『RimWorld』がオーストラリアで販売停止に。コンソール版見据えてのレーティングと噂されるも、まさかのSteam版巻き添え発禁


SFコロニー運営シム『RimWorld』のPC(Steam)版が、オーストラリアにて販売を差し止められたようだ。オーストラリアのレーティング機関Australian Classificationにより、RC(Refused Classification、審査拒否)との評価が下されたという。現在、レーティングの該当ページは閲覧できない状態にある。レーティングが下された背景にはコンソール版進出のねらいがあったと推測されているが、逆にSteam版もろとも発売できなくなったかたちだ。

『RimWorld』は未開の惑星を舞台とした、コロニー運営シミュレーションゲームだ。プレイヤーは不時着した入植者を操作し、サバイバルに挑む。宇宙船の断片や資源を拾い、生活基盤を作り上げるのだ。食料不足や災害、病気や侵略など、さまざまなランダムイベントが発生し入植者たちの生命を脅かす。Steamではコンスタントに1万人以上がプレイする大人気ゲームである。

本作は2013年11月にKickstarterで約27万カナダドルを獲得し、Kickstarterキャンペーン出資者向けの早期アクセス配信が進められていた。オーストラリアでも2013年より入手が可能だったほか、2016年7月からはSteamでも早期アクセス配信を開始。2018年に正式リリースを迎えている。
 

 
『RimWorld』が突如としてレーティングを受けることとなった原因としては、同作のコンソール版が発売される予定があるためではないかと推測されている。海外メディアKotakuによれば、レーティングを受けた審査対象として、本作開発元であるLudeon Studiosに並び、パブリッシャーDouble Elevenの名が挙がっていたという。Double Elevenは、『Rust』のコンソール版移植および販売などを手がけたことで知られている。

現時点ではレーティングの該当ページは閲覧できないものの、先述のKotakuやPCGamerなどの海外メディアがその抜粋文を掲載している。審査内容によれば、『RimWorld』は性、薬物乱用・中毒、犯罪、残虐、暴力、嫌悪感を抱かせるような事象を描写・表現、あるいは扱っており、分別ある成人が一般的に受け入れている道徳、品位、礼節の基準に反すると判断。分類するべきではないとの見解を伝えていたという。デフォルメされているものの、流血や欠損をともなう残虐表現やドラッグなどの要素もあり、審査に引っかかった可能性が高そうだ。
 

 
本件に関し、開発元のLudeon StudiosはSteamにて声明を発表。オーストラリア圏では本作のSteamキーそのものが無効化されているため、『RimWorld』の公式Webサイトから同作を購入した場合でもSteamにゲームを登録することは不可能となっているそうだ。また、オーストラリア国外のユーザーからギフトでオーストラリア国内のユーザーに『RimWorld』を贈ることも不可能だという。一方、オーストラリア居住者でもすでに『RimWorld』を入手しているユーザーについては、今回の処分は影響なく、プレイを続けられるとのこと、

スタジオとしては、今回のレーティングがSteamでの販売停止にまで影響を及ぼしたことは想定外だったそうだ。というのも、過去の類例があったためである。2021年3月、『Disco Elysium: The Final Cut』がオーストラリアにて同様に審査を受け、RC(審査拒否)の評価を下された。その際、同作のコンソール版はオーストラリアにおける販売が不可能となったものの、Steam版の販売は継続されていたのだ(のちに『Disco Elysium: The Final Cut』のレーティングはR(Restricted、成人指定)に引き下げられた)。Ludeon Studiosとしては、『RimWorld』も同様にSteam版の販売を継続できると見込んでいたものの、結果的には販売中止の報せを受け取るに至ったという。なぜ本作のみこうした状況に追いやられたのかは不明だそうだ。
 

 
Ludeon Studiosは、本件に際して不満を抱いているユーザーに対して謝罪。現在、問題を解決し、ふたたび『RimWorld』 をオーストラリアのユーザーにも届けられるように取り組んでいるとしている。ただし、何が必要でどれだけ時間がかかるかは、今のところ見通しが立たないとのことだ。

これまでにオーストラリアでレーティングRCを受けて発売が不可能となったタイトルとしては、『Hotline Miami 2: Wrong Number』などが挙げられる。一方で、RC判定を下されつつ引き続き同国で入手が可能な作品も複数存在。暴力FPS『Postal 2』、ホラー協力アドベンチャー『Phantasmagoria』、ベルトスクロールゴアアクション『Mother Russia Bleeds』、成人向けADV『Leisure Suit Larry: Magna Cum Laude』などは、RCのレーティングを下されつつも、いまだにSteamを介してオーストラリアで入手可能であると、PCGamerが伝えている。RCとなったゲームのなかでも、Steamでの販売が取り締まられる場合とそうでない場合の線引きについては、いまだ不明瞭なままである。
 

『Hotline Miami 2: Wrong Number』

 
ちなみに『RimWorld』がRCレーティングを受けたのと同日、日本のタイトルも同様にRC判定を受けた。国内のデベロッパー・ケイブが開発したシューティングゲーム『デススマイルズ I・II』が、「18歳未満の児童、またはそう見える人物」の描写において規制にかかり、RCとされている。

『RimWorld』がレーティングを獲得しようとした背景には、コンソール版に進出するねらいがあったかもしれない。ところが、逆に審査機関に内容の過激さを指摘され、Steam版の販売が差し止められてしまう事態になってしまった。本末転倒というべき事態に、開発元も面食らっていることだろう。『RimWorld』は、Steamにて3600円で販売中。日本からは従来どおり購入可能である。