『Dead by Daylight』から姿を消したチャプター「ストレンジャー・シングス」の復活を望む署名活動が、突如盛り上がりをみせる。帰ってきてデモゴルゴン

 

『Dead by Daylight』から削除されたチャプター「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の復活を望む署名活動が、盛り上がりを見せているようだ。執筆現時点で約2万人を超えるファンが名を連ねており、その勢いがどこまで続くのか注目される。海外メディアGamesRadar+などが報じた。


『Dead By Daylight』は、閉鎖された場所から脱出を試みる生存者と、それを阻止する殺人鬼に分かれ戦う、非対称マルチプレイ対戦ゲームだ。今年にはリリースから6周年を迎え、今もなお展開が続く人気作品である。先月の5月18日には、6周年を記念するストリーミング配信がおこなわれ、多くの新コンテンツが発表されたばかり(関連記事)。そんな本作において、2021年8月16日にとある事件がおこっていた。それは『Dead by Daylight』史上初となる、コラボコンテンツ削除騒動である。

事の発端は2021年8月16日の公式発表だった。本作開発元Behaviour Interactiveは『Dead by Daylight』のコラボチャプター「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の削除を予定していると突如発表したのだ。約3か月の猶予をへて、同チャプターに関連するマップ「ホーキンス国立研究所」が永久的に霧の森から姿を消すこととなった。加えて、殺人鬼デモゴルゴン、生存者ナンシー・ウィーラーやスティーブ・ハリントン、および関連する全コレクション・スキンの販売も停止される事態に。

「ストレンジャー・シングス」といえば、Netflixで配信されているSFホラードラマシリーズである。80年代の田舎町を舞台に、とある少年の失踪事件に端を発する物語を描く作品だ。同シリーズはNetflixにて新シーズンが配信される度に記録的な視聴回数を達成しており、国際的に多くのファンを獲得し続けていることで知られている。


そんな人気作品とのコラボチャプター「ストレンジャー・シングス 未知の世界」にて追加されたキャラクターは、殺人鬼のデモゴルゴンおよび、生存者のナンシー・ウィーラーとスティーブ・ハリントン。いずれもも原作では印象的なキャラクターだが、特にデモゴルゴンに関しては、ゲーム内でも鮮烈な殺人鬼であった。針のような歯がびっしりと生える花のような口がトレードマーク。前方に突進できる強靭な脚力や、生存者を貪り食う時の耳鳴りを覚える奇声など、これまでのキラーとは一線を画す恐ろしい存在感を放っていた印象だ。一方で、そうした不気味な印象とは真逆の反応が、SNSの一角にて盛り上がりをみせていた。一部ファンの間では、デモゴルゴンの存在自体が「かわいい」などと囁かれ、非公式ではあるがデモゴルゴンのぬいぐるみが制作されたり、可愛らしくデフォルメ化されたファンアートなども数多く投稿されており、その人気と愛され具合がうかがえる。原作人気もさることながら、同コラボチャプターもファンに大いに人気だったわけである。

そんなコラボチャプターが突如の告知の後に削除されたことに対して、ファンの間ではさまざまな憶測が飛び交っていた。その多くは「権利上の関係か」といったものであった。また、同問題には本作ゲームディレクターのMathieu Côté氏も言及。海外メディアShacknewsに対して「こうしたコラボ契約を、永続的に結び続けるのは不可能に近い」と述べて、ライセンスなど契約の問題であると示唆していた。また、『Dead by Daylight』ゲーム内でも、ライセンス問題の影響と見られる変化があらわれていた。

たとえばチャプター削除の際、水面下では関連パークの名称すべてに対して変更が加えられている。ひとつ例を上げると、デモゴルゴンのパーク「マインドブレーカー」は「不安を煽るもの」に変更された。これは原作「ストレンジャー・シングス」に登場するデモゴルゴンの親玉的存在、「マインド・フレイヤー」のオマージュだからだろうか。加えて、パークのアイコンや説明文にも改訂が施されており(コンテンツ未購入者のみ)、そのすべてが「ストレンジャー・シングス」の痕跡を『Dead by Daylight』上から消すようなものであった。Behavior Interactive公式としては明言されていないものの、「権利上の関係」という大人の事情が、そこかしこの変更から垣間見える。

そうした騒動から月日が流れ、先月5月31日。オンライン署名サイトChange.orgにて、とある署名活動が突如開始された。同署名活動が求めるのは、『Dead by Daylight』におけるチャプター「ストレンジャー・シングス」の再開。さらに、同シリーズ関連のキャラクターを新しく登場させてほしいとも希望している。この署名活動に対して、本稿執筆時点で既に2万人にのぼる数のファンが名を連ねている。しかし、一体なぜこのタイミングで署名活動が開始されたのか。


その理由として考えられるのは、Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の最新シーズンが配信された影響だ。5月27日には、本シリーズのシーズン4 Vol.1が配信開始されたばかり。大人気ドラマの最新作がついに公開された影響もあってか、5月27日から29日までの3日間で、全世界視聴時間の合計が2億8679万時間を記録。これはNetflix作品の中では、配信後の初週末として過去最高の数字だという。こうした配信のタイミングがあって、今回の署名活動が盛り上がったと思われる。

ファンによる復活熱望の想いが詰まった今回の署名活動。その想いは、Behaviour Interactiveへと届くだろうか。なお『Dead by Daylight』の新チャプター「恐怖心の種」は、6月7日に実装予定。霧の奥へと消えたデモゴルゴンたちの存在を惜しみつつも、新しいコンテンツの登場に期待を膨らませたい。