『VALORANT』公式競技シーンの「2028年」までの構想が発表される。すでに6年後まで見据えたシーンづくり

 

Riot Gamesは8月17日、『VALORANT』競技シーンの中心であるVALORANT Champions Tour(以下、VCT)が、2028年までにどのように展開するかの構想を発表した。発表によれば、VCTの中でも地域Challengersに重点を置き、現在活躍する選手たちがより明確な目標を持って努力できるシステムになるほか、新鋭の選手たちにとっては世界の大舞台へ上がるチャンスを増やすことにもつながるようだ。今から6年先である2028年まで見据えているという点で、長期的な視点で考えられていることがうかがえる。

従来のVCT

VCTは、最近勢いを増しているタクティカルシューター『VALORANT』の競技シーンの中心となる存在だ。2021年から始まったVCTは、全世界を主にEMEA、NA、LATAM、APAC、Brazil、Japan、Koreaのリージョン(地域)に分類。その中で世界大会への出場権を得るチームを競う「Challengers」、そこで選ばれたチームが王座を巡って争う世界大会「Masters」、そして「サーキットポイント」(トーナメントの成績によってチームに分配されるポイント)の上位が、世界一位を巡って競い合う「Champions」の3つに分かれていた。ChallengersとMastersは年に2回開催されるため、そこで勝ち点であるサーキットポイントを稼ぎ、最後にChampionsにて一位を目指すというシステムである。世界大会を目指すプロチームは、まずChallengersで好成績を収め、Mastersへのチケットを手に入れる必要があった。

今回発表された構想によれば、このシステム全体が、主にChallengersに関わる部分が大きく変更されるとのことだ。

2023年からのVCT

2023年からは、VCTのシステムが大きく変更される。おもな変更点は、Challengersの拡充と「ドメスティックリーグ」の新設、「Ascension」と「インターナショナルリーグ」の新設、コンペティティブモードの変更だ。


2023年からChallengersが開催される地域が大きく拡充される。今までは7つのリージョンで1つずつおこなわれてきたChallengersの総数が、現行の3倍の21にまで増加するのだ。身近であるアジア太平洋地域はその数がもっとも多く、11のリーグが開催される。Riot Gamesはこの新しいChallengersの形を、「ドメスティックリーグ」と名付けている。2022年にヨーロッパで開催されたVALORANT Regional Leaguesの仕組みは、このリーグの初期構想をもとにしているため、どのようなものか気になる方はチェックしてみるといいだろう。

そして、Challengersの上には、「Ascension」トーナメントが新設される。AscensionはChallengersよりも広域な3つの地域(EMEA、南北アメリカ、APAC)で開催されるものだ。このAscensionでの勝者は、2年間後述の「インターナショナルリーグ」のチームとなり、ドメスティックリーグのチームとはまた異なる待遇で、Masters/Championsなどのグローバルイベントへ挑戦することができるようだ。

「インターナショナルリーグ」は、前述した3つの新しいリージョンごとに10チームまで所属できるリーグである。このチーム数は2027年まで増え続け、最終的には合計で42チーム、リージョンごとに14チームまで所属可能になる見込み。また、このリーグに所属したチームの中には、Riot Gamesとの間で長期的なパートナーシップを結ぶことで、公式から財務的支援を受けられるチームも存在するという。すべてのチームがRiot Gamesとパートナーシップを結べるわけではないものの、プロチームにとってかなり魅力的なシステムといえそうだ。


コンペティティブモードの変更

まだ詳細な情報は明かされていないものの、これまでのChallengersより競技シーン参入の裾野は広がりそうだ。というのも、「ドメスティックリーグ」は、2024年以降に刷新される見通しのコンペティティブモードとつながるのだという。コンペティティブモードで好成績を残すことが、このリーグへの参加権を手に入れる第一歩となるのである。加えて、2024年以降はゲーム内最高ランクである「レディアント」を超える目標ができ、プロチームのスカウトにも役立つはずだとも発表されている。ゲームそのものを盛り上げつつ、競技シーンにも新たな風を吹かす画期的なシステムとなることが期待できる。
【UPDATE 2022/8/17 18:15】
Challengersリーグの表現およびコンペティティブモードの記述などを修正

従来のVCTとは大きく変わる2023年からのVCT。この変更には、世界的大ヒット作であり、競技シーンも今なお人気を誇る『League of Legends』を開発、運営するRiot Gamesの哲学が関係しているという。彼らは、『VALORANT』を世界最大のeスポーツとするため、4本の柱を重要視しているのだ(公式サイトから引用)。

・すべてのレベルで最高峰の競技環境を提供
・地域間/グローバルマッチを継続的・定期的に開催
・長期計画を可能とする健全で持続可能なエコシステムを構築
・世界中のあまねくプレイヤーにプロへの明確な道を提示

発表されたシステムには、この理念がよく反映されている印象だ。こうした理念にもとづき、今後さらに『VALORANT』の競技シーンが発展していくことを楽しみにしたい。また、AscensionトーナメントやChallengersなどの具体的な情報は今秋以降、インターナショナルリーグやグローバルイベントについてはVCT2022が終幕する今後数週間のうちに新たな発表がされるとのこと。新情報を待ちたいところだ。

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