Unreal EngineのiOS/macOSサポートは継続へ。AppleによるEpic Gamesへの開発ツール提供停止を、裁判所が部分的に差し止め

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Epic GamesのAppleレビューガイドライン違反を受け、AppleはEpic Gamesに対し、開発ツールの提供停止を通告。開発ツールを剥奪されると、Unreal EngineのiOS/macOS向けサポートを継続できなくなるとして、Epic Gamesは裁判所に、提供停止措置の一時差し止め命令を求めていた。そして8月25日、Zoomを使ったオンライン口頭弁論を踏まえ、Unreal EngineのiOS/macOS向けの開発を継続する上で必要なツールの提供を止めてはならないとの、一時差し止め命令が下された。あくまでも開発ツールへのアクセスの話であって、iOS版『フォートナイト』のストア復帰に関しては却下されている(PDFリンク)。

口頭弁論におけるApple側の主張としては、開発ツールの提供停止は「Unreal Engineの締め出し」を狙ったものではなく、ガイドラインに違反した企業に対する通常の措置。過去にも、ルールを破った企業に対して同様の対応を取ったことがあり、例外対応ではないと説明していた。また、Epic Gamesは自発的・意図的にガイドラインを破ったのであり、ガイドラインに沿うようにアプリを修正すれば済むとも主張。Appleの取引手数料を回避するために仕組まれた「独自のアプリ内決済手段」を削除さえすればガイドライン違反も解消されると、裁判所による調停の不要性を唱えた。さらに、Epic Gamesによる訴訟の本題、「Appleの反競争・不当な市場独占」は、ガイドラインを破らなくとも十分に主張し得るものであり、Epic Gamesは消費者を「人質」にとっていると指摘している(Kotaku)。

一方のEpic Games側は、Appleの反競争的な契約に従うのをやめ、ガイドラインを意図的に破ったのだと認めている。このようにAppleと争うためには、大げんかに持っていく必要があったのだと、ガイドラインを破る必要性を訴えた。また、『フォートナイト』がApp Storeから削除されたことを受けて、たくさんのユーザーからクレームが届いていると、被害状況を報告。Unreal Engineの危機を耳にしたデベロッパーがすでに距離を置き始めているとも伝えた。


判事のYvonne Gonzalez Rogers氏は、『フォートナイト』のEpic Gamesと、Unreal EngineのオーナーであるEpic Games Internationalは別の法人であり、Epic Games InternationalはAppleのガイドラインおよびライセンス契約を破っていない点を指摘している(ライセンス契約は別々に結んでいる)。また、Appleの対応は厳しすぎるとも指摘。Unreal Engineを開発するEpic Games Internationalが、Appleの開発ツールへのアクセスを失うと、Unreal Engineを使用しているデベロッパーおよびゲーム業界そのものに甚大な影響が及ぶと説明。Epic GamesとAppleが法廷で争うのは自由だが、傍観者を巻き込んで被害を広めてはならないと戒めている。

こうした点を踏まえ、Appleが、Epic Gamesの関連会社(Epic Games Internationalを含む)によるAppleデベロッパープログラムへのアクセスを停止・制限することを、一時的に差し止めるとの判決が下された。

一方、iOS版『フォートナイト』、厳密には「独自のアプリ内決済手段」を含んだ状態の『フォートナイト』に関しては、App Storeに復活しないことで「取り返しのつかない損害」が発生するとは証明できていないと、Rogers氏は説明している。Epic Gamesはガイドライン違反を容易に直せる状態であると認めている点も明記。Epic Gamesが「Appleのガイドラインを守った上での訴訟」を望んでいないからといって、「取り返しのつかない損害」が存在することにはならないと記している。

また、独自の決済手段を備えた状態でのApp Store復帰をAppleに命じてしまうと、Epic Gamesは取引手数料を完全に回避した状態で『フォートナイト』を運営できてしまう点にも言及している。「Appleの30%という取引手数料について、専門家からは反競争的であるとの意見が寄せられると予想されるが、専門家が0%という代替案を出してくるとは考えづらい」と、ストア手数料の完全回避は妥当ではないと、Rogers氏は捉えていることがわかる。


今回はあくまでも、AppleによるiOS版『フォートナイト』の削除、Appleによる開発ツールの提供停止という2点について、Epic Gamesが裁判所に差し止め命令を求めた件の話。Epic Games対Apple訴訟の本題である「Appleの反競争・不当な市場独占」についての審理は今後展開される。なお判事のRogers氏は、App Storeのポリシーには重大な懸念事項が存在していると、簡易ながら現時点での考えを記している。

まだ本題には入っていないとはいえ、ひとまずUnreal EngineのiOS/macOS向け開発・サポートが止まるような事態は免れた。同ゲームエンジンを利用しているデベロッパーは胸をなでおろせそうだ。

これまでの記事:
Epic Gamesのガイドライン違反、Apple/Google提訴、『フォートナイト』のストア削除
Appleからの開発者アカウント削除通告を受け、Epic Gamesが裁判所に一時差し止めを求める
『フォートナイト』にて「#FreeFortniteカップ」開催。Apple批判姿勢崩さず
マイクロソフト、Unreal EngineのiOS/macOSサポート維持の重要性を訴える

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