青春SF系RPG『ワールドエンド・サマーデイズ』無料公開。ライトノベル作家が贈る、終わりかけの世界の夏休みをめぐるストーリー

 

ライトノベル作家でゲーム開発者の蒼木いつろ氏は 12月17日、青春SF系RPG『ワールドエンド・サマーデイズ』を、ドワンゴが提供するゲーム投稿プラットフォームゲームアツマールに無料公開した。


『ワールドエンド・サマーデイズ』は、終わりかけの世界の夏休みを巡る探索系RPGだ。「世界が救われても、きっとこの夏に帰りたくなる」というキャッチコピーのもと、ゆるやかに滅びへと向かう近未来の日本で、高校生の少年が夏休みの冒険を通し、世界の謎や秘められた想いを知っていく物語となっている。


『ワールドエンド・サマーデイズ』の作中では、過去に開発された「海の汚染物質を分解して無害化するナノマシン」がエラーを起こしたことで、生物を含めたあらゆる有機物を分解する「死の海」が世界を覆っているという。これにより海の生命は消え去り、深刻な食糧危機から各地で暴動が多発したが、現在では暴動が起こるほどの人口も残っておらず、世界は穏やかさを取り戻しつつも、ゆるやかに滅びへと向かっている。登場人物は、そんな世界に再建された数少ない高校に通う少年と少女だ。夏休みの前、そんな彼らの前に自らを「ヒーロー」と名乗る謎の少女が現れたところから物語は始まる。


『ワールドエンド・サマーデイズ』は「RPGツクールMZ』」を用いて制作されている。シンプルな操作性と、町を探索したり住民と会話したりして情報を集めつつストーリーを進めていくアドベンチャーゲームだ。RPGらしくバトル要素もあるが、敵と戦ってレベル上げをするよりも、主に探索の中でアイテムを獲得したり経験値を得たりする仕組みとなっているため、ストーリー進行をメインに遊べるようになっている。

ゲーム進行は、ストーリーをしっかり読めば何をすべきかが分かるようになっているため、純粋にストーリーを楽しむのが良いだろう。切なく、スローテンポなBGMと相まって、非常に良い雰囲気を味わうことができる。また、NPCとの会話や、学校内の掲示板のテキストもしっかり用意されており、メインのストーリーだけでなくマップ内をくまなく散策するのもゲームの雰囲気を感じられる。ライトノベル作家によるシナリオということもあり、キャラクター同士の掛け合いや高校生らしい言葉遣いなど、節々に青春の影を感じさせる読み応えのあるテキストも光る。


開発者の蒼木いつろ氏は、富士見書房が開催する第33回ファンタジア大賞で審査員特別賞を受賞し、今年4月にライトノベル作家としてデビューしている。デビュー作は 「少女と血と勇者先生と」。蒼木氏はゲームプランナーとしても、ラノベ作家としても活躍しているわけだ。「少女と血と勇者先生と」で評価されたストーリーの切なさと美しさ、そして構成の丁寧さが「ワールドエンド・サマーデイズ」にも引き継がれているだろう。

ノスタルジックな夏休みの中に切ない真実が描かれる青春SF系RPG『ワールドエンド・サマーデイズ』は、現在ゲームアツマールにて無料公開中