝家の宝刀

今週は『Dying Light 2』を遊んでいました。前提として、筆者は前作をプレイ済みです。前作経験者としての最初の正直な感想は「あれ、なんだか違和感あるなあ」でした。というのも、ややパフォーマンス面が不安定なためか微妙なインプットラグがあったり、パルクールも半拍遅れるような感覚。そしてゲームプレイ面では、まずパルクールがスタミナ制になっている点が大きな違いです。また、投擲武器やスキルも序盤大人しめで、前作のような「ゾンビ倒しサンドボックス」感は薄まりRPG/ADVゲームとして道筋がしっかり立てられた印象でした。

しかし、プレイして数時間経つと少々のぎこちなさは慣れるもの。スタミナ制パルクールも、登る際に一瞬立ち止まり攻略ルートを考えるのが存外おもしろく、筆者の好みには合っている印象です。サンドボックス感の薄さについては、前作から続投のドロップキックが癒やしてくれました。道行くゾンビにドロップキック。そこのレネゲイドにもドロップキック。殴っては蹴り、殴っては蹴り、たまに蹴ってから殴りに行く始末。「ひょっとして私は、単に敵をドロップキックで吹っ飛ばせるゲームがしたかっただけなのでは」と思うほどの楽しさです。内容としては、前作ファンの方は戸惑う点も多いかもしれませんが、少なくともドロップキックは健在でした。
by. Seiji Narita


ここはどこ?私は誰?

『7 Days to End with You』を遊びました。記憶のない主人公と謎の女性が過ごす7日間の物語です。本作最大の特徴は、自分以外がみな未知の言語で話すところ。主人公もプレイヤーも、初めのうちは女性が何を話しているのかまったくわかりません。ですが、彼女との会話や新聞の内容などから共通する単語の意味を推理することで、だんだんと言葉を理解できるようになります。ゲーム中に登場する単語はリスト化されており、自分で推理した翻訳を記入していく形式です。単語の意味は一部を除き、物語上で答えは提示されません。自分で読み解いた言葉によって物語の全容を理解することがこのゲームの目的となります。

単語の意味をおおむね把握し、エンディングを理解までの総プレイ時間は2時間半ほどでした。はじめのうちは言語の意味がわからず、異星に1人で放り込まれたような気持ちで困り果てていましたが、1日の終わりに単語のヒントがもらえるため、2周目以降は少しずつ女性の言っていることがわかるように。この「意味わからん!泣きそう!」から「意味わかる!嬉しい!」に移り変わるプレイヤー自身の心情もまた、本作の物語に深みを加えているように感じました。Steam版は520円、スマートフォン版は490円とお手頃なので、ぜひ多くの方に触れていただきたい。すばらしい短編でした。
by. Aki Nogishi


全編期待以上でした

『ポケモン レジェンズ アルセウス』クリアし、クリア後コンテンツなども一通り堪能しました。僕の観測範囲では、「粗はあるが絶大な魅力ある」という評が多いですが、かなり同意できます。むしろ、よくできているからこそ、もうちょっとどうにかできればという惜しさが残る感覚。サブクエまわりは特にそういう思いが大きい。ひとつひとつ、設定や内容は面白いんですが、単調にならないことを意識しすぎて、煩雑な部分多め。その割にリワードは少ない。内容や数は多くて面白いので、動機づけもうちょっとどうにかなればという。ストーリーやキャラまわりも、『ダイパ』リメイクを履修していてやっと味が出るところもあり、題材もロケーションも面白いだけに惜しい。「ここが欠点」ではなく「ここさえなおせれば……!」みたいな温度感の不満は多かったです。

とはいっても、フィールドに降り立てばそんなことは忘れてしまう。いろいろと『ポケモン』を遊びましたが、これほどポケモンたちと生き物として触れ合える作品はなかった記憶。広大なフィールドと、生き生きとしたポケモンたち。これだけですべて許せる。逆にいうと、今後の『ポケモン』作品は、『ポケモン レジェンズ アルセウス』と比べられる呪いに陥りそう。『Newポケモンスナップ』も、去年出てよかったなと。“アルセウスショック”後の本編はどうなるのか。そういうところも楽しみですね。
by. Ayuo Kawase