台湾の警察官、『あつまれ どうぶつの森』を使って落とし物Nintendo Switch本体を持ち主へ届ける

 

台湾に住まうゲーマーが、紛失していたNintendo Switchを少々変わった形で取り戻したようだ。台湾メディアCTSが伝えている。とある場所でNintendo Switchを落としてしまった男性は、『あつまれ どうぶつの森』のゲーム内機能と警官の善意によって、本体を取り戻すことに成功している。

台北市に住まうとある台湾人男性が、Nintendo Switch本体を紛失してしまった。ゲームをしながらATMでお金を引き出す際に、そばにゲーム本体を置き、そのままその場を離れてしまったそうだ。また同氏は『あつまれ どうぶつの森』を楽しんでいたという。『あつまれ どうぶつの森』のセーブデータは、Nintendo Switch本体に紐付けられる形式。本体を失うとすれば、この男性は同ゲームのプレイ記録も喪失することになる。と、ここまではゲーム紛失における悲しい話に過ぎないのだが、最終的にNintendo Switch本体は持ち主のもとに送り届けられたという。その経緯が少々特殊なのだ。

大安分局 和平東路派出所 Image Credit : Narwal


ATMに置かれたままのNintendo Switchはまず、善意ある市民によって台湾市大安の警察署へと届けられた。しかし、ただ届けられただけでは終わらなかった。大安の警察官はなんとか持ち主に送り届けたいと願った。考えた結果、紛失されたNintendo Switch本体に入っていた『あつまれ どうぶつの森』をプレイし始めたのだ。目的はもちろん、持ち主にNintendo Switchを返すためである。

『あつまれ どうぶつの森』には、メッセージカード機能が存在する。飛行場にてメッセージカードを購入し、メッセージを書いて島の住民や未来の自分、そしてフレンドに送ることが可能。インターネット通信を介することで、友人にこっそりメッセージを送ることができるわけだ。大安の警官はこの機能に目をつけたわけだ。実はこの警官は『あつまれ どうぶつの森』をプレイしたことがなかったが、同僚の指導によりメッセージの送り方を学習。実際に送ったのが、以下のメッセージである。


手紙では、送り主が大安警察署の警官であることや、Nintendo Switchが落とし物であることが明かされている。持ち主を探しており、ほかの方法がなかったがゆえに、こうしたゲーム内メッセージを使ったとも記されている。警察署の住所と電話番号を添えて、メッセージを締めている。このメッセージを受け取った友人は、LINEにて持ち主に大安の警察署にNintendo Switch本体が保管されていると連絡。男性は最終的に、落としたNintendo Switchと『あつまれ どうぶつの森』を取り戻した。この警察官の柔軟な対応には、とても喜んでいるそうだ。

落とし物であるNintendo Switchを、本体とゲームを使って持ち主を探すという試みは面白い。『あつまれ どうぶつの森』にメッセージ機能が存在すると、関係者の誰かが知っていたからこそ、こうした取り組みができたのだろう。前述したようにNintendo Switch本体と『あつまれ どうぶつの森』のセーブデータは紐付いている。単にゲーム機本体をなくす以上の喪失になっていたと予想される。

一方で、落とし物であるゲーム機をプレイするというのは、トラブルに発展しかねない。メッセージ機能を送るにあたっては、他人の『あつまれ どうぶつの森』をプレイするだけでなく、Wi-Fiスポットを利用することにもなる。プライバシーを見られることを嫌うユーザーによって、苦情を呈され問題になる可能性もある。しかし、警官はそうしたリスクよりも持ち主に届けたいという想いを優先したようだ。CTSによると、台湾国内ではこの警官の行動を称える声であふれているという。