Xbox Oneのマウス・キーボード対応迫る、近日中にユーザー向けテストを開始か。コントローラー格差に向けて各社の対応はいかに


マイクロソフトは先月、Xbox Oneにおけるマウスとキーボードへの対応を近々おこなうとコメントしていたが、いよいよユーザー向けのテスト段階に入るようだ。海外メディアWindows Centralが、Xbox Insider Programのアルファリング向けに配信予定のビルドについて報じている。Xbox Insider Programとは、Xbox Oneの本体アップデートなどについて、一般ユーザーに公開される前に体験し、バグなど問題点を報告するユーザー参加型のプログラムだ。その中でもアルファリングに参加しているユーザーは、段階的に提供されるビルドのもっとも若いバージョンを受け取ることができる。

Windows Centralによると、本体設定の「Kinectとデバイス」の項目に、従来からある「Kinect」と「デバイスとアクセサリー」に加えて、「マウス」の設定項目が追加されるという。そこで設定できるのはカーソルのスピードで、10段階のスライダーで調整できる。また説明には、カーソルはマウス操作をサポートするゲームおよびアプリ上でしか表示されないとある。現時点ではキーボードに関する設定項目は確認できないが、Xbox Insider Programでは『Minecraft』のベータ版においてマウスとキーボードでの操作がテストされている(関連記事)。

HORI Tactical Assault Commander Pro One。右は同じ製品のPS4版。共に公式ライセンス商品である

一方、こうしたXbox One本体側での対応とは別に、マウスとキーボードへの対応を謳う製品が近々登場予定だ。周辺機器メーカーのHORIは、「Tactical Assault Commander Pro One for Xbox One & Windows PC」を今月末に海外で発売する。価格は149.99ドル(約1万7000円)。国内では同じ製品のPlayStation 3/4向けのものが発売中だが、本製品はそのXbox One版という位置付けで、マイクロソフトから公式ライセンスを取得した商品である。あくまでゲームパッド操作を変換しているだけなので、PCでのマウス操作と同じ感覚とはいかないようだが、公式にマウスをサポートするまでの間の選択肢にはなり得るかもしれない。

マイクロソフトがマウスとキーボードへの対応を進めるのはユーザーからの要望もあるが、近年推し進めているクロスプラットフォームプレイも念頭にあると思われる。クロスプレイではNintendo Switchとの連携が注目されているが、PCとの間では入力デバイスの違いがネックになる。つまり、FPSなどマウス操作の方が圧倒的に有利なジャンルでは、クロスプレイの恩恵を最大限活かすことができない。したがってマウスを標準サポートする意義は大きい。

RTSゲーム『Halo Wars 2』Xbox OneとWindows 10とのクロスプレイ対応が発表された

コンソールでの現状を見ると、上に挙げたHORIの製品のようないわゆる変換機を介してマウスとキーボードが利用されている状況で、メーカーとして対応に苦慮しているようだ。『Overwatch』のゲームディレクターJeff Kaplan氏は過去に、そういった変換機の利用について明確に拒否し、各コンソールメーカーには排除するよう働きかけているとコメントしている。HORIの製品がマイクロソフトやソニーの公認を得ていることはなんとも皮肉であるが、ユーザーとしては変換機の利用が認められているか個々のゲームについて事前に確認すべきだろう。不正行為と見なされてアカウント凍結などを受けてからでは遅い。

Kaplan氏は一方で、すべてのユーザーが自由にマウスとキーボードを利用できる環境になるのであれば構わないともコメントしている。これはまさに現在マイクロソフトが取り組んでいることだ。とはいえ、Xbox Oneがマウスへの対応を果たしたとしても、すべてのユーザーがマウスでプレイするわけではない。そこからは、たとえばオンライン対戦のマッチングオプションに、マウスのプレイヤーとはマッチングしない項目を設けるなど、それぞれのゲーム側の対応が求められるだろう。今後各社はどういった姿勢を示すのか注目される。