ラヴクラフトADV『Call of the Sea』12月8日Steamなどでリリースへ。夫の消息を追い南の島を探索する、ホラーではないラヴクラフトの世界


スウェーデンのゲームパブリッシャーRaw Furyは11月17日、『Call of the Sea』を2020年12月8日に発売すると発表した。対応プラットフォームはXbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam/Microsoft Store/GOG.com/Humble Bundle)で、日本語字幕に対応。Microsoft Storeでは通常価格2350円になっているほか、Xbox Game Passにも対応している。


『Call of the Sea』は、行方不明の夫と調査隊を探し、1934年の南太平洋の島を探索するストーリー重視のアドベンチャーゲームである。主人公のノラは、かつてアメリカ・マサチューセッツ州の小さな海岸沿いの町に住んでいた既婚女性だ。1933年の春、ノラはオルゴールの夢に悩まされていた。彼女は、母から形見として古く壊れたオルゴールを受け継いでおり、母の死を思い出させるその形見が、夢の中に登場するというのだ。夢の後は、疲労感や熱が出ることもあり、手には奇妙なシミのようなものも現れ始めていた。


ノラの夫であるハリーは、妻の症状を受けて調査を開始。ニューベリーポートの古い家を訪れた後、ミスカトニック大学へ足を運び、図書館の館長ヘンリー・アーミテージから南太平洋の文化や伝統に関する資料の提供を受ける。

またハリーは、アーカム滞在中に薦められ、皮膚疾患の専門家に会う。専門家は、彼女の手のシミは魚の遺伝的変化や突然変異と類似性があり、南太平洋の部族のタトゥーとも関係性があるという。二つの異なる筋から足がかりを得たハリーは、調査隊と共に南太平洋の彼方にある島へ出発。しかし、そのまま消息を絶ってしまい、ノラは自ら夫が行方不明になった島を訪れる。残された調査隊の痕跡。喪われた文明の遺跡と、魚のような手。海岸沿いの町で育った女性は、名前のない島で真実に出会う。


島を訪れたノラの前には、調査隊がいた痕跡や、遺跡が待ち構えている。残された手がかりを探り、パズルを解くことで、島で起こった出来事や遺跡の謎、真実が明らかになっていくようだ。また、本作はクトゥルフ神話の影響を受けているものの、ホラーゲームではないとディレクターのTatiana Delgado氏は語る。本作では、H.P.ラヴクラフトの原作に忠実でありながら、同時に異なるアプローチを選択。狂気に飲み込まれていくのではなく、謎に巻き込まれた女性が大きなスケールの出来事の発見や自分以外の現実を受け入れる、発見と受容の旅が描かれる。ラヴクラフトの物語が狂気へ落ちていくのに対し、本作は正気へ昇るとも記されている。一方で、古典的なクトゥルフ神話の物語も手紙を通して描かれるほか、ラヴクラフト作品への言及も数多く含まれているそうだ(公式ブログ)。


本作を開発しているOut of the Blue Gamesは、スペイン・マドリードのゲーム開発会社。彼らは、もっとも好きなことであるゲームをしながら生きていきたいと考えているベテラン開発者のグループで、いくつかの会社で一緒に働いたあと、新しい冒険を始めることにしたそうだ。本作の公式サイトには、ホラーではないと語るTatiana Delgado氏による記事や、本作の本編が始まる前の物語が掲載されており、『Call of the Sea』の世界の一端が垣間見れる。『Call of the Sea』は、Xbox Series X|S/Xbox One/PC向けに、12月8日リリース予定だ。