『VA-11 Hall-A』開発元、続編『N1RV Ann-A』の開発状況などを報告。メイン開発者の休養が続くなか、別の新作を準備中

 

デベロッパーのSukeban Gamesは5月17日、バーテンダーアドベンチャーゲーム『N1RV Ann-A』の開発状況などについて公式サイトにて報告した。

『N1RV Ann-A』は、2016年にリリースされ高い評価を獲得した『VA-11 Hall-A』の続編だ。また新たな舞台となるセイント・アリシア島に存在する高級バーにて、バーテンダーのサムはお客にカクテルを提供。島での犯罪や悪行に悩む多様なお客が訪れるなか、どのようなカクテルを提供するかによって、彼らの人生にさまざまな展開が訪れる。

本作は2020年内発売予定とされていたが、同年末に無期延期とされた。プログラマー兼シナリオライターのFernando Damas氏が、開発をひとりで抱え込んだ結果、燃え尽きたような状態になってしまったのだという。そして新たなプログラマーの手で本作を再構築し、同時にストーリー面についての議論を重ねていたことで、開発に時間がかかっていると当時説明された(関連記事)。

ディレクターのChristopher Ortiz氏は今回の報告のなかで、Fernando氏は、まだ開発現場に復帰できていないことを明らかにした。Fernando氏には、ゲーム開発から距離を置く時間が必要であり、また健康が何より大事であるとして、ファンに理解を求めている。Ortiz氏は、この間にもプロジェクトを前進させようと取り組んでいるとのこと。ただ、必要な開発量に対しマンパワーが足りていない旨のコメントをしている。

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今回の情報公開に合わせて、2019年にSukeban Gamesに加入したイラストレーターのバンブー氏も近況を投稿している。同氏は、「現在の状況はというと、割と厳しいです」とコメント。“厳しい”というのは開発状況ではなく、バンブー氏の体調面のようだ。手がけた仕事のうち、近日公開するものが3割で、残る7割はもしかしたら今後の何年も公開は難しいかもしれないとし、作業は終わっているのに、待っているファンに披露できない状況に辛さを感じているようだ。

ただ、「必ずここ数年間のみんなの努力が詰まった、皆様の期待に応えられるような「スゴいゲムー」を土産に戻ってきます!頑張ります!!!!」ともコメント。長い目で見守ってほしいとした。


Sukeban Gamesは『N1RV Ann-A』以外に、「Next Game」というコードネームで呼ばれているプロジェクトも抱えており、そちらの開発状況についても報告された。同作は、もともと『VA-11 Hall-A』の次にリリースする予定だったアドベンチャーゲーム。初代PlayStation時代を思わせるビジュアルをもつ3D作品になるという。

「Next Game」のシナリオも、Fernando氏が執筆することになっているそうだ。また、フル3Dゲーム開発に移行することの難しさを過小評価していたとして、こちらも開発作業は思うように進んでいない様子。一方で、開発ツールなどの環境は整えることができたそうで、Fernando氏が復帰し、時間が取れればすぐに同作の構築に取りかかれるとした。

もっともこれまでには、Sukeban Gamesが拠点としていたベネズエラの政治経済社会情勢の不安定化や、それを受けての国外へのスタジオ移設、そして新型コロナウイルスのパンデミックなどが発生。それらの影響もあり、『N1RV Ann-A』も「Next Game」も、当初は3~4年のスパンのうちにリリースできると見込んでいたそうだが、想定が狂い現在に至るそうだ。


Sukeban Gamesとしていま主に取り組んでいるのは、『Project D』という3Dアクションゲームだという。Fernando氏不在を前提に、2019年末からUnityを用いて開発を開始したそうで、現在は最終的なゲームデザインが固まった段階とのこと。2022年内にはコンテンツ制作を完了し、それから磨き上げ作業に移っていくそうだ。完成が見えた頃に正式に発表するとしている。場合によっては、こちらの作品が『N1RV Ann-A』よりも先にリリースされることになるかもしれない。

Fernando氏の休養によって、『N1RV Ann-A』をはじめとした作品の開発に影響が及んでいる様子。ただOrtiz氏は、そうしたなかでもゲーム作りに時間を注ぎ込むことができており、Sukeban Gamesは心配されるような状況にはないとコメント。そして、Fernando氏については温かく見守っていてほしいと、改めてファンに呼びかけた。




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