『原神』のHoYoverseを擁するCOGNOSPHEREは現地時間2023年11月28日、カナダの連邦裁判所にて同作向けのチートツールを開発・販売していたグループのメンバーを提訴。チートツールおよびその情報など一切の引き渡し、および損害賠償の支払いなどを求めている。訴状によるとCOGNOSPHERE側は被告人らに再三にわたって通告してきたものの、一時的な対応のみで活動をやめなかったことから今回の訴訟に繋がったようだ。
『原神』は中国を拠点とするmiHoYoが開発・運営するオープンワールドアクションRPGだ。7つの国や元素が存在するテイワットを舞台とする冒険が描かれる。同作はmiHoYoの子会社であるCOGNOSPHEREのブランド「HoYoverse」より展開されている。
今回COGNOSPHEREがカナダの連邦裁判所にて、『原神』のチートツールを開発・販売していた人物を提訴したことが報じられている。海外メディアPolygonが入手した訴状によると、被告人は複数のチートツール開発グループにて活動していたメンバーで、そのうちひとりはTaigaというハンドルネームを使用していたとのこと。なお訴状によれば現状で素性が判明しているのはカナダ・アルバータ州在住のTaigaのみのようだ。グループメンバーのうち素性の分からないCallow、Belizardd、Witch God Solaelの3名は“John Does”として提訴されている。
訴状においてCOGNOSPHERE側は、被告人らは個人、あるいはグループで複数のチートツールを開発・宣伝・販売してきたとしている。チートツールは『原神』のゲーム内にてスキルなどのクールダウンをなくしたり、スタミナを無制限にしたり、無敵にしたりといった不正が可能になるツールであったという。このうちのあるチートツールは7日間7.99ドル(約1200円)、30日間19.99ドル(約3000円)のサブスクリプションとして販売されていたとのこと。
なお訴状によると被告人らは当初GitHub上でチートツールをソースコードと共に公開していたという。一方でこれに対してCOGNOSPHERE側は2022年11月に、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づき削除を要請。被告人らはGitHub上での公開をやめたものの、Discordサーバーなどで“プライベートショップ”としての活動を開始したそうだ。
COGNOSPHERE側はこうした活動に対しても2023年3月に、著作権および商標権侵害などに基づき停止通告書(cease-and-desist letter)を送付。被告人は停止通告を一度は受け入れて権利を侵害するコンテンツを削除したそうだが、Discordサーバーが引き続き運営され、チートツールの販売が継続されていたようである。また訴状によると、被告人らはHoYoverseが2023年4月にリリースした『崩壊:スターレイル』に向けたチートツールも開発していたとされている。
COGNOSPHERE側は訴状にて、チートツールにおけるロゴ、キャラクターなどのアートの無断使用による著作権侵害について指摘。また被告人らが開発・提供するチートツールの使用がゲーム内購入などの利益を妨げているほか、チートツールへの対処の必要性などからHoYoverseに重大な損害をもたらしたとしている。そうした点からCOGNOSPHERE側は被告人らに対し、停止通告に違反するすべての対象や資料などの引き渡し、および損害賠償などとして5万ドル(約740万円)を超える支払いを求めている。
なお『原神』においてはこれまで、リーク情報を扱うSNSアカウントやコミュニティに対して、厳粛な取り締まりが実施されてきた(関連記事)。一方でチートツールの存在についても運営元は認識しており、開発・販売をおこなう者への対応をおこなっていたようだ。今回の被告人らはCOGNOSPHERE側の再三の“警告”にもかかわらず活動を続け、ついに法的措置が講じられる結果となった。判決を含む今後の動向は注目され、今回の一件を皮切りに別のチート開発・販売グループへの追求がおこなわれていく可能性もありそうだ。
『原神』は、PS5/PS4/PC/iOS/Android向けに基本プレイ無料配信中だ。