『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』で“役立たずマシン”たちが続々誕生。電力自動ドブ捨て装置など、無駄の限りだがそれがいい

 

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では、発売から間もなくさまざまな発明がなされてきた。攻略に役立つ多彩な装置が登場するなか、実用性など度外視した、いわば「なんの役に立つんだ」と聞きたくなるマシンたちも生み出されていた。なお、本稿には中盤以降のゲームプレイ要素も映像で含まれるため、注意してほしい。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。

右手の力のひとつ「ウルトラハンド」では、物体同士を繋げたり、ゾナウギアを組み合わせたりして幅広いものづくりが可能。5月12日の本作発売後から、プレイヤーの創造性から数多くの発明品が誕生してきた。アイテム収集装置や戦闘ロボ、優れた移動手段である空中バイクなど、さまざまな機能をもったアイテムが生み出されてきたのである(関連記事1関連記事2)。


そうした発明が共有され注目される傍ら、細々と、しかし情熱をもって生み出されているジャンルの装置がある。それは「何の役にも立たなさそうなマシン」だ。厳密にいえば、「見ていて楽しい」「触って楽しい」といった鑑賞・遊戯向けのメリットはあるものの、攻略上の機能性などを意識していない装置と定義できるだろう。

Redditの『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』工作コミュニティにおいても、そうした作品がしばしばお披露目されている。たとえば、上述の投稿は「エノキダ社長ダンスショー装置」である。この装置を起動すると、エノキダ社長(の看板)が、踊る。スピンするエノキダ、シェイクするエノキダ、冷気を吹き上げるエノキダ。エノキダ(の看板)がカラフルな表情を見せるのだ。その道の趣味をもつ人に向けた、エノキダ三昧が楽しめるマシンではあるものの、攻略の役にはたぶん立たないだろう。

ほかにも派手な視覚効果を追及した例がある。レーザーマシンだ。下記の投稿では、幾何学的に舞い踊るレーザーの前で、リンクがおしゃれな姿をお披露目。ライトによる証明も目まぐるしく、さらに途中では編集によると思われるエノキダ軍団によるダンスもオーバーラップする。ファッショニスタのリンクにふさわしいステージといえるだろう。ただ、機能性としては、レーザーに敵が巻き込まれるのを期待できるくらいだろうか。

本作ではほかにも、さまざまな「役に立たなさそうなマシン」が生み出されている。リンクをひたすら回転させるだけのテーマパーク遊具風装置や、バッテリーを自動消費する“だけ”の、いわば自動的に電力をドブに捨てる装置などが世に出ている。また、エノキダ系では、エノキダ(の看板)がピストンによって四方から圧力をかけてくれるという、これまたエノキダ好きにはたまらなさそうな装置も開発されている。

本稿では便宜上「役に立たなさそうなマシン」として、独創的な装置を紹介してきた。しかしゲーム攻略には使えずとも、見た人に「おもしろい」と思わせる装置は、プレイヤーたちの心を豊かにする役に立つ。それこそ、ゲームを含むさまざまな娯楽がもつ大切な役割のひとつでもあるだろう。

また、そんな装置がさまざま登場するのも、幅広いものづくりが可能な、本作の懐の広さゆえでもあるだろう。手の込んだ例としては、ベーゴマを元にしたタカラトミーの玩具「ベイブレード」風の遊びを、ゲーム内で再現した国内プレイヤーも。また、観賞用としてホタルの姿を作り上げてお披露目した者もいる。本作は、プレイヤーがゲーム内で新たな娯楽やアートを作る段階に到達しているわけだ。

なお、上述の投稿のいくつかは、Subredditである/r/HyruleEngineeringの6月のデザインチャレンジの投稿作品だ。こちらのテーマは「もっとも馬鹿げている/役立たずなデザイン」となっている。来月にかけてさらに役立たずで魅力的な装置が登場するかもしれない。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。