『Destiny 2』のBungieが、チート事業者2社相手に勝訴。チート開発・販売は著作権違反と判断下る

 

Destiny 2』などを手がけるBungieが、チート販売業者および開発元を相手取った裁判に勝訴したとのこと。判決は日本時間5月25日までに下されており、6万3210ドル(約1000万円)の賠償命令などが下ったという。ゲームジャーナリストのStephen Totilo氏が伝えている。

Bungieは、アメリカのデベロッパーだ。かつて『Marathon』『Halo』といったFPSゲームを手がけ、現在は『Destiny 2』を開発・運営している。2022年にはSIEにより36億ドル (買収合意発表時の為替レートで約4140億円)での買収が完了。現在は過去作品と同名のPvP脱出シューター『Marathon』を開発中だ。


Bungieは約3年前よりワシントン州西部地区連邦地方裁判所に向けて、チート販売業者AimJunkiesおよび、チートソフトウェアの開発元Phoenix Digital Group(以下、Phoenix Digital)を相手取る訴えを起こしていた。Bungieは著作権・商標権侵害を理由として、損害賠償を求めた。一方のチート販売・開発側2社は、「チートは法律に反していない」などと主張し、徹底抗戦の構えを見せた。係争は長期化し、一時は判事がAimJunkies側の主張を支持する姿勢を見せたり、AimJunkies側が「Bungieによるハッキング被害を受けた」とBungieを訴え返すなどの紆余曲折を見せた(TorrentFreak)。

Bungie対チート事業者らの係争は、今年5月に陪審裁判へと突入した。Stephen Totilo氏が5月25日にX上で伝えた内容によれば、同裁判にてBungie側が勝利したという。陪審らはBungieの主張を認め、AimJunkies側が主張していた、Bungieによるハッキング被害の訴えを棄却。AimJunkiesおよびPhoenix Digital側に損害賠償請求が下ったという。請求されたのは総額6万3210ドル(約1000万円)で、比較的少額に思えるのは、被害額として計算されたのがチートの売上のみであるからのようだ。

なお、Totilo氏の知る限り今回の判決は、少なくとも米国における陪審裁判では初となる、チート関連訴訟における判決だとのこと。チートソフトウェアが著作権侵害だとする訴訟について、ゲーム会社側に与する判例が生まれたことになる。Phoenix Digital側はこの判決に抗い、判決棄却の申立に動くとのこと。

ゲーム会社によるチート事業者を相手取る訴訟はしばしば起きており、『League of Legends』のRiot Gamesや『Call of Duty』のActivisionなどが法的措置の動きを見せてきた。最近では『原神』のHoYoverseを擁するCOGNOSPHEREがチート開発者を相手取る訴えを起こしていた(関連記事)。Totilo氏の投稿によれば、ゲーム会社によるチート事業者への訴訟は基本的に被告不在の「Default Ruling(欠席裁判による裁定)」となる傾向があり、今回のケースのようにチート事業者側が抗戦の構えを見せるのは稀だという。