『LoL』スウェインのリワークを含むパッチ8.3が実装。烏の魔術師から、帝国を掌握する元帥へ

 

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』開発運営元のRiot Gamesは、同作における「パッチ8.3」を2月7日早朝のメンテナンスで実装した。パッチ8.3は2018シーズン3回目のゲームアップデートであり、チャンピオン「ノクサス帝国元帥、スウェイン」のフルリワークが目玉となっている。

「戦術の匠、スウェイン」は2010年10月と『LoL』正式ローンチ後の初期に実装されたチャンピオンだ。2016シーズン半ばに行われた「メイジアップデート」にて、メイジクラスに分類される他チャンピオンとともに小規模なアップデートが施されたが、大きな性能変更やビジュアルリメイク等はこれまで行われてこなかった。このメイジアップデート以前から全体的なデザインの古さが問題視されており、大規模アップデート候補に入っていることがたびたび明言されてきたが、ようやくのフルリローンチとなった。

新スウェインの能力

固有スキル「恐襲の魔鴉」は、リワークされたスウェインの個性を根底から支える能力だ。敵チャンピオンから「魂のかけら」を集め、前線での体力維持とアルティメットスキル発動時の攻撃力へと変換する。移動不能効果を受けた敵チャンピオンを右クリックすることで自身の方向に引き寄せられる「恐襲」は、味方のハードCCと合わせてより確実に敵を捉えることができる。

集めた魂のかけらを集めるたびに体力を回復する「魔鴉」は、集団戦において耐久力を大幅に引き上げてくれるサステイン能力だ。Q「死の手」は、右手から赤い稲妻を放射状に放出するAOEダメージスキル。パッチ8.2で「対象指定スキルを敵チャンピオンに当てた場合、敵ミニオンの反撃を誘発する」という仕様変更があったためか、方向指定スキルとなっている。残り2つのスキルが比較的長めのクールダウン設定であることから、レーンでは必然的に主力のスキルとなる。マナコストが大きいので、トドメを刺した際の回復効果を起動できなければあっという間にマナが枯渇してしまう。ミニオンを処理しつつマナを回復させるために、確実なラストヒットを心掛けたい。

2本目以降の稲妻が当たった場合は追加ダメージが発生するため、チャンピオンや大型の中立エネミーに対しては時には接近して大ダメージを狙っていきたい。W「帝国の眼」は、旧スキル「鉤爪の束縛」を思わせる範囲指定のスキルだ。特徴としては長大な射程と視界の確保、そして追加効果のスロウ(25%)があげられる。最大射程3500ユニットと青トリンケット(射程4000)に近い長大さで、ボットのタワー前からドラゴン前を確認することが可能だ。上手く使えば相手のガンクやベイトの意図をこのスキルひとつで粉砕できることから、プレイヤーの知識や戦略眼が問われる。ミニオン処理手段としてはお粗末であり、クールダウンも非常に長いため、使い時は慎重に見極める必要があるだろう。

Wは、草むらに使えば相手の奇襲の意図を挫き、あるいはバロンやドラゴン前を監視することで強力なプレッシャーとして機能し得る。上手く引っ掛けられればイニシエート手段にもなりそうだ。

E「束縛の爪」は、アーリのQのように「行って戻る」動きをする爪を発射し、戻る際に当たった敵にスネアを与える。スウェインにとって唯一のハードCCであり「恐襲」を能動的に使用できる能力は実はこれだけになっている。最大射程のところで引っ掛ければ即座にスネアできるため、スウェイン自身の立ち位置を上手く調整して当てていきたい。R「魔帝戴冠」は旧スキル「大烏の恐襲」と似た体力吸収効果を備えているが、ひねりが加えられたリワークスキルになっている。詠唱時に即座に大量の回復を得られ、悪魔の紅炎という追加のダメージ効果を発動できる点が大きな変化だ。「帝国の眼」や仲間チャンピオンとの連携で相手の戦線を崩しながら魂のかけらを素早く集め、悪魔の紅炎のダメージをできる限り大きくできれば理想的な優位を取れそうだ。もし敵が逃げようとするならば「束縛の爪」と「恐襲」を組み合わせて捕えてしまうのも効果的だろう。

敵に接近して継続的にダメージを与える「バトルメイジ」クラスである点は大きく変わっていないため、アイテムビルドは魔力と耐久力を追求する従来のものからあまり変化していないと思われる。ルーンの選択としては、天啓・魔道・覇道のどれとも相性が良さそうである。

今回のリワークにより、「敵の位置を確認し」「ハードCCを持つ味方の強襲に乗じて相手の戦列を突き崩し」「力を開放して殲滅する」指揮官となったスウェイン。最前線の主力を担う彼のイメージに相応しいリワークだ。常に肩に止まっていたカラスのベアトリスは彼のもとを離れたが、別の形でスウェインの強さを支えることとなった。サモナーズリフトのあちこちから敵とスウェインをじっと見つめるカラスの姿が確認できるだろう。彼女はスウェインのゆく先々に飛んでくるようになった。スウェインの瞳として戦場の全てを監視しているのだ。

力が支配する国家「ノクサス」の姿

今回のスウェインのリワークは能力・ビジュアル・ストーリーの全てを一新するフルリワークとなっている。出自(バイオ)不明のノクサス軍魔術師であったかつての設定は根本的に見直され、新バイオではノクサスの貴族出身であったスウェインが、国家内部の腐敗を払拭・掌握してきたさまが描かれている。その過程で妨害勢力の罠に陥った彼は、悪魔の力を借りて現在の力を獲得した。スキル使用中にカラスの翼を展開することから、半人半獣の種族である「ヴァスタヤ」なのではないかとファンの間ではささやかれていたが、それは悪魔が彼に授けた力であったことが明確に示された。ルーンテラの悪魔といえばイブリンタム・ケンチがチャンピオンとしてゲーム中に参戦しているが、スウェインは取引した悪魔を完全に従えているようである。スキルデザインからバイオで語られていない設定まで触れられている、新生スウェイン開発秘話にも、ぜひ目を通してほしい。

スウェインのほかにも、国家「ノクサス」を出身とするチャンピオンたちのストーリーが変更・加筆されている。スウェインの賛同者となった「ノクサスの戦斧、ダリウス」、ノクサスを代表する女暗殺者「凶兆の刃、カタリナ」のバイオが新しく書き直されており、キャラクターの根幹を維持しつつも魅力あるストーリーを持った存在へと変化している。スウェインのリワークは帝国の根幹に関わるものであったため、ノクサス帝国のコンセプトや詳細についてもアートなどの新情報が公開されており、今後はさらなるノクサス関連チャンピオンのバイオ変更が行われると思われる。

ゲームとしてもコンテンツとしても充実していく『LoL』の世界。スウェイン後のチャンピオンアップデートスケジュールとしては、「剣の遺志、イレリア」のフルリワークが目下作業中となっている。イレリアはスウェインの片腕を斬り落とした人物であることについても言及されており、ノクサスとアイオニアの間にあった侵略戦争についても、イレリアのアップデートにともなって新設定が追加されるのかもしれない。イレリアの後の大規模アップデート対象は「影の拳、アカリ」予定との発表もあり、今後のアップデート内容にも注目したい。