『ヘルダイバー2』Steam版、約180の国・地域で突如購入不可に。PSNアカウント連携必須化に伴い、PSNサービス提供外地域で販売打ち切りか

 

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が販売する『HELLDIVERS 2』のPC(Steam)版について、購入できない国・地域が5月5日になって大量に追加されたようだ。Steam版のプレイヤーに対し、PlayStation Network(以下、PSN)アカウントとの連携が必須化されることに伴う措置とみられる。

本作は、デベロッパーのArrowhead Game Studiosが開発した、最大4人協力プレイ対応のTPSだ。今年2月にPC(Steam)およびPS5向けに発売されると、Steam版が一時全世界売り上げ1位になり、また同プラットフォーム上でトップクラスの同時接続プレイヤー数を記録するなど大きな人気を得ている。


そんな『HELLDIVERS 2』のPC(Steam)版が、5月5日になって多くの国・地域で突然購入不可になった模様である。Steamの非公式データベースサイトSteamDBに記録されたログによると、アルメニアやベラルーシ、キューバ、エジプト、ガーナ、ジャマイカ、モロッコ、ナイジェリア、フィリピン、チュニジア、ベトナムなど、約180の国・地域に対し購入制限がかけられたことが確認できる。実際、ストアページから購入ボタンが消えたという報告もみられる。

現時点ではSIEおよびArrowhead Game Studiosからは、本件について特に説明はない。ただ、Steam版向けに5月3日に発表された「アカウント登録のアップデート」に関係する措置であると考えられる。同発表は、ゲームにおける安全性とセキュリティの維持を目的に、ユーザーのSteamアカウントとPSNアカウントの連携を必須化するという内容。アカウント連携は、もともと本作の発売前から必須であると案内されていたものの、技術的な問題によりこれまでは任意とされていた。それが新規プレイヤーは5月6日から、既存プレイヤーは6月4日から連携が義務付けられる。

この決定に対しては、Steamを利用できる国・地域すべてにおいて、PSNのサービスが提供されているわけではないことについて、プレイヤーから懸念が示されていた。つまり、PSNアカウントを作成できず、本作を購入してもプレイできないユーザーが生まれかねない。実は、先述した約180の国・地域ではPSNのサービスが提供されていない。SIEは、当該国・地域での本作の販売を打ち切ることで、そうした懸念に対処したのだろう。


なお、PSNのサービスが提供されていない国・地域に暮らす既存ユーザーに対しては、どのような対応が取られるのかは現時点では不明。『HELLDIVERS 2』のアソシエイトコミュニティーマネージャーSpitz氏は公式Discordサーバーにて、良い解決策が提供できないのであれば、そうした対象プレイヤーにはアカウント連携を求めないとコメントしていたが、実際にそうした措置が取られるのかは現時点で未発表である。

ちなみに、Steamではプレイ時間が2時間未満であれば、理由を問わず返金が可能となっているが、100時間近く本作プレイしたユーザーが返金を求めたところ、受理されたという報告が上がっている(Reddit)。条件を満たしていない場合でも、返金リクエストを送ると担当者が精査する仕組みとなっており、『HELLDIVERS 2』に関してValveは返金対応する判断を下したようだ。


今回の「アカウント登録のアップデート」の発表を受けて本作のSteamストアページでは、PSNアカウントとの連携必須化に不満をもつユーザーから不評レビューが殺到。本稿執筆時点で、発表以降にあわせて約12万件もの不評レビューが投じられており、この影響を受けてレビューステータスは「賛否両論」に低下。直近30日間のステータスに至っては「やや不評」となってしまった。この間には、アカウント連携の必須化はSIEによる決定であるとのコメントが開発元から出されており(関連記事)、SIEに対する批判の声も少なくない。Steam掲示板も同件の不満であふれかえっている。

こうした大きな反響を受けて、一部ではアカウント連携必須化が撤回されることを期待するユーザーもみられた。ただ、今回PSNのサービスが提供されていない国・地域での本作のSteam版の販売が打ち切られたことから、SIEとしては現時点では撤回する考えがないことがうかがえる。ともあれ、週明け以降も本作の動向には注目が集まる。