『フォールアウト: ニューベガス』開発元、『The Elder Scrolls』などのスピンオフ開発を何度も打診したがベセスダに却下されていたとの報告。『スカイリム』後の空白期間を埋める提案だった

『Fallout: New Vegas(フォールアウト: ニューベガス)』などに携わったObsidian Entertainmentの元スタッフによると、同スタジオはBethesda Softworksに『The Elder Scrolls』などのスピンオフ作品の開発を何度も打診していたものの、却下されてしまった過去があるという。

Fallout: New Vegas(フォールアウト: ニューベガス)』などに携わったObsidian Entertainment(以下、Obsidian)の元開発者Chris Avellone氏の発言が注目を集めている。同氏によれば、Obsidianは、Bethesda Softworks(以下、Bethesda)に『The Elder Scrolls』などのスピンオフ作品の開発を何度も打診していたものの、却下されてしまった過去があるという。


『Fallout』シリーズは核戦争後のアメリカを舞台とするRPGだ。『Fallout: New Vegas』は、Obsidian が開発を手がけ2010年10月にリリースされた。ゲームエンジンやシステムはBethesda Game Studiosが手がけた2008年リリースの『Fallout 3』をベースにしており、シリーズのスピンオフ作品といえる立ち位置だ。

なお開発元Obsidianは、第1作『Fallout』および第2作『Fallout 2』を手がけたBlack Isle Studiosを前身としている。同スタジオは親会社Interplay Entertainment(以下、Interplay)の財政難により2003年に閉鎖。同年、閉鎖直前のBlack Isle Studiosの主要スタッフが中核となってObsidianが設立された。ちなみにBlack Isle Studiosはその後、Interplayのレーベルとして2018年に復活を果たしている。

Chris Avellone氏は当時のInterplayに在籍し、『Fallout 2』のデザイナーなどBlack Isle Studiosの作品開発にも関わっていた人物だ。Obsidianの共同設立者のひとりでもあった。その後同氏はObsidianにてCCO(Chief Creative Officer)を務め、ナラティブデザイナーやライターとして作品開発にも参加。『Fallout: New Vegas』にもライターなどの立場で携わっている。その後同氏は2015年にObsidianを退職し、現在はフリーランスのナラティブデザイナー/ライターとして活躍している。


今回注目を集めているのはChris氏が2022年2月に投じたポストだ。同氏はユーザーの質問に答えるかたちで、Bethesdaは『Fallout: New Vegas』のリリース以降たとえば「Fallout: New Vegas 2」といったスピンオフ作品を手がけようとしなかったと言及。さらに同氏いわく、Obsidian側はBethesdaが手がける『The Elder Scrolls』シリーズのスピンオフ作品などの開発をBethesda側に打診していたという。しかしBethesda側からの返答はなかったそうだ。

そして先日12月15日に海外メディア80 Levelがこの投稿を報じ、Chris氏は改めて当時の状況を説明している。Chris氏によれば『The Elder Scrolls』のスピンオフ作品の提案については同氏がおこなったといい、『The Elder Scrolls V: Skyrim』から次回作までの間を埋める役割を想定した提案だったそうだ。


当時Chris氏は、Infinity Ward(およびSledgehammer Games)とTreyarchが『Call of Duty: Modern Warfare』シリーズと『Call of Duty: Black Ops』シリーズをかわるがわる手がけ、シリーズ作品が毎年リリースされていた状況に着目。同じようなペースとはいかないものの、Bethesda作品でも同じような戦略をとるのもよいだろうと考えたそうだ。同氏には、Bethesdaのメインタイトル発売後、同じ世界設定またはタイムラインを変えてスピンオフを打ち出すような構想があったとのこと。

一方でChris氏いわく、『Fallout: New Vegas』の評判にBethesdaは満足している印象はなかったそうだ。ちなみに同作は現在では好評を受けており根強い人気もあるものの、発売当時は多岐にわたる不具合など課題を抱え、パッチでの修正がおこなわれていた。同作の評判を受けて提案が却下された可能性もあるだろう。

他方で、Bethesdaは『The Elder Scrolls』シリーズの新展開として、MMORPG『The Elder Scrolls: Online』を2014年にリリース。結果的に同作がシリーズの間を埋める形で運営されている。『The Elder Scrolls』のスピンオフ提案が却下された当時、そもそもすでに『The Elder Scrolls: Online』が計画されていた可能性はある。Bethesda側が『The Elder Scrolls』次回作まで長期の空白期間を見込んでいたのであれば、シングルプレイ買い切り型のスピンオフ作品ではなくオンラインの運営型ゲームで間を埋めるといった考えがあったのかもしれない。


いずれにせよBethesda作品では『Fallout: New Vegas』以来、シングルプレイ買い切り型のスピンオフ作品は登場していない。そうしたなかでChris氏により明かされた「Obsidian側からは提案していた」とのエピソードは興味深いところだ。なお現在は両スタジオともにマイクロソフトのXbox Game Studios傘下企業となっており、今後再びObsidian手がける『Fallout』シリーズスピンオフ作品などが推進しやすい環境はあるといえるだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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