言葉の通じない少年少女を描く高評価ADV『ChristmasTina -泡沫冬景-』Steam版が日本語対応。バブル時代の片隅で繰り広げられる、古びた駅舎での1年間


主に中国向けの展開を進めるパブリッシャーmirai worksは10月24日、『ChristmasTina -泡沫冬景-(泡沫冬景)』Steam版に日本語字幕を追加した。日本語対応にあわせて、国内向けの価格が改定されており価格は3080円。また本作は、DLsite/DMM GAMESなどでも販売されている。

『ChristmasTina -泡沫冬景-』は、言葉の通じない少年少女の交流を描く、バブル青春群像ノベルADVだ。主人公の櫻井栞奈は、放課後はアルバイトとして働く高校1年生の少女。彼女には両親はいるものの、7歳の妹が心臓病を患っており、治療にはお金が必要だった。家族総出で働き始め、3年が経過した高校1年生の夏のある日。櫻井栞奈は、近所に住む5歳上の男性から時給の良いバイトを紹介してもらう予定だったのだが、ちょっとした行き違いから交通事故が発生。事故によって、結果的に地元へ居辛くなってしまう。

そんな時、彼女は東京の好景気を耳にする。1987年の東京では、バブル景気により古いものは消え去り、新しいものが次々に生まれていた。妹の治療費を稼ぐためにも、東京行きを決めた彼女は12月に高校を中退。田舎から飛び出してやってきた東京で、駅に住むだけで時給の発生する仕事に就くこととなる。


一方、もう一人の主人公である景萧然(ジン ショウゼン)は、1年前に大学受験に失敗した中国人。受験に落ちたあと、1年間は中国でアルバイトをしていたものの、日本の景気の良さを耳にし、船で東京を訪れる。東京へやってきた彼は、日本で荒稼ぎをしている中国人から、稼ぎの悪いアルバイトとして、櫻井栞奈と同日に同じ仕事を紹介してもらう。駅に住むバイトの定員は1名。しかし条件の良さもあってか、2人はどちらもアルバイトを譲らず、時給を折半して2人で駅に住むことに。泡沫の夢に飲まれ、消えようとする古びた駅舎を舞台に、日本人の少女と中国人の少年の奇妙な日常が始まる。


日本人の櫻井栞奈と、中国人の景萧然。当然ながら、二人はこれまで過ごしてきた環境も違えば、扱う言語も異なり、コミュニケーションはままならない。そのため、ゲーム序盤には互いに何かを伝えようとして、何も伝わらないシーンが続いていく。字幕では、中国語も日本語で表示されているため、双方の言っている内容は理解できるが、音声は日本語のキャラクターは日本語、中国語のキャラクターは中国語になっており、コミュニケーションが取れていない状態が音声でも表現されている。また時間の経過と共に、ジェスチャーなどを交えて少しずつコミュニケーションがとれるようになっていき、1年間の交流を描いた群像劇が描かれる。


本作は、Steamでは2020年1月3日に中国向けとしてリリース。ストアページ上では、2700件以上のユーザーレビューにより、圧倒的に好評を獲得している。主に、ストーリーや没入感などが評価されているようだ。また本作は、ねこねこソフトの代表であり、フリーノベルADV『ナルキッソス』を手がけた片岡とも氏がストーリー原案およびシナリオを担当。中国のデベロッパーNekodayが開発を担当し、日本と中国の合同制作体制で開発されている。

『ChristmasTina -泡沫冬景-』日本語PC版は、Steam/DLsite/DMM GAMESなどで3080円で配信中。iOS/Android版も配信されているようだ。