HDMIケーブルを交換するだけでゲームのジャギーが低減される?シリコンバレー企業がプロセッサー内蔵ケーブルを開発


アメリカ・シリコンバレーに拠点を置き、さまざまなHDMIケーブルを製造・販売している企業Marseilleが、ゲーム用途に特化したHDMIケーブル「mCable Gaming Edition」を販売中だ。価格はケーブルの長さによって異なるが、もっとも安いもので119ドル(約1万3000円)と一般的なものと比べるとかなり高額である。何故そのような価格がつけられているのだろうか。同社はもっとも大きな付加価値として、このケーブルを通すことによってアンチエイリアスがかかり、ゲームのジャギーを除去する(removes jaggies)と謳っている。

上の画像は、この製品の販売ページに掲載されている使用前と使用後の比較画像である。ゲームは『アンチャーテッド』シリーズだろうか。キャラクターや車の輪郭を見比べると違いがはっきり分かるが、明らかにジャギーが減少している。同社によると、このケーブルのコネクター部分の内部にはグラフィックプロセッサー(graphics processing engine)が搭載されており、特許申請中の技術を組み合わせることによってアンチエイリアスをかけると同時に、映像のコントラストやディテールを向上させているという。この比較画像を見る限りは謳い文句どおりといえるが、はたして鵜呑みにしていいものだろうか。

mCable Gaming Editionの分解画像。プロセッサーが内蔵されている様子が分かる。なお、ケーブルはTV側とゲーム機などのソース側と挿す方向が決まっている

PC向けハードウェアのレビューなどを行っている海外サイトPC Perspectiveは、この「mCable Gaming Edition」のことを知ったときはインチキなのではないかと感じたそうだ。しかし、技術的には可能かもしれないとも思い、実際に購入して検証をおこなっている。

Image Credit: PC Perspective

上に掲載したのは、PC PerspectiveがPC版『HITMAN』を用いて検証した比較画像で、左がアンチエイリアス無しで、右が「mCable Gaming Edition」を通した画像だ。Marseille公式サイトの画像ほど劇的な違いはないが、キャラクターやオブジェクトの輪郭に注目すると確かにジャギーが低減していることが確認できる。PC Perspectiveではほかのゲームや、SMAAやFXAAを有効にした場合との比較検証もおこなっているが、このHDMIケーブルを通すことで明確な効果が現れていると結論付けている。

一方、ケーブル内蔵のグラフィックプロセッサーを通すとなるとラグが発生するのではと気になるところだ。Marseilleはラグは1ms以下で、リアルタイムでゲームが楽しめると謳っている。PC Perspectiveはこの点についても検証しており、専用のテスターを使用して一般的なHDMIケーブルと比較したところ、特にラグが増加することはなかったという。

なんとも狐につままれたような気分だが、実際にアンチエイリアス効果があり、ラグについても心配はないとPC Perspectiveは報告している。あとは1万円を超える価格をどう受け取るかだろうか。日本にも発送しているのかどうかは不明だが、Marseille公式サイトで販売しているので、興味のある方は、さまざまなリスクを考慮しつつチェックしてみてはいかがだろうか。