Google、Stadiaにおけるメーカーとの収益配分などに新たな仕組みを導入へ。期間限定でメーカーの取り分を引き上げ

Pocket
reddit にシェア
LINEで送る

Googleは7月14日、ゲーム開発者向けイベント「Google for Games Developer Summit 2021」の2日目を開催。その基調講演にて、同社のクラウドゲームサービスStadia向けにゲームを提供するメーカーとの収益配分などについて、新たな仕組みを導入すると発表した。

Stadiaは、Googleが欧米22か国で展開中のクラウドゲームサービスだ。サーバー側でゲームを実行し、プレイヤーが操作をおこなうスマホやPCなどのデバイスにゲーム映像をストリーミング。インストールなしで高品質なゲームを楽しめる。PlayStation NowやXbox Game Streaming(Project xCloud)などと同様のサービスである。
 

 
今回のイベントの基調講演には、Stadiaの戦略的ビジネス開発チームのCareen Yapp氏がオンラインにて登壇。Stadiaのサービスとしてのこれまでの歩みを簡単に振り返ったのち、ゲーム開発者向けの施策を紹介した。

Stadiaユーザーは、無料で登録し個別にゲームを購入してプレイできるほか、月額9.99ドルのサブスクリプションStadia Proに加入すれば、毎月拡充を続けるゲームライブラリにアクセス可能。今回そのStadia Proについて、ゲームを提供するメーカーがさらなる利益を得られる仕組みが発表された。

今後Stadia Pro向けに提供されるタイトルのメーカーに対しては、プレイヤーのエンゲージメントに応じて、同サービスからGoogleが得る利益の70%が還元されるという。エンゲージメントはセッション日数でカウントされ、たとえば1日に2回プレイされても1セッション日となる。
 

 
さらに、今年10月1日から2023年末までの期間限定で、メーカーとGoogleとの収益配分を85:15にするインセンティブプログラムも発表。対象は、期間内に新たに配信される全タイトルであり、また売り上げの最初の300万ドルまでとなる。従来の収益配分は公表されていないが、メーカーがより多くの利益を得られる仕組みとなる。

このほか、専用のリンクをクリックするだけですぐにプレイを始められるClick to Playを通じて、新規ユーザーがStadia Proに加入した場合、ひとり当たり10ドルをメーカーに支払うアフェリエイトマーケティングプログラムも発表。先述のエンゲージメントに繋がる施策だとしており、こちらは2022年前半に導入するとのこと。
 

 
Stadiaでは、これまでに180タイトル以上がリリースされているという。Unityと協力してインディー開発者向けに提供している支援プログラム「Stadia Makers」などが存在し、またゲーム展開における多様なビジネスモデルをサポートしていると、Yapp氏はアピールする。

また、パートナーであるメーカーからのフィードバックを受けて、新たなツールや機能の開発を継続すると表明。さらに、Stadia向けタイトルの開発・提出・認定手続きは、これまで以上に簡単になるよう改善を続けていくとした。
 

 
Stadiaは2019年11月にローンチし、新作の対応プラットフォームのひとつに挙げられることも徐々に増えてきた。一方で、今年2月には専用タイトルを手がけていたStadia Games and Entertainmentが閉鎖。Googleは、莫大なコストと時間がかかる自社ゲーム開発から、パートナーへの協力の強化へと方針転換している。

今回発表された施策の数々は、さらなるパートナーをStadiaに呼び込むための一手だといえるだろう。85:15という収益配分は、期間限定ではあるものの、一般的な70:30と比べてメーカーには魅力的に映るはず。また、tinyBuildの『Hello Engineer』などのように、Stadia先行配信をもちかける動きも今後継続していくことになるのかもしれない。
 

 
なお、Stadiaは現在欧米22か国で展開されており、日本向けにはまだ提供されていない。Careen Yapp氏は、Stadiaの対応市場を拡大していく方針についても語っているため、日本でのサービス開始にも期待したいところである。

Pocket
reddit にシェア
LINEで送る