ベセスダが『Fallout 3』を発表した際「殺害予告が大量にきた」と元開発者が振り返る。脅迫を受けてベセスダ史上初めて警備員を雇った

 

Bethesda Game Studios(以下、Bethesda)にて『Fallout 3』などに携わった元開発者が、『Fallout 3』開発発表当時の様子を述懐。シリーズ開発をBethesdaが受け継いだことにより、殺害予告なども多く寄せられたと明かしている。


『Fallout』は、核戦争後のアメリカを舞台とするRPGシリーズだ。核シェルター「Vault」などが登場する特徴的なレトロフューチャーな世界観や、ブラックジョークが散りばめられた作風を持ち味としている。初期のシリーズ作品はInterplay EntertainmentやBlack Isle Studiosが担当。またBlack Isle Studios を前身とするObsidian Entertainmentが手がける『Fallout: New Vegas』が、2010年にリリースされた。そしてBethesdaは『Fallout 3』以降のナンバリング作品を担当している。

『Fallout 3』は2008年にBethesdaが発売したRPGだ。同作では、ワシントンD.C.にあるVault 101で暮らしていた主人公が、監督官に反旗を翻した父親を追ってウェイストランドへと旅立つところから物語が始まる。また2015年に発売された『Fallout 4』は、舞台をアメリカ・マサチューセッツ州ボストン近郊の「連邦」に移った。Vault 111での人工冬眠から目覚めた主人公として、冬眠中に誘拐された我が子を探すこととなる。


そんな『Fallout 3』および『Fallout 4』にてクリーチャーのデザインを担当した人物が、YouTubeに動画を公開しさまざまな逸話を語っている。その人物とは、両作にキャラクターアーティストとして参加したJonah Lobe氏だ。Lobe氏は、自身が手がけたクリーチャーについて、デザインの意図や、作業にあたっての裏話などを明かした。そして同氏は『Fallout 3』をBethesdaが手がけると初めて発表した際には、興奮の声や強い関心が多く寄せられたものの、殺害をほのめかす脅迫も多く寄せられたという。

Lobe氏は当時の『Fallout』シリーズを取り巻くコミュニティについて、「温かくはないファン(less-than-pleasant ”fans”)」が比較的多かったと述懐している。同氏は当時のコミュニティについて、小規模ながら主張が強かったと表現。Bethesdaが『Fallout』シリーズ復活を手がけることは、“冒涜”であるとすら受け取られたようだと振り返っている。脅迫を含む一連の反響を受け、Bethesdaは会社史上初めて警備員を雇うことになったという。


そうした苛烈な反応の背景としては、当時の『Fallout』ファンたちの間でシリーズナンバリング新作が待ち望まれていたことがあるだろう。『Fallout』がリリースされたのは1997年で、翌年の1998年には続編『Fallout 2』が発売。しかし、Bethesdaによる『Fallout 3』開発発表は約6年後となる2004年だった。そしてBethesdaは当時すでに『The Elder Scrolls』シリーズにて、一人称視点アクションRPG開発元のイメージが定着。また、以降の続編もBethesdaが開発することが伝えられていた。脅迫は当然あるまじき行為ながら、初期シリーズのような斜め見下ろし視点RPGの『Fallout』を望む当時のファンは、Bethesdaへの開発元変更に懸念をもったかもしれない。

しかしながら、同作は2008年のGame of the Year(GOTY)として多数メディアに選出された。レビュー集積サイトMetacriticにおいても、本作は各プラットフォームにてメタスコア90以上(100点満点)という高い評価を獲得している。Bethesdaが受け継いだ『Fallout』シリーズは新たな境地を開拓して、今日まで愛されているわけだ。

『Fallout 3』をBethesdaが手がけるという出来事は当時大きなニュースだった。そのため一部ファンによって殺害脅迫が寄せられ、警備員を初めて雇うといったベセスダ史上初の事態ともなった。しかし結果としてBethesda製『Fallout』シリーズは高い評価を獲得し、大成功を収めているわけだ。なお本動画ではデスクローをはじめとするさまざまなクリーチャーについて、デザイナーの観点から詳細が語られている。気になった人は動画を見てみてもいいだろう。