好評SF廃墟FPS『Luna Abyss』開発元、「発売からわずか1か月」でスタジオ閉鎖。7年も開発に取り組んだ力作が高評価を得た矢先に

『Luna Abyss』を手がけるKwalee Labsが6月17日、閉鎖されたことが明らかとなった。スタジオデビュー作の『Luna Abyss』リリースからわずか1か月足らずでの閉鎖となる。

『Luna Abyss』を手がけるKwalee LabsのCEO、Hollie Emery氏は6月17日、スタジオのスタッフ全員が解雇され、閉鎖となったことを発表した。同スタジオデビュー作となる『Luna Abyss』は、5月22日(Steam版は21日)にリリースされたばかりであった。

Kwalee Labsは、英国のパブリッシャーKwaleeの社内スタジオ。イギリスに拠点を置くゲームスタジオBonsai Collectiveが前身となっている。Bonsai CollectiveはUnreal Engineでのゲーム開発経験を有するベテランたちが集まり、2019年に設立したスタジオだ。

『Luna Abyss』は同スタジオのデビュー作にあたる。同作は、ストーリー主導のFPSアクションアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、まやかしの月「ルナ」。月に擬態する奇妙な衛星ルナの地下には巨大建造物の廃墟が眠っており、狂気を誘う声がこだましている。主人公は刑罰として、ルナの探索を課せられた囚人。謎の脅威と戦いながら、武器を片手にルナ探索し、深淵へと進んでいく。

同作制作にあたっては『サイレントヒル』『DOOM』『Destiny』といったゲーム作品のほか、「新世紀エヴァンゲリオン」や弐瓶勉氏の「BLAME!」、伊藤潤二氏や芥川龍之介の怪奇作品などから影響を受けているという(Epic Games)。そのほかアメリカの作家Shirley Jackson氏やイギリスの小説家Daphne du Maurier氏の著作にも影響を受けたとのこと。

『Luna Abyss』は5月21日にSteamにて、5月22日にはPC(Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けにリリース。Xbox Game Pass向けにも提供された。本作はリリースされるとさっそく高評価を獲得。ステージを駆け回る銃撃戦や不気味でホラー要素も感じられる演出面といった種々の内容が高い評価を博し、Steamユーザーレビューでは約600件中86%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

一方で、そうした人気を博しつつも、今回突如としてKwalee Labsの全スタッフ解雇が発表され、事実上のスタジオ閉鎖となったようだ。スタジオのCEOであるHollie Emery氏は、LinkedIn上でこの情報を発表した。

今回のレイオフについての理由は明らかになっていないものの、Emery氏は「完全に我々のコントロール外(completely outside of our control)」の出来事だったと述べている。母体であるKwalee経営陣の決定だったことがうかがえ、スタジオにとっては寝耳に水の事態だったようだ。

ちなみにKwalee Labsは、Bonsai Collective時代から約7年『Luna Abyss』を開発していた。その制作途上では、350万ドル(約5億6000万円)の投資などを受けつつ開発費を確保していたものの、昨年には経営破綻を起こしていたようだ(gov.uk)。そんな中、Kwaleeに買収され、ついにリリースされた『Luna Abyss』ながら、赤字を補いきれる、あるいはKwaleeが期待するほどの売上が出なかったものと思われる。好評レビューが多数寄せられるタイトルでありつつもスタジオの存続には繋がらなかったという点において、ゲーム業界の厳しさが改めて垣間見える。

『Luna Abyss(ルナ・アビス)』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに販売中だ。PC/Xbox Game Pass向けにも提供されている。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

記事本文: 1984