『Microsoft Flight Simulator』地球丸ごと味わえるデータ、巨大すぎてインストール終わらず。ただしSteamの返金リクエストには影響なし【UPDATE】

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Steamユーザーの一部が、8月18日に発売された『Microsoft Flight Simulator』についてある申し立てをしているようだ。同作はマイクロソフトがリリースしたフライトシミュレーションゲーム。全世界3万7000か所の空港や200 万の都市を訪ねることができ、配置された建物は約15億軒にのぼる。クラウドサービスAzureと連携しながら検索エンジンBingが持つ膨大なマップデータを活用し、山・道路・川・交通などを緻密に再現している。発表当初はPC向けにはWindows 10(Microsoft Store)版のみの発売が伝えられていたが、最終的にはSteamでのリリースも実施された。

そんな本作の特徴といえば、広大な世界を再現するにあたっての膨大なデータ量だろう。その大きさは、物理パッケージ版では「ディスク10枚組」におよぶという驚きのスケールだ(関連記事)。こちらのディスクはもっぱら「航空機と世界のデータ」をダウンロードするために必要とされるもの。一方デジタル版では、クラウドから送られてくるデータを利用することでセットアップが完了する。一見合理的な方法にも見えるが、このインストールに思わぬ罠があった。『Microsoft Flight Simulator』のデジタル版容量は150GBにもおよぶ。すべて落とすには膨大な時間がかかるのだ。参考までに、弊誌スタッフが本作を立ち上げるのにかかったのは約7時間であった。それで何が困るかというと、Steamの返金サービスが受けられなくなるのである。

理由を問わず、Steam上で購入したゲームはほとんどが返金をリクエストすることができる。コンピュータが最低要件を満たしていなかった、間違えて購入してしまった、 あるいは少しプレイしてみたら好みでなかった……などさまざまな場合において、条件を満たしていれば買ったゲームを「返品」する代わりに支払った金額を戻してもらうことが可能となる。その条件は「ストアで2週間以内に購入され」「使用時間が2時間未満」であることだ。一部例外が講じられることはあるもの、基本的にはこのルールに従うことになる。


ところが『Microsoft Flight Simulator』をインストールする際には、ゲーム内のランチャーが立ち上がる。ゲーム内インストールが開始されるわけだ。ゲームをまだプレイしていなくとも、データを落としている間の時間が「プレイ時間」としてカウントされてしまうのだ。これではSteamの全ゲームに保証されている返金サービスを受けることができない。プレイヤーのネット環境やゲームのサーバー側の状態にもよるが、とにかく多大な時間を要するのだ(ゲーム内インストールは90GBほど)。こうした点は低評価を呼び込む原因のひとつとなっており、現在Steamでの本作の評価は「賛否両論」の状態にある。またサンドボックスゲーム『Garry’s Mod』の開発者として知られるGarry氏は「Steamは『Microsoft Flight Simulator』の返金リクエスト可能時間を引き延ばすべき」と発言し、注目を集めている。
【UPDATE 2020/8/20 13:30】
ゲーム内インストールのファイルサイズについて補足

海外掲示板Redditでも本作のインストール&返金問題については不安がるユーザーの姿が確認できる。コメント欄には、「Steamのカスタマーサポートに直接事情を説明すれば返金対応を実施してもらえるはず」との意見と、「いかなる場合でもプレイ時間が2時間を超えていたらテンプレート文で却下される」という意見に分かれており、場合によって対応にばらつきが見られる模様。特にSteamレビューでは、インストール時やセットアップ時にエラーが出る現象が報告されている。エラーが出てプレイできないが、インストールで2時間以上が過ぎており返金できないとなれば、たまったものではないだろう。

なおMetacriticにおける本作のメタスコアは8月20日13時時点で「93点」となっており、ゲームとしてのクオリティは高い評価を受けている。もし本作を試遊したい場合はSteamではなく、Xbox Game Pass for PCを利用してテストしてみることが勧められている。同サービスは月々数百円で一定タイトルを自由に遊ぶことができ、ラインナップには『Microsoft Flight Simulator』も収録。完全に無料ではないにせよ、Steamで1本丸々買うよりもはるかに割安で本作を遊ぶことができる。マシンスペックなどに不安がある人はこちらのルートでまず遊んでみるといいかもしれない。

【UPDATE2 2020/8/20 15:20】
なお公式FAQによれば、Windowsの「コマンドプロンプト」を管理者権限で実行し、「netsh int tcp set global autotuninglevel=normal」と打ち込んでEnter→再起動すると改善される可能性があるという。その他なるべく有線LANを使う、ウイルス対策ソフトを切っておくなど、細かな対処を施すといいそうだ。参考にしてみるといいだろう。

【UPDATE3 2020/8/20 15:50】
Valveは『Microsoft Flight Simulator』について、「ゲーム内インストールにかかった時間は返金リクエストの規定に影響しない」との旨を海外メディアPC Gamerに伝えた。マーケティング副部長のDoug Lombardi氏が語っている。同氏は、Valveがマイクロソフトと連携し、ダウンロード問題の改善を図っている旨も述べている。あわせて、本記事タイトルを変更。

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