Nintendo Switch Online『星のカービィ64』米国版トレイラーに「流血・暴力」警告が表示され、笑い誘う。カービィは本当に修羅なのか

 

海外にて、『星のカービィ64』トレイラーの「違和感」が話題となっているようだ。任天堂は5月13日、NINTENDO 64 Nintendo Switch Onlineにて『星のカービィ64』を追加すると発表した。追加予定日は5月20日。同作は、2000年に発売された横スクロールアクションゲームだ。カービィが、空から降ってきた妖精の女の子リボンを助け、宇宙に散らばったクリスタルのかけらを集める物語が描かれる。 コピー能力を組み合わせて発動する「コピー能力ミックス」を駆使して、数々の星を冒険。ワドルディやアドレーヌ、デデデ大王といった仲間と、宇宙をまたにかけた旅が繰り広げられる。 

『星のカービィ64』といえば、カラフルに彩られた惑星の数々や、妖精の女の子、不思議なクリスタルなど、ポップでファンシーな印象が特徴の作品だ。その認識は海外でも共通で、Nintendo of Americaからも楽しげなシーンをフィーチャーしたトレイラーが公開されている。ところが、この動画が一部の人には引っかかっているようなのだ。一体何がおかしいのか。その答えは、動画開始1秒時点にある。海外版『星のカービィ64』のトレイラーは、「流血・暴力(Blood / Violence)」の警告から開始するのだ。
  

 
動画の冒頭に表示されるのは、ESRBによるレーティング表示だ。アメリカおよびカナダにてゲームのレーティング審査をおこなう団体で、日本におけるCEROのモデルとなった機関である。ESRBによれば、『星のカービィ64』のレーティングは「Teen」。対象年齢13歳以上とされ、年齢が満たない場合、購入時に保護者の同意が必要となる区分だ。そして、そのレーティングの根拠として、含まれるコンテンツに「流血」「暴力」が挙げられたかたちである。 

注目したいのは、ESRBには「流血」「暴力」とは別に、「アニメ的な流血(Animated Blood)」「アニメ的な暴力(Animated Violence)」という表示も用意されている点だ。ある程度デフォルメされた描写の場合は、こちらの表示が用いられる。にもかかわらず、真正の「流血」「暴力」表示が用いられたということは、審査員の間で『星のカービィ64』にある程度写実的な流血・暴力描写があると認識されたことになる。 

では、本当に『星のカービィ64』に流血・暴力描写は存在するのだろうか。実は、疑惑のシーンがないわけではない(以下、ネタバレを含む)。 
 
 
 

『星のカービィ64』のラストボスはゼロ・ツーなる存在。白い身体に血走った一つ目が特徴の、不気味な敵である。ゼロ・ツーとの戦いでは、ゲームは3Dシューティングに変化する。そしてゼロ・ツーの大きな眼に向かって、射撃をおこなうことになるのだ。ほかのキャラクターに比べてややリアルな目玉キャラであるだけに、少々痛々しい暴力的描写ではあるかもしれない。さらにゼロ・ツーは目玉から赤い球体状の弾を放ってくる。血しぶきに見えないことはない。 
 

Image Credit: Nintendo64Movies 

 
そして、より際どいのは本作におけるスタッフロールである。同シーンでは、『星のカービィ64』に登場するキャラクターが手描き風のイラストで挿入される。そしてスタッフロールにはゼロ・ツーも登場。この場面におけるゼロ・ツーは、明らかに血涙を流しているのである。『星のカービィ64』にて、明確に血液の描写があるシーンといえばここである。  

 

Image Credit: Zephiel810

 
果たして『星のカービィ64』の審査において、ESRBでどのような議論が交わされたかは定かではない。とはいえ、終盤に見られる少々不気味な演出の数々が、レーティングに引っかかった可能性はありそうだ。ちなみにオリジナル版およびバーチャルコンソール版『星のカービィ64』のESRBレーティングは「Everyone(6歳以上対象)」であり、NINTENDO 64 Nintendo Switch Online版より低かった。また国内版『星のカービィ64』のパッケージにレーティング表記は見られないものの、同作を収録するWiiの『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』はESRBではE10+(10歳以上対象)、CEROではA(全年齢対象)のレーティングとなっている。 

怪しいシーンがあるとはいえ、『星のカービィ』といえばやはりキュートで明るい世界観。海外ユーザーの間では、物々しく「流血・暴力」の警告が出たのちにポップな『星のカービィ64』のトレイラーが流れるギャップがシュールな笑いを誘っているようである。 
 

*「理由は何であれ、カービィの予告編が流血と暴力のレーティングT警告で始まるのは笑える」。 

 
ちなみに『星のカービィ』におけるレーティングといえば、最新作であるNintendo Switch『星のカービィ ディスカバリー』でも注目を集めたことがある。英国の任天堂公式ページでの記載にて、同作に含まれるコンテンツとして「暴力」のほか「恐怖」が表記されていたのだ。そして実際に本編では、たしかに恐怖演出と呼べるインパクトのある描写があったことで話題となった。『星のカービィ』シリーズの世界観は、ときどきちょっぴりダークなスパイスが加わっているからこそ、魅力的なのかもしれない。

【UPDATE 2022/05/13 21:03】
オリジナル版およびバーチャルコンソール版『星のカービィ64』のESRBレーティングについて追記 

【UPDATE 2022/05/14 16:37】
『星のカービィ64』トレイラーの「Teen」表記は、「NINTENDO 64 Nintendo Switch Online」全体に対するレーティングである可能性もありそうだ。例として、『マリオゴルフ64』や『バンジョーとカズーイの大冒険』など、ほか作品のトレイラーでもレーティング「Teen」表記が見られる(両作品ともオリジナル版のESRBレーティングは「Everyone」)。とはいえ、「流血・暴力」警告が見られるのは『星のカービィ64』トレイラーのみである。