『クライシスコア-ファイナルファンタジーVII – リユニオン』の“パフォーマンス”詳細が明かされる。ハードごとのfpsや、ボーンの流用、C++を加味したUE4採用など

 

スクウェア・エニックスは11月17日、『CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION(クライシスコア-ファイナルファンタジーVII – リユニオン)』(以下、CCFF7R)のグラフィックに関する情報を公開。各プラットフォームの解像度とフレームレートなどのほか、興味深い開発の裏側が明かされている。

『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』(以下、CCFF7)はPSP向けに発売された作品。『FF7』のメインキャラであるクラウドとエアリスとも深く関わる青年・ザックスを主人公とした作品だ。『ファイナルファンタジーVII』の前日譚ともいえる作品で、ユニークなバトルシステムが導入されたほか、儚くも悲しい物語が描かれた。またシリーズにおける主要キャラの過去を知れるという点でも重要なタイトルであった。

『CCFF7R』は、『CCFF7』の現世代機に向けたリメイク版となる。グラフィックのHD化だけでなく、すべての3Dモデルを一新。フルボイスへの対応や楽曲のアレンジなど、さまざまな点でグレードアップ。また現代向けにバトルを含めたゲームプレイも最適化されているという。HDリマスターに留まらない進化が楽しめるそうだ。

このたび、本作の対応する各プラットフォームにおける解像度とフレームレートが公開された。詳細は以下のとおり。なおフレームレートについては記載されている値を上限とした可変フレームとのこと。

公式サイトより引用


またXbox Series SではDay1パッチが配信予定となっており、パッチ適用後のVer 1.0.1においては60fpsが上限となるそうだ。そのほかSteam版ではグラフィック設定を切り替え可能。詳細は以下のとおりだ。

  ・画面モード:ウィンドウ / 仮想フルスクリーン /フルスクリーン
  ・画面解像度:ディスプレイ依存
  ・フレームレート:30 / 60 / 120FPS
  ・垂直同期:オン / オフ
  ・テクスチャ品質:高 / 中 / 低
  ・影の品質:高 / 中 / 低
  ・アンチエイリアス:高 / 低 / オフ
  ・アンビエントオクルージョン:オン / オフ

また技術的スペックのほかにも、本作開発の裏側が海外メディアに向けて明かされている。本作は上述のように、多岐にわたるプラットフォーム向けに開発されている。プラットフォームごとにスペックが異なるため、それぞれの処理負荷を測定し、プラットフォームごとに最適な解像度とフレームレートを設定したそうだ。それでも処理負荷の高いイベントがいくつかあったため、さらにカットごとに調整を加えたとのこと。

そして特にPC版では、さまざまなハードウェア環境でプレイされることになるため、想定される環境すべてに対応するのは大変な作業であったという。特にディスプレイやキーボードは、それぞれ画面解像度やキーの仕様が異なる。想定される組み合わせすべてで動作するように、ゲームシステムを実装する必要があったとのことだ。コンソールゲームのPC向け移植における困難が、改めて浮き彫りになったかたちだ。

また本作はUnreal Engine 4(以下、UE4)で開発されているという。UE4が選ばれた理由としては、複数のプラットフォームをサポートし、ハイエンドゲーム開発用に設計されているためだそうだ。またUE4ではC++が使用できる。そして、オリジナル版であるPSP向けの『CCFF7』もC++で開発されていたという。当時のソースコードの移植も加味して、C++が利用できる点がUE4が選ばれた理由のひとつだという。


そのほか、480×272ピクセルの画面解像度であったPSPからの移植に際して、各グラフィックデータも刷新されているとのこと。ほかの『ファイナルファンタジー』シリーズ作品を参考にしつつ、エフェクトやUIが再設計・更新されているそうだ。UE4での描画に合わせた調整や、新たな照明効果・後処理効果なども追加。グラフィックの雰囲気は大幅に向上しているという。

本作はリメイクとリマスターの中間を目指して開発されているといい、オリジナルの良さを残しつつ現代向けに調整されているとのこと。なかでも、キャラクターモデルのボーン(骨組み)についてはオリジナルのものが流用。指に新たなボーンが追加されたり、服のデザインを一部変更したりしているものの、体の構造、顔、髪のボーンはPSP版と同じだそうだ。流用にあたっては開発リソースの都合もあったものの、これを実際にゲーム内で動かしてみると想像以上に優れた質感でキャラが表現されていたという。当時の技術で作られたボーンながら、完成されたビジュアルが現在でも維持。リメイク版開発チームはオリジナル版制作チームの優れた技術力に感銘を受けたそうだ。

そのほかカットシーンについては、スクウェア・エニックスの映像制作集団「イメージ・スタジオ部」が担当。オリジナル版のカットシーンから、AIアルゴリズムや独自の画像解析技術を利用して画像の伸長処理がおこなわれているという。またオリジナル版から利用可能なテクスチャも活用しながら、当時の印象をできるだけ維持したカットシーンのリメイクがおこなわれたそうだ。一方で召喚獣のカットシーンは、オリジナル版でのインパクトや印象を維持しつつ、プレイのテンポを向上させるために完全に作り直されているとのことだ。


『ファイナルファンタジー』シリーズにおいて、発売前にパフォーマンス情報が詳細に明かされるのは珍しい。複数のプラットフォームで同時発売となり、それぞれのパフォーマンスが違う点が関係しているのだろう。当時のリソースを上手く用いつつ汎用性の高いゲームエンジンUE4で開発されているとのことで、各プラットフォームへの最適化には期待がかかる。そしてオリジナル版をリスペクトしつつ、こだわりをもって実施したというリメイク部分全体にも期待したい。現代向けに蘇る『クライシスコア-ファイナルファンタジーVII – リユニオン』の登場を楽しみにしておこう。

CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION(クライシスコア-ファイナルファンタジーVII – リユニオン)』はPC(Steam)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに12月13日(Steam版は12月14日)に発売予定だ。