『Battlefield 2042』元スタッフ、「素晴らしいローンチを迎えられるチャンスはほとんどなかった」と振り返る。締め切りの問題で

 

EAのFPS『Battlefield 2042』は2021年10月の発売当時、メディア・ユーザー双方から低評価を受け大きな話題となった。開発元DICEの元スタッフが当時を振り返り、「素晴らしいローンチを迎えられるチャンスはほとんどなかった」とコメントし注目を集めている。


Epic GamesのシニアバックエンドエンジニアJoakim Bodin氏は5月27日、Naughty DogのシニアテクニカルゲームプレイアニメーターMaebe Jay Sewell氏の「もっとも低い評価を受けた担当作品の、個人的に気に入っているところを教えて」という呼びかけに反応。DICEにてシニアソフトウェアエンジニアを務めていた当時に手がけ、先述したように低評価を受けた『Battlefield 2042』について語った。

Bodin氏は『Battlefield 2042』の開発当時を振り返りながら、本作へのクロスプレイ・クロスプログレッション機能などの実装に尽力し、実現できたことを誇りに思っているとした。本作は最大128人という大規模対戦に対応し、さらにすべてのプラットフォーム間でのクロスプレイおよびクロスプログレッションをサポート。難しい仕事を成し遂げたという自負があるようだ。同氏は、DICEが将来手がけるタイトルでも、手がけたオンラインシステムが活躍することだろうと述べている。


一方でBodin氏は『Battlefield 2042』が受けた低評価に関して、本作が素晴らしいローンチを迎えられるチャンスはほとんどなかったともコメントしている。開発中には多くのイテレーション作業を繰り返していたが、締め切りが変更されることはほとんどなかったことが理由だという。もっと開発に時間をかける必要があったにもかかわらず、急いでリリースされてしまったということのようだ。

本作が発売された当時、プレイヤーからはパフォーマンス面の最適化不足やバランス調整不足、バグの多さなどが報告。また本作を特徴付ける要素であった、最大128人対戦用に用意されたマップについて広すぎるなどの調整不足が指摘されたり、従来の兵科(クラス)システムに代わって採用されたスペシャリストシステムへの不満の声が上がったりなど、多くの問題が浮き彫りとなった(関連記事)。

その結果、レビュー集積サイトMetacriticのメタスコアは68と伸び悩み、ユーザースコアに至っては10点満点中2.3点と厳しい評価に。またSteamのユーザーレビューは、当時全体の26%が好評とする「やや不評」ステータスに落ち込んだ。開発の実情を見てきたBodin氏とすれば、こうした評価もやむなしという気持ちだったのかもしれない。

なお『Battlefield 2042』ではその後、バランス調整やバグ修正をはじめとした各種改善が進められてきた。そのなかでは、マップデザインの大幅な見直しや、最大64人対戦に規模を縮小しプレイヤーの密度を上げたモードの導入、兵科システムへの回帰なども実施。そうした改善が実を結んでか、Steamの最近のユーザーレビューは「賛否両論」ステータスにまで持ち直している。また、前出のJoakim Bodin氏のツイートに対して、本作は現在はかなり良くなったと返信する人も多くみられる。

『Battlefield 2042』は、PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中だ。本作ではシーズン5が6月7日に開幕予定で、『Battlefield 4』をイメージした新マップや武器の実装、QoLの向上などがおこなわれる。

ちなみに、今回Bodin氏が回答したトピックに関連しては、ほかにもBioWareの元スタッフが『Anthem』の開発時の状況について語っている(関連記事)。