Mod開発でひと月に約45万円の給付金、恐竜サバイバル『ARK: Survival Evolved』契約したMod作品ごとに月4000ドルを支援へ


恐竜サバイバルゲーム『ARK: Survival Evolved』の開発スタジオ「Studio Wildcard」は、契約したMod作品ごとにそれぞれ月4000ドルの給付金を与えるプログラムを実施すると明らかにした。近年ビデオゲームにおいて「Mod制作者へ対価を支払う」というテーマは新たな議論を生んでいるが、この手法はそれを実現する最適なモデルの1つとして注目を集めそうだ。

「Studio Wildcard」のリードデザイナーJeremy Stieglitz氏は、海外メディアPC Gamerの電話インタビューを通じ、この「スポンサードModプログラム」について解説している。同スタジオはModderたちと契約を結び、それぞれの作品ごとに月4000ドル(45万円)を支払う予定だという。ただし月ごとにModの評価フェイズがあり、Mod制作者たちに来月も4000ドルを支払うか、それともプログラムの対象外にするかが決定される。現在は15作のModと契約を結ぶことが決められており、すべての開発が順調に進められているのなら、さらにスポンサードMod作品の枠を増やす可能性もあるという。

一方でスポンサードModには規則があり、Mod制作者らはMod作品のソースコードを「Studio Wildcard」に提示しなければならない。これはMod制作者が作品の開発に取り組めない、あるいは取り組みたくなくなった場合のためのもので、『ARK』のバージョンがアップデートされた後も「Studio Wildcard」がパッチを適応することになる。

開発当初からModフレンドリーな対応を続けてきた『ARK』

Mod制作者らも対価を受け取るべきだという議論は2015年から巻き起こったもので、そのテーマを掲げたのはSteamを運営する「Valve Corporation」である。Valveは『Counter-Strike』『Day of Defeat』『Team Fortress Classic』などMod出身の作品を買い取ってオフィシャルなタイトルとして販売してきた歴史がある。そんな同社は2015年、『The Elder Scrolls V: Skyrim』のModをSteam Workshopを通じて有料で販売しようとしたが、不透明な有料Modのサポートや一部制作者による他Modからの盗用疑惑、Valveにも大きく収益が入る仕組みなどが批判を浴び、数日も経たない内に中止に至った(関連記事)。

一方で『ARK』の「スポンサードModプログラム」は、Modを売買できるマーケットを単に提示するというValveの手法とは異なる。開発者側にソースコードを提示することで、「Studio Wildcards」が事前に問題性を審査することが可能であるし、またMod制作者らがスポンサードMod枠を目指すことで、より高品質なModの登場が期待できる。既存のModをオフィシャルな有料DLCとして配信する例は今までいくつかあったが、今回のモデルはModが無料という点も維持されている。最低でも毎月6万ドルを投じる「Studio Wildcard」が、このモデルでは収益を直接的に挙げることができない点に関しては、人気のゲームだからこそできるという感もあるが、同スタジオはModコミュニティを支援した方が『ARK』の今後に繋がるという判断を下したのだろう。

「スポンサードModプログラム」に関してはGDC 2017のパネルでも触れられる予定。またPC Gamerのインタビュー記事では、すでにプログラムに選出された15のMod作品が記事下部で紹介されている。