Steamリリース時のテクニックをまとめた「開発者向けチェックリスト」が共有され注目集める。Steamでゲームが売れるために知っておくといい、さまざまなこと

 

ゲーム開発者が、自らの作品をSteamなどのストアにてリリースする際には、さまざまな作業が求められる。そのなかでは、消費者によりアピールするためのテクニックが存在するようだ。業界のベテラン開発者であり、パブリッシャーValadriaの共同設立者でもあるMatt Hackett氏が4月24日、Steamで作品をリリースする場合に役立つ「開発者向けチェックリスト」を公開。ゲーム開発者から多くの注目を集めている。


Steamでは原則、誰でもゲームを出すことができる。Steamworksに開発者登録をし、100ドル相当を支払う。その後諸々書類手続きを終えて、ストアページ作成していくなどすれば、パブリッシャーなどのサポートを受けていない個人でも、ゲームをリリースできる。しかしながら、出すことそのものは可能だとしても、ゲームがたくさん売れるかどうかは別問題。そこで、そうしたビギナー販売者向けのテクニックが共有されているわけだ。

Matt Hackett氏がまず挙げたのは、Steamのストアページ向けに用意する素材のチェックリストだ。具体的には、カプセルとトレイラーについてである。カプセルとは、個別のストアページ内やゲーム一覧などに表示させるための画像素材のこと。つまり、作品のキーアートやタイトル名が含まれる、Steamを訪れた消費者がまず目にするであろう画像である。開発者は、指定の複数のサイズのものを用意する必要がある。

『Dota 2』における必須カプセル画像の例


カプセルの画像についてのチェックリストでは、ゲームタイトル名を含めることや、分かりやすさ、読みやすさについて確認するよう促している。またゲームジャンルや、作品の売りとなる要素をうかがい知れる画像であることも大事とされている。アーティストを雇って、そうした要素を備える画像を制作してもらうこともひとつの手とのこと。つまり、単なる画像であっても、目につく画像であるので、わかりやすくかつ印象的にすべきということだろう。

一方のトレイラーについては、スキップしながら視聴されることを意識して制作すると良いようだ。チェックリストに記載されているテクニックとしては、出だしから視聴者を惹き込むような展開にすることや、すぐにゲームプレイを見せることが挙げられており、トレイラーの長さとしては60秒以内に収めるべきとのこと。また、一番最後にウィッシュリスト登録や購入を促すメッセージを入れると良いそうだ。一般的にトレイラーでは、一番最初にメーカーロゴのシーンが流れることが多いが、このシーンは省略すべきとされている。

https://twitter.com/RaveofRavendale/status/1650579107686539300

*パブリッシャーNo More Robotsの代表Mike Rose氏は、ロゴシーン省略には反対の立場。1〜2秒でも良いから、スタジオ名を知ってもらう機会は大事だとしている。

「自らの作品をストア内でより目立たせるためのチェックリスト」も用意されている。Steamが採用するアルゴリズムの攻略だ。同チェックリストによると、発売前に7000件以上のウィッシュリスト登録を得ることや、発売後になるべく早く10件以上のユーザーレビューを投稿してもらうことが大事とのこと。レビューに関しては、好評であろうが不評であろうが、とにかくまず10件集めることが肝要。ストアページへの訪問数に影響が及ぶのは、「圧倒的に不評」ステータスの場合のみだそうだ。

このほかチェックリストではないが、開発者が知っておくべきお役立ち情報も掲載。発売初週にはウィッシュリストに全登録者数のおよそ15%が売れると見込めることや、ローンチ後に20%割引を実施しウィッシュリスト登録者に再告知する戦略、また売上としては、1レビューあたり20〜55本程度として予想できることなどが案内されている。総合的に見て、100個のレビューついているゲームは、3000本売れているという考え方もあるとのこと。
【UPDATE 2023/4/26 21:10】
一部訳文を修正


Hackett氏が公開した開発者向けチェックリストのツイートは、現時点で900件以上のリツイートと、5000件以上のいいねが投じられており、大きな注目が集まっている。なかには関連する質問をする開発者もおり、同氏はそのいくつかに回答。たとえば、Steam Deckとの互換性の認証を得ることで売上アップに繋がることや、セール実施の目安はだいたい8週間ごと、体験版を用意すると実況配信者の目に止まる可能性があることなどが述べられている。

同チェックリストについてHackett氏は、より深掘りした情報も存在するものの、重要な点を手早く確認できることを目指したとのこと。結果的に、役に立つ情報であるとして開発者間で広く共有されている模様。ただ同氏は、今後チェックリストをさらにブラッシュアップさせていきたいとして、さらなる情報やアイデアを募っている。興味のある方は、同氏の動向をチェックしておくと良いだろう。



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