学校で銃を乱射できるFPS『Active Shooter』批判を受けてSteamから撤去し開発者を追放。しかし処分理由は“以前の素行不良”

Steamを運営するValveが、デベロッパーのRevived Gamesが手がけるFPSゲーム『Active Shooter』を、ストアから削除していたことが明らかになった。本作はACIDというパブリッシャーから6月6日に発売が予定されていたが、そのゲーム内容についてゲーム業界の内外から批判が集まっていた。

Steamを運営するValveが、デベロッパーのRevived Gamesが手がけるFPSゲーム『Active Shooter』を、ストアから削除していたことが明らかになった。本作はACIDというパブリッシャーから6月6日に発売が予定されていたが、そのゲーム内容についてゲーム業界の内外から批判が集まっていた。

『Active Shooter』は、エリートSWATチームの一員となり、銃撃犯が立てこもる建物に突入し、事態を鎮圧させることを目指すFPSゲームである。ただし、プレイヤーは銃撃犯側としてもプレイ可能で、一般人を撃ち殺すこともできる。Steamストアで公開されていたスクリーンショットには、警官・SWATの殺害数に加え、一般人の殺害数もカウントされている様子が確認できた。これだけであれば、暴力的なゲームとはいえ、ほかにも似たようなゲームはある。しかしその銃撃の舞台が、ゲーム概要には記述はないものの、明らかに学校をイメージしていたことから大きな批判に晒されることとなった。

アメリカでは、銃の乱射事件がたびたび起こっていることは、日本でもニュースで報じられておりご存知の方も多いだろう。学校が事件現場となることも珍しくなく、今月18日にもテキサス州サンタフェの高校にて乱射事件が発生したばかりだ。また今年3月には、全米各地の高校生が銃規制を求めて大規模なデモをおこなっている。こうした状況の中で、学校を舞台に生徒らしきキャラクターを無差別殺人できるゲームを発表すれば、批判が巻き起こることは火を見るより明らかだろう。『Active Shooter』の開発者は、本作はあくまでSWATシミュレーターだとし、暴力や銃の乱射を助長させる意図はないと反論し、Valveにも説明をするメールを送ったとしていたが、5月29日にストアから削除される結果となった。

ただ、Valveは『Active Shooter』だけでなく、これまでにRevived Games/ACIDがSteamでリリースしていたすべてのゲームを同時に削除している。確認したところ残虐なゲームばかりというわけではなく、ケモノの女の子がヴァイキングと闘うゲームなど6作品があった。海外メディアKotakuの取材に答えたValveによると、Revived GamesもACIDもAta Berdiyev氏という個人が運営しており、ユーザーへの嫌がらせや著作権侵害、ユーザーレビューの操作など数々の悪質な行為が認められたため、Valveはこのような人物とはビジネスはできないと判断し、すべての作品をまとめて削除したとのこと。またBerdiyev氏は、これまでにもValveから販売中止処分を受けては別名義でSteamでのリリースをおこなっていたという。

こうした説明から、『Active Shooter』を含む作品がSteamから撤去されたのは当然だといえそうだ。ただ、『Active Shooter』に寄せられていた批判は、今回Valveが処分する上で説明した理由とは異なる。また一時的にとはいえ、本作がSteam上に掲載されていたということは、Valveが本作のような内容のゲームを容認していたとも受け取れる。一方で、一般人を殺害できる残虐なゲームはSteam上にはほかにもあり、Berdiyev氏も『Hatred』や『Postal』『Carmageddon』などを例に挙げている。表現の自由の観点から見て、Valveは『Active Shooter』のテーマ性だけを理由にストアから削除できただろうか。これはValveが開発者に対して、どのような規約を示して順守を求めているか次第だろう。Valveは、今回持ち上がった問題に関するSteamの規約について、近く取り組むことになるとだけコメントしている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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