FBI、テロリストに対抗するためゲームを制作する。若者が過激な暴力思想に染まることを抑止するねらいか


米連邦捜査局(以下、FBI)は「Don’t be a puppet : Pull Back the Curtain on Violent Extremism(操り人形になるな、過激な暴力極論主義 には陥らないで)」という名のキャンペーンサイトを公開した。サイトには「暴力極論主義に染められ、傀儡(かいらい)人形となった十代の若者は、罪のない人々を殺害する都合の良い道具になる」といった警告文が記されている。イスラム過激派組織ISISといったテロリスト組織へ入隊を希望する若者が後を絶たないことを憂慮し、抑止するためにこのサイトは立ち上げられたようだ

サイトにはFBIのディレクターであるJames Comey氏のスピーチや、いかに暴力極論主義が生まれ、いかに人々を取り込むかを説明するページなど数多くのコンテンツが存在し、テロリストの思想に染まらないためにはどうすべきかを学ぶことができる。そして、それらのコンテンツのなかには、FLASHゲームも用意されている。

fbi-made-a-flash-game-to-call-out-teenagers-not-to-join-terrorism-001「Slippery Slope」と名づけられたFLASHゲームの目的は、ヤギを操作しながら障害物を避けていくこと。キーボードの左キーと右キーを使ってヤギを操作していくのだが、このヤギは非常に滑りやすく、かなり慎重に操作しなければすぐに障害物にあたる。障害物にあたったヤギはピクセルのようにバラバラになってしまう。それゆえに、滑りやすさを考慮しながら、丁寧にヤギを操作しながらゴールを目指していくことになる。

このゲーム中の滑りやすさには意味があるようだ。ゲームタイトルのSlippery Slopeは直訳すると、滑りやすい坂。すべり坂論法という呼ばれる論理の手法としても有名な言葉だが、このサイトが若年層向けであることを考えると、「滑り坂のように暴力極論主義に陥るのはあっという間」といったシンプルな解釈をしたほうがわかりやすいかもしれない。本ゲームのヤギの滑りやすさには、一度暴力思想に走るとそのままテロリストへと陥りやすいという意味合いが込められているのであろう。

本ゲームは、ステージ形式が採用されている。唐突に1-6から始まるなど戸惑うことも多いが、ゴールすると「暴力のみが解決策なのだ」などといったテロリストが若者を引き込む際に用いるフレーズが表示され、次のステージへ進んでいく。

ステージが進むにつれて、ヤギの移動速度が上がり障害物が多くなるなど難易度も上がっていく。6-6まで進むと、ステージクリアごとのフレーズが再度表示され、ゲームは終了。再度「操り人形になるな」という警告文が出現し、トップページに戻る仕様となっている。

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操作するキャラクターがなぜヤギであるか、なぜ障害物形式のゲームを制作したのかなど疑問が残る点がいくつか存在するが、FBIがウェブサイトでゲームを公開することはあまりないことであり、物珍しいと言える。「Slippery Slope」はこちらからプレイできる。