台湾人気配信者が『LoL』のプロになりたすぎて“自分でプロチーム創設”。富豪のごとき豪快なやり方で夢を実現

 
Image Credit: Godtone on Facebook

台湾の人気配信者Godtone氏が『リーグ・オブ・レジェンド』のプロ選手になるため、自らプロチームを創設したと話題になっている。theScore esportsが報じている。

Godtone(以下、漢字通称である「統神」)は台湾在住の配信者/YouTuber。統神氏は10年以上『リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)』をプレイしており、台湾の『LoL』コミュニティーでは有名な人物だ。彼は樽を使って戦うチャンピオンの一人であるグラガスをよく使用する。中国語での樽の発音はtongであるため、名前の「Godtone」は「樽神」といったところだ。「統」もtongと読むため、「統神」は「樽神」をもじっての通称となっている。

Image Credit: Godtone on YouTube

統神氏はグラガスを用いたテクニカルなプレイはもちろん、配信でのリアクションの大きさや血の気の多さ、『ストリートファイターV』の大会にコスプレして参加するなどの奇抜な言動で人気を集めている。同氏のTwitchチャンネルである「亞洲統神」は本稿執筆現在55.7万人のフォロワーを獲得。YouTubeで夫婦チャンネルを営んだり、台湾国内のゲーム関連広告に出演するなど、『LoL』にとどまらずゲーム系インフルエンサーとして多方面に活躍している。

Image Credit: Godtone on Facebook


そんな統神氏が7月16日、Redditの『LoL』コミュニティで話題に挙がったのだ。投稿によれば、統神氏が『LoL』のプロ選手になるために『LoL』の台湾・東南アジアリーグであるPCS(Pacific Champion Series)のプロチームを買い取ったのだという。しかしそれ以上にユーザーの関心を引いたのは、彼が現在配信で使っている『LoL』のアカウントのランクがプラチナであることだ。プラチナといえば10個あるランク区分のちょうど5番目、おおよそ上位15-20%にあたるとされる(OP.GG)。

参考までに、『LoL』の北米リーグであるLCSの場合は、2023年の規定において参加資格の一つに「前年のピークランクがダイアモンド1以上」と明記されており、これはおおよそ上位5%未満。プラチナランクはプレイヤー全体として見れば上位層に位置するが、プロリーグに通用するかは疑問が出てくる。更にいえば、統神氏は1988年生まれの34歳。eスポーツ選手としてのキャリアを始めるには遅めの年齢であるため、なおのこと話題性が高かったのだろう。とはいえ、レギュレーション上PCSへの出場には問題ないわけだ。

なお厳密にいえば、統神氏が買い取ったのはプロチームのみならず、PCSの出場権も含まれる。『LoL』のプロリーグでは出場枠に空きが出るとその都度補充や募集を行っているものの、不定期なうえに枠も少ない。詳細なやりとりは明かされていないものの、2023年度のPCSの出場権を統神氏が既存のチームごと購入したうえで、新たにHELL PIGSという名のもとで再編をしたかたちになる。統神氏は2022年末に自身のFacebookページにて「Faker、身なりを整えなさい、お兄さんが来るぞ」と『LoL』の有名選手のFaker氏の名前を出しつつ、eスポーツへの参画をほのめかせていた。(なお念のため申し添えると、Faker氏はHELL PIGSには参加していない)2023年の1月に晴れて統神氏は新チームのHELL PIGSのオーナーになると発表をし、自身も選手として名を連ねた。彼は過去の配信にて、様々な理由で『LoL』のプロ選手になる機会に恵まれなかったと吐露しており、eスポーツへの夢を叶えるためにHELL PIGSを立ち上げたそうだ。

(Image Credit: HELL PIGS on Facebook)


ところが、台湾のニュースメディアyamNewsによれば、統神氏は何らかの手違いで2月から始まる春大会には出場できなかった様子。6月30日に改めてロースター入りし、現在夏大会である2023 PCS Summerにジャングラーとして出場している。Redditなどで話題になり始めたのも、統神氏が出場し始めたからだろう。

7/24現在でHELL PIGSは5勝7敗と負け越しており、Frank Esportsと並び同率6位。目覚ましい活躍をしているとは言い難い。統神氏の個人成績を見てもKDA1.97、キル関与率57.3%といずれもPCSの参加選手の平均より低い。一方で、7月22日に行われた試合で現在3位のBeyond Gamingsを下し、統神氏自身もMVPを獲得するなど意外な結果も残している。また、統神氏不在のHELL PIGSが残した、春大会の6勝12敗、8位という結果もこの調子で行けば上回りそうだ。「プラチナランクの人気配信者が突然プロ転向」とだけ聞くと、眉唾ものに思う本作プレイヤーも少なくないだろう。しかし、少なくともHELL PIGSはPCSの中であなどれない存在にはなっているようだ。

国際的な大会では今でもLCK(韓国リーグ)やLPL(中国リーグ)、LEC(ヨーロッパリーグ)が上位に食い込んでおり、台湾・東南アジアリーグであるPCSはその中で注目が当たりづらい地域だ。統神氏のHELL PIGS創立と出場をきっかけに、PCSが耳目を集めているのは確かだろう。統神氏の背景はどうあれ、その活動で新たに興味をもつユーザーが増えればPCSにとってプラスになりそうだ。統神氏やチームの動向は今後も注目を集めるだろう。