『Skyrim』のキツネはプレイヤーをお宝に導くか。発売直後から囁かれてきた噂の真相を元開発者が明かす

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オープンワールドRPG『The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、Skyrim)』 海外プレイヤーを中心に長年囁かれてきたある噂について、同作元開発者が興味深い事実を明かした。その噂は「キツネを追うと宝や重要な場所に辿り着く」というもの。キツネは宝を追っているのか否か、その答えはゲームの仕組みの内側にあったようだ。
 

 
『Skyrim』は根強い人気を誇るロングラン作品だ。最近では『Skyrim』冒頭で発生する「荒ぶる馬車」バグについて語る元開発者Nathan Purkeypile氏のSNS投稿が話題になるなど、いまだ多くのプレイヤーの興味を集めている(関連記事)。こうしたなか、同作ではある噂がまことしやかに囁かれてきた。それは、「野生NPCであるキツネを追いかけると、宝や重要な場所に辿り着くことができる」という説だ。

今回「キツネの先にお宝説」に関する種明かしをしたのは、『Skyrim』に開発おいてレベルデザイナーを務めたJoel Burgess氏だ。同氏はBethesda Softworksにおいて『Fallout』や『The Elder Scrolls』シリーズの開発に携わった後、『ウォッチドッグス レギオン』の開発に参加。現在はCapybara Gamesにてスタジオディレクターの役職に就いている。同氏は上述のPurkeypile氏の投稿に触発され、噂について自身のTwitterアカウント上で語った。

まず結論からいえば、「キツネを追った先に何かがある」という挙動については、確かにその傾向はある。しかしそれは開発者が意図して仕込んだものではないとのこと。発売後に囁かれ始めた噂については開発側も把握しており、興味の対象だったようだ。Burgess氏はキツネにまつわる現象について、自身を含む“妙な挙動実装の常習犯”である当時の同僚たちを次々に尋問していったものの、“自白”は得られなかったとのこと。そしてゲーム内スクリプトを精査しても原因は見つからなかったそうだ。最終的に真相を突き止めたのは、疑いをかけられた同僚のひとりであるJean Simonet氏だった。
 

 
原因は、NPCのマップ上でのナビゲーションに関わる技術「Navmesh」だったという。Navmeshはかいつまんでいえば、AIキャラクターが目的地への移動ルート計算などに利用する、ポリゴンで構成された地平のようなものだ。通常の環境ではプレイヤーにとって不可視となっているNavmeshは、最小単位である三角形ポリゴン(トライアングル)が連なって構成されている。

このNavmeshの密度は『Skyrim』の広大なマップのなかで一定ではない。町中や重要スポットでは建物や設置物といったオブジェクトが増えるため密度が高くなり、だだっ広い場所や野山などのロケーションでは密度が低くなりがちだという。つまり、「何かある場所ほどトライアングルがぎっしり詰まっている傾向」があるのだ。

そして、キツネはプレイヤーに気づくと基本的に逃走し続ける。この逃走経路のチョイスにもNavmeshが用いられており、キツネはトライアングルを渡り歩いてプレイヤーから遠ざかっていく。興味深いのは、キツネが「プレイヤーから100メートル離れる」のではなく「プレイヤーから100トライアングル分離れる」という処理をしている点だ。
 

 
逃走し続けるキツネは100トライアングルを目指して逃げ惑う。そして、トライアングルの密度が多い場所はどこか?そう、「何かがある場所」なのだ。つまり、キツネが追跡者であるプレイヤーを導いていたのは、単純に効率よく100トライアングル分逃走できるNavmeshの存在する場所であり、結果として辿り着くのがお宝が存在する重要スポットだったというわけだ。Burgess氏は「なんにしても、プレイヤーにとっては同じことだけどね」と語りつつも、今回のキツネの挙動のようにゲームメカニズムの相互作用が偶然に導き出すゲームプレイ要素への愛情を綴っている。

『Skyrim』は発売10周年となる今年11月11日に、10周年記念作品『The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition』を海外向けにリリースすると発表している(関連記事)。AIが変更されていなければ、同作でもキツネが“お宝”に導いてくれることだろう。

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