隠岐の島町役場 地域振興課は12月28日、『天穂のサクナヒメ』開発者のえーでるわいすのなる氏と、隠岐の島町の米農家である村上氏の対談を公開した。もともとは12月28日12時に公開予定とされていたが、当初の時間になっても公式ホームページにて対談が掲載されず。17時になりようやく公開された。
公開方法はやや特殊で、「Googleドライブに投稿されたPDFファイル」を読むかたち。インタビューの掲載方法としては、なかなかに荒業。隠岐の島町役場 地域振興課によると、決裁システム上の問題で町公式HPでの年内公開が難しかったのだという。しかしなんとか年内には公開したかったようだ。“行政といえばPDF”とのことで、先行的にGoogleドライブにPDFを投稿し、そちらを介してインタビュー内容を公開した。
『天穂のサクナヒメ』は国内のゲーム制作サークル・えーでるわいすが開発を手がけた和風アクションRPGだ。主人公は、武神と豊穣神を両親にもつサクナヒメ。神の都でぐうたらな日々を過ごしていた彼女だが、ある出来事で主神の怒りを買い、都を追放されることに。人間たちとともに暮らし、鬼が支配するヒノエ島を調査することを命じられる。
探索パートでは、農具を使ったさまざまな武技や伸縮自在の羽衣を使った縦横無尽なアクションが繰り出される。一方、もうひとつの本作の目玉が「米づくり」。田植・稲刈り・脱穀などの工程をおこない米を収穫することで、サクナがより強力なパワーを手に入れるのだ。収穫した米や探索で獲得した食料を調理して食べると、サクナの能力が一時的に上昇。探索と稲作の両輪にて、鬼退治を進めていく。こだわられた稲作が話題を呼んだ作品だ。
隠岐の島は、島根県に存在する離島。後醍醐天皇が島流しをされた場所として有名だ。歴史あるスポットであり、特産品としては、海に面しているということで海鮮料理が充実しているほか、鯖などから出汁をとる香ばしい隠岐そばが堪能できる。また隠岐の島町では、稲作がなされており、「島の香り隠岐藻塩米」が販売されている。離島が舞台といった共通点もあり、今回の対談は実施されたようだ。
GoogleドライブのPDFで公開されるインタビューという点はインパクトが強いが、インタビュー内容自体はかなり興味深い。『天穂のサクナヒメ』を作る上で参考にした島や、村上氏が藻塩米に塩を使っていることに言及しなる氏が驚く一幕も。農家から見える『天穂のサクナヒメ』の稲作の完成度や、なる氏がほかのインタビューでは語っていない本作の開発秘話などが飛び出している。
本対談は、行政がつくるインタビューとしてはかなりフランク。『天穂のサクナヒメ』ユーザーであってもそうでなかったとしても、楽しめる内容になっているだろう。年明けには隠岐の島町役場公式ホームページでも公開されるようだが、先んじてGoogleドライブにてPDFで対談を読んでみるのもいいかもしれない。えーでるわいすは先日農林水産省からも取材を受けており、行政から引っ張りだこであるようだ。
『天穂のサクナヒメ』は、PC(Steam)/PS4/Nintendo Switch向けに発売中だ。