『ポケットモンスター ソード・シールド』に対する批判は、楽しげな大喜利に発展。「ポケモン5分モデリング」タグで奇妙な3Dモデルが生まれ続ける

Image Credit : Rhiannon/ Chris / Spinch (slinch) Vegetal

長年『ポケットモンスター』シリーズに携わり、『ポケットモンスター ソード・シールド』でプロデューサーを務める増田順一氏は、E3 2019にて『ポケットモンスター ソード・シールド』における過去のポケモンの登場にまつわる仕様を説明した。その内容がファンの間で議論を呼び、Twitterトレンドなどにもあがり続けた。

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※ 増田氏の説明は25分頃より

増田氏の説明は端的にいえば、過去作のポケットモンスターがすべて登場するわけではないことを意味していた。たとえば旧作の『ポケットモンスター サン・ムーン』ではアローラ図鑑に含まれていないポケモンも、全種類ポケモンバンクからつれてくることが可能だったが、「ポケモンホーム」ではポケモンホームから連れてこられるのはガラル図鑑に登場するポケモンに絞られる。過去作のポケモンの中には、『ポケットモンスター ソード・シールド』に登場しないポケモンも出てくる。そうした計画を告げる内容であった(関連記事)。

自分のお気に入りのポケモンが、新作で登場しないかもしれない。またメガシンカとZワザが登場しない(ファミ通)。過去作からの大きな変化と“全種類網羅できない”という宣告については、賛否両論が生まれていた。増田氏は、800種類以上のポケモンが存在するポケモンをグラフィック・戦闘バランス面で作り込むには、時間が足りない(開発期間が限られている)と説明。

こうした説明は理にかなっているものの、熱心なファンはすんなりとは納得できない。ポケモン自体の発売サイクルを問う批判の声や、お気に入りのポケモンの落選可能性を恐れる声などがSNS上ではあふれ、海外では「Gotta Catch Em All(ポケモンゲットだぜの英訳。ポケモン(すべて)ゲットだぜを意味する)」のキャッチコピーと反しているとし、『ポケットモンスター ソード・シールド』を全国図鑑に含めるべきだという署名活動も展開されている。

 

ポケモン1匹5分で作れる

そんな中、とあるユーザーが新たな角度から今回の問題を批判しSNS上で注目を集めた。このユーザーは「ポケモンのグラフィックなんて一匹5分もあれば作れるのではないか」とし、「5分×約800匹だから約60時間もあれば出来る」とコメント。対戦レート2000を誇るなどやりこみユーザーではあるようだが、「クビ」や「苦しみ」といった言葉を頻用し、「労働基準法は適用しない」「5日徹夜すればいい」といった支離滅裂で扇動的な言動が目立つこと。アカウントが作成されたのが6月8日ということもあり、ポケモン好きが“釣り狙い”で作ったアカウントであることが濃厚だ。もちろん、5分で1体のポケモンのグラフィックを作ることは不可能である。この投稿はゲームフリークだけでなく、モデリングに携わる人々への誤解を招きかねない。怒りをもって批判が集まり、拡散され、結果的には改めて新作の登場ポケモンの仕様について議論する材料のひとつとなった。

開発事情への理解と、割り切れない感情。ファンが葛藤するさなか、この「5分でポケモンのモデルを作れる」という投稿は、意外な方向へと向かい始めた。「5分でポケモンをモデリングするのはいかに難しいか」という話題が、いつしか「5分でポケモンをモデリングしてみればどうなるか」へと変化したのだ。そして、ユーザーの間で、5分でポケモンをモデリングしSNS上に投稿するという謎めいたコンテンストが開始され始めた。明確なきっかけは不明であるが、1ユーザーがハッシュタグ#ポケモン5分モデリングを作り呼びかけたことで、火が付け始めたと考えられるだろう。

 

じゃあ5分で作ってみよう

5分で本家のようなクオリティでポケモンをモデリングするのは、不可能である。逆に「5分でどこまで近付けられるか」というテーマで多くのモデリングが投稿されている。たとえば、作れるところまで作り力尽きたという投稿。原形のみを作り、どのポケモンであるか当てられるか呼びかける投稿。5分でのモデリングと2時間のモデリングを作り比較する投稿。ボクセルアート化させたポケモンモデルの投稿。5分で作ったとは思えないような高品質な“プロらしき”投稿。異形のミュウやピカチュウを作り、ユーザーの笑いを誘っている投稿もある。いずれにせよ、結果的には「怪しげなポケモン」もしくは「かわいらしいポケモン」が未完成のままできあがっており、ちょっとした大喜利披露大会のような形になっている。

日本語が多かった投稿にはいつしか外国語が混ざりはじめ、全世界の人々がモデリングを介してポケモンのお絵かきを披露。盛り上がりを見せている。『ポケットモンスター』新作の仕様に関する批判が、釣りアカウントの投稿を呼び込み、この投稿を逆手にとった大喜利が始まる。奇妙な流れが形成されているが、批判も議論も大喜利も、ファンの“ポケモン愛”が原動力であることに疑いはないだろう。

Image Credit : Deborah!!(@deb_lal_)

 

ただし、前出の増田氏の口ぶりを見ても、過去ポケモンの登場に関しては、批判を覚悟した上での発表であったと推察される。今から11月の発売に向けて仕様変更される可能性は低いだろう。一方で(登場できないポケモンについては)『ポケットモンスター ソード・シールド』で登場しなくとも、今後のタイトルに登場させるつもりであり、決して蔑ろにはしないつもりだとも氏は語っている。ゲームフリークと株式会社ポケモン、そして任天堂がこうしたポケモンファンたちの声を傾聴し、過去ポケモンたちをフォローしてくれることを信じよう。

『ポケットモンスター ソード・シールド』は2019年11月15日に、Nintendo Switch向けに発売予定。価格は税別5980円。7月12日より予約受付が開始される予定だ。ちなみに #ポケモン5分モデリング タグでは、現在でも大量の楽しげな3Dモデルが投稿されている。センス光る作品が多いので、一度チェックしてみてほしい。

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