カプコン、2022年3月期第1四半期業績が好調。『バイオハザード ヴィレッジ』などで過去最高の売上・利益に


カプコンは7月29日、同社のIRサイトにて2022年3月期第1四半期連結業績(2021年4月1日~2021年6月30日)を公開した。第1四半期の売上高は前年同期比で104.1%増の484億2300万円、営業利益は前年同期比120.4%増の236億400万円。親株式会社に帰属する四半期純利益は、前年同期比121.9%増の173億4000万円となっている。結果として第1四半期決算は、売上高およびすべての利益項目で過去最高を達成。大型タイトルの影響で好調な業績を残した。


主力となるデジタルコンテンツ事業においては、コンシューマーでの新作大型タイトルおよびデジタル販売を主因として増収増益となった。5月8日に発売された『バイオハザード ヴィレッジ』は、全世界で450万本を出荷。本作の成功についてカプコンは、美しいグラフィックと恐怖の相乗効果が生む没入感が評価された、と分析している。さらに新作販売を機にシリーズ全体が伸長したとのことだ。『モンスターハンターライズ』も引き続き根強い人気によって販売本数を伸ばしたという。

またカプコンは『モンスターハンターライズ』や過去のシリーズ作などを中心としたリピートタイトルの販売など、デジタル販売を積極的に推進。デジタル販売が好調に推移したことにより、業績向上のけん引役を果たしたとのこと。採算性の高いデジタル販売本数が大幅に増加し、総販売数は前年同期の920万本を大きく上回り、1330万本を記録している。ちなみに海外販売本数比率は81.2%であるようだ。

モバイルコンテンツについては、カプコンの主力IPを用いたライセンス収益が利益に貢献したとのこと。カプコンは協業タイトル『Devil May Cry: Peak of Combat』(現地名:『鬼泣-巅峰之战』)を中国で6月11日に配信開始。すでに中国で展開中の『街霸:対決(ストリートファイター:デュエル)』は安定的に推移しているという。結果としてデジタルコンテンツ事業の売上高は前年同期比104.5%増の439億1800万円、営業利益は前年同期比107.2%増の244億5500万円となった。


その他事業においては、ゲームソフト販売と連動し、ワンコンテンツ・マルチユース戦略を推進しているとのこと。タイトルのブランド価値向上に向けて、グローバルでの主力IPを活用したキャラクターグッズなどの販売に注力したとしている。映像分野においてはCGドラマ「バイオハザード:インフィニットダークネス」がNetflixで7月8日から配信中だ。

eスポーツ分野においては、世界の19地域で開催される『ストリートファイターV チャンピオンエディション』の大会「CAPCOM Pro Tour Online 2021」を4月からオンライン大会として実施中。6月からは「インテル・ワールド・オープン」にて、『ストリートファイターⅤ』の予選大会が、7月には地域決勝大会が開催された。グローバル規模でのユーザー層拡大に向けた施策を推し進めたとしている。


またカンファレンスコールでは、PC向けゲームについての興味深い質疑応答がなされている。PCもコンソールと同様に重要なチャンネルであると強調するカプコンに対して、PC 版の需要はコンソール版の需要を上回っているのかと質問があった。PC版はコンソールの需要は上回っていないが、両者の差は小さくなりつつある印象だとカプコンは答えている。またグローバルにおけるPC ユーザーの増加について考えを伺いたいとの質問には、既存市場に加え新興国市場において顕著に拡大していると回答。こうした質疑応答から、カプコンがPC版のゲームへいっそう注力することも考えられそうだ。

近いうちに残高が1000億円を超える勢いである、カプコンの保有するキャッシュの用途も質問にあがった。こちらについてカプコンは、年間約300億円を開発投資に使用していると回答。市場に大きな環境変化が起こった際でも、3年は安定的に事業が継続できるよう1000億円程度は手元に置くことが適切であるとしている。ただし先進技術の研究やビジネスインフラへの投資も継続していくとのこと。

またカプコンは2022年3月期連結業績予想として、売上高1000億円・営業利益420億円を見込んでいる。7月29日には『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』をPlayStation 4/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに発売。『モンスターハンターライズ』についても、今後のロードマップが発表済みだ。またNintendo Switch向けに7月9日発売された『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』は、全世界販売本数100万本を達成している。今後もカプコンの快進撃は続きそうである。