『The Last of Us』開発者、スタジオ新作は「わざと発表を遅らせている」と明かす。過去作のような過重労働を回避するため


The Last of Us』シリーズの主要開発者であり、Naughty Dogの共同代表を務めるNeil Druckmann氏は1月6日、海外メディアComicbookのインタビューに応じた。配信まで1か月を切ったHBO製作の同作実写ドラマ化作品について語ったほか、Naughty Dogが手がける未発表の新作については、「発表を意図的に遅らせている」との旨を説明。背景には、同スタジオにおける労働問題が絡んでいるようだ。


Naughty Dogでは現在、二つのプロジェクトが進行中であると目されている。ひとつは『The Last of Us』のマルチプレイ作品だ。こちらはストーリー要素のあるスタンドアロン作品として告知されており、すでにコンセプトアートなどが公開されている(関連記事)。しかし、もう一つのプロジェクトについては、詳細は伏せられたままだ。この未発表プロジェクトへの質問に対し、Druckmann氏が回答。それによると、新作となるこのプロジェクトの発表は意図的に遅らせているという。

Druckmann氏が新作の発表時期を遅らせる理由のひとつとして挙げたのが、Naughty Dogにおけるワークライフバランスの問題だ。過去に同スタジオが手がけた『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』や『The Last of Us Part II』の開発においては、それぞれの作品をあまりにも早すぎる段階で発表してしまったと説明。そのため、従業員らのワークライフバランスに問題が生じてしまったと語っている。今回のように新作発表のタイミングを後ろにずらすことで、開発スケジュールにも余裕が生まれ、より開発の進捗を意識できるようになると述べた。


事実として、Druckmann氏が例に挙げた2作品は、いずれも当初の予定から発売日を延期した経緯を持つ。また以前から、Naughty Dogでは開発者の過重労働が常態化しているとの報道がなされてきた(関連記事)。開発の早期段階で作品を発表することは、スケジュールを圧迫し、過重労働やリリース延期につながる懸念がある。新作へのファンの期待が高まっていることに理解を示しつつも、Druckmann氏はこうした過去作での経験やスタジオの労働状況をふまえ、新作の発表を意図的に遅らせていると説明したかたちだ。

なお、『The Last of Us』シリーズの今後の展開としては、初作のPS5向けリメイク『The Last of Us Part I』のPC版が日本時間3月4日にリリース予定。あわせて前述の通り、マルチプレイ作品の開発が進められている。一方、未発表のプロジェクトは詳細不明だ。同スタジオといえば『The Last of Us』シリーズのほか、『アンチャーテッド』『クラッシュ・バンディクー』といった人気IPも手がけている。あるいは、まったく新しい作品になる可能性も十分あるだろう。いったいどのような作品が生まれるのか、スタジオの判断を尊重しつつ、楽しみに待ちたい。