『ニーア オートマタ』の「謎の扉」がネットミームに進化。『マリオ64』や『MGS3』にも現れる謎の扉

 
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先日より『ニーア オートマタ』コミュニティを中心に注目を浴びていた「謎の扉」が、ネットミームとして波及しているようだ。最終的には「ユーザーが作ったModである」とネタばらしされた謎の扉。しかし、その盛り上がりは思わぬ方向に発展し、無関係な作品に謎の扉が仕込まれるに至っている。


「謎の扉」は、ここ最近『ニーア オートマタ』コミュニティを騒がせていた話題だ。発端としては、sadfutagoなるユーザーが、海外掲示板Redditに同作の未発見新エリアの情報を投稿。ゲーム内エリアの「複製された街」に隠し扉があり、「教会」なる場所に続いていると主張していた。あわせて映像も投稿しており、その映像では実際にゲーム内で隠し扉を開き、誰も見たことのない場所に進入していたのだ。本作発売から約5年を経て発見された新たな謎かもしれないとしてコミュニティは騒然。ゲーム内での検証や、sadfutago氏の映像や言動の検証が進められることとなった。

しかし、映像の真偽についてコミュニティが検証を進めた結果、「高い技術力によるフェイク」の可能性が濃厚に。さらに後日、投稿者らがネタばらし。教会に続く謎の扉映像は、3人のMod開発者が、数年かけて制作したものだと明らかにされた(関連記事)。フェイクと明らかになったことで失望を示すユーザーも多い一方で、コミュニティの盛り上がりを歓迎するユーザーたちも。そして、『ニーア オートマタ』Mod開発シーンにて、大幅マップ改変は実現困難とされていた。そうした困難を可能にした技術力を称賛する声もあるようだ。

ユーザー制作であることが判明した「教会」のスクリーンショット
Image Credit: sadfutago on Reddit

そして、本作の検証のさなかに、もうひとつのムーブメントが発生した。謎の扉のネットミーム化である。Mod開発者やゲーム開発者たちが、無関係なゲームに謎の扉を実装し始めたのだ。内容としては「キャラが何もない壁をさぐり扉を開けて、別のエリアへ入っていく」というもの。教会フェイク動画で映されていたエリアを、隠し扉込みでむりやり追加してしまうわけである。また、「隠し扉に進入して、長いハシゴがある垂直の穴を下に降り、ねじれた廊下を進んで教会へ」という、オリジナル動画のエリア構造をなぞるのも通例となっているようだ。

たとえば、『スーパーマリオ64』を使った映像では、マリオが謎の扉を開いて未知の場所に進入。穴に飛び込んで落下し、ねじれた廊下を進む一連のプロセスが見事に再現されている。しかし探索者がマリオであるためか、謎めいた雰囲気はあまりなく陽気な印象。謎というよりスターが待っていそうな雰囲気である。

ほかにも、『Duke Nukem 3D』を利用した再現では、ねじれた廊下のねじれ方がやや荒っぽく無理やり気味。『Half-Life 2』への実装では手の込んだディティールが表現されているものの、竪穴の落下に耐えきれず主人公フリーマンが落下死してしまっている。『メタルギアソリッド3』での再現では、同作の名物でもある「超長いハシゴ」で穴を表現。エリア名についても、侵入時に「Copied City(複製された街)」とロシア語訳と共に表示されるなど芸が細かい。それぞれの作品やエンジンの特色が出た教会エリア再現となっているわけだ。

Image Credit: Nitroid on Twitter

また、自らのゲーム作品に教会エリアを追加する開発者も現れている。3Dアクションゲーム『Out-Class Hunter』を開発中のAmando Gasca氏は、同作に一連の隠しエリアを追加。「隠し扉に入って落下し、ねじれた廊下を通る」という流れを再現している。横スクロールアクションゲーム『Breeze in the Clouds』開発元もこの流行を察知。スタジオの公式Twitter上にて、「ユーザーのひとりが突然投稿した、世界で1人しか入れない場所」として教会エリアの画像を投稿している。なお、同作はいまだ開発中であり、「ユーザーが投稿した」との設定は、謎の扉騒ぎの経緯を盛り込んだ冗談だろう。

『ニーア オートマタ』の未知の教会は、結果として高い技術で作られたフェイクだった。しかし、コミュニティ内外を巻き込んだお祭り騒ぎの余波は、さまざまなネットミームを後に残したようだ。別ゲームへの謎の扉実装に限らず多種多様なネットミームが発生しており、海外のネットミーム集積サイトKnow Your Memeには本件のページが作成されている。今後も、謎の扉を取り巻く一連の騒動は、ネットミームとして定着していくことだろう。もしかすると、今後プレイヤーが実際に開けて探索できる「教会に繋がる謎の扉」を盛り込んだ作品も登場するかもしれない。


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