『ファイナルファンタジーVII リメイク』のティファとイタリアが、セットでネットミーム化。ハレンチ事故が楽しげに昇華される

 

現在SNS上などで、『ファイナルファンタジーVII』登場キャラクターのティファとイタリアの組み合わせがミーム化しつつあるようだ。一見なんの関係性もないこの組み合わせの背景には、イタリア議会で発生した珍事の影響があった。


『ファイナルファンタジー VII』は、1997年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)がリリースしたRPG。当時から大ヒットとなったほか、映像作品やスピンオフ作品にも展開。2020年にはミッドガル脱出までの冒険をリメイクした『ファイナルファンタジーVII リメイク』がリリースされた。世界観やキャラクターも含めて、現在に至るまで根強い人気を誇っている作品だ。

そしてティファは、『ファイナルファンタジー VII』に登場する味方キャラクター。主人公であるクラウドとは幼馴染であり、己の拳で戦うバトルスタイルと、動きやすさ重視の快活さを感じるファッションが特徴だ。性格は優しくも包容力がある。またその過去には秘密もあり、物語中ではクラウドを助ける重要な役回りも担っている。外面・内面の両方で魅力を放っており、数多くのファンが存在するキャラクターなのだ。


そんなティファのファンアートは、昨今においても世界各地のファンが投稿し続けている。しかし最近では、ヨーロッパの国であるところのイタリアと絡めた投稿が増えているようなのだ。ティファはゲーム内の土地ニブルヘイム出身のはずであり、イタリアと明白に関係した描写も作中では見られない。ではなぜ、「ティファとイタリア」なのか。その原因と見られるのが、現地時間1月17日に発生した「イタリア元老院ティファ放映事件」である。

事件の現場となったのは、イタリアのTVチャンネル「Senato della Repubblica(Senato TV)」だった。イタリア元老院すなわち、同国上院議会の様子を放送するチャンネルで、Web上でも映像を配信している。日本で言う国会中継に近いだろうか。17日、同チャンネルではイタリアの政党「五つ星運動(Movimento 5 Stelle)」による議会の様子が放送されていた。参加者のなかには、ミーティングツールZoomを利用して参加した者も居た。

その議会の中継の真っ最中に、ティファの映像が突如として映し出されたのだ。それもただの映像ではなく、3Dモデリングによる二次創作ポルノだった。真剣な議会の最中に、どえらい映像が流れてしまったのである。原因は、Zoomでの議会参加者が該当の映像を流したためと見られる。現地メディアDDayなどによれば、 五つ星運動の議員であるMaria Laura Mantovani氏はこの出来事はハッキングによる被害であると主張している。一方で、同議員は上述の議会で使われたと見られる、Zoom会議IDおよびパスワードをFacebook上で公開している。どのような経緯があったかは不透明な部分もあるものの、ともかくティファのあられもない姿が議会を通じて全国生中継されてしまったのは事実のようだ。

しかし、欧米圏の一部ファンたちはこの珍事を逆に楽しむ姿勢を見せている。各SNS上ではイタリアと絡めたティファのファンアートが散見され、イタリアのユーザーからの投稿もあるようだ。例としては、「ピザを食べるティファ」「イタリア国旗柄の服を着るティファ」などのファンアートが投稿されている。「イタリアティファ」は一種のミーム化の兆しを見せ、 「ティファをイタリア大統領に」とコメントの添えられた絵なども見られる。ティファは短期間にして、無関係なはずのイタリアの一種のアイコン的な扱いまで受けているのだ。


イタリアティファ関連のファンアート投稿はほかにもあり、バリエーションも豊かだ。たとえば、「ベスパ」に乗るティファや、マリオがティファに嫉妬する様子を描くユーザーもいる。「ベスパ」は、イタリアのメーカーであるピアッジオが製造するスクーター。マリオについては、イタリアにゆかりあるキャラである点から抜擢されたのだろう。ほかにも多数のファンアートが投稿されているものの、一部には露出の激しいものもあるため、検索の際には注意されたい。

https://twitter.com/HugoTendaz/status/1484960340450463753


珍事により、イタリア議会で奇妙なデビューを飾ってしまったティファ。しかし事件が面白がられたことにより、より愛されるかたちで脚光を浴びることとなった。それはひとえに、ティファがもともともつ魅力によるところが大きいだろう。きっかけはともあれ、改めて世界の多くのユーザーにティファの存在が広まる契機となるかもしれない。




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