「皮肉屋で鬱病のゲーム開発者」が主人公のRPG『DON’T GIVE UP: A Cynical Tale』開発中。シニカルでユニークな世界とシステム光る

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第613回目は『DON’T GIVE UP: A Cynical Tale』を紹介する。

ポーランドのインディースタジオTaco Pizza Cat Gamesによる新作『DON’T GIVE UP: A Cynical Tale』が、2019年9月の配信を目指して現在開発中だ。本作は、ブラックユーモアに満ちた「シニカルな物語」と、アクション性の高い戦闘システム、そして90年代の空気感が漂うオールドライクなグラフィックが特徴のRPGである。対応プラットフォームはPC(Windows/Mac/Linux)で、Steam/Itch.ioにて9.99ドルでの販売が予定されている。また、Itch.ioではアーリーアクセスの無料体験版が現在配信中だ。対応言語は現在のところ英語のみになっている。

『DON’T GIVE UP: A Cynical Tale』は、一般ウケしないインディーゲームの開発者で、慢性的な皮肉屋である「Tris」の物語。自分の夢を見失った彼は内なる悪魔に精神を蝕まれ、重い鬱を患って心を壊してしまう。それから4年後、大きくもないが小さくもない街Threesonでなんとか立ち直りつつあるTrisだったが、まだまだ自分の鬱から抜け出せずにいた。そしてふたたび現れた彼の内なる悪魔は、鬱と無関心の伝染病をThreesonの街に撒き散らしてしまった。この街でさまざまな人々とふれあい、そして心の闇との向き合うことで、Trisは自分を取り戻していくことになる。

心の折れたTrisに酒を飲ませるところから物語は始まる

『Mother』シリーズのような温かみがあるグラフィックと裏腹に、主人公のTrisは息をするかのようにブラックジョークを吐き出すような人物だ。ジョークの内容もメタネタからJapanese Hentaiまで多種多様。設定を見ても、「アンチソーシャル」なゲームの制作者のTris、「Jokemon Go」のファンで鬱病の彼を無神経に励ます女の子Beckなど、かなりキワドい。鬱の克服というやや重いテーマを持つTrisではあるが、会話劇のテンションは痛快で、ブラックなユーモアに満ちたコメディが楽しめることだろう。タイトルにも入っている通り、「シニカル」という単語はまさに本作を一言で表す単語と言える。

本作では、Trisの心の中の悪魔から、気に入らないピザ屋のおっさんまで、いろいろな相手といろいろな理由で戦うことになる。そして、その戦闘は一般的なRPGと異なる独特なターン制バトルであり、本作の特筆すべき要素だ。ターンベースシステムが採用されながらも、敵とプレイヤーのターンでできることが全く違っており、とてもアクション性が高い。まず敵のターンでは、プレイヤーは敵の攻撃を十字型のエリアで耐え続けることになる。攻撃はエリアを指定して行われるため、十字キーでの移動によって避けることが可能だ。タイミングを覚えたなら、パリイを活用してカウンターアタックを決めることもできる。敵ターン中でも遠距離攻撃が可能だが、火力は小さく決定打はなかなか与えられない。

一定時間攻撃を耐え続けると敵のガードが解け、プレイヤーのターンが回ってくる。するとプレイヤーは十字型のエリアから一気に敵の前へと飛び出し、一方的に敵をタコ殴りにして大ダメージを与えることができるようになる。この時の操作はベルトスクロールアクションのようなものになり、打ち上げからのコンボを組み立てることなども可能だ。また、ゲージを溜めると使用できる強力な必殺技や、使いこなすために工夫が必要なバフなども用意されており、新鮮かつ戦略的な戦闘を楽しめることだろう。

舞台となる街Threesonは、90年代の雰囲気が色濃く漂う。大都市のようにごみごみしているわけでもなく、田舎というほど何もないわけでもない。中途半端ではあるが住心地のいいこの街で、Trisを始めたくさんの人が楽しく暮らしている。雰囲気満点の作り込まれた街を探検することも、本作の魅力だと言えるだろう。ニューヨークシティーをモチーフにデザインされたとされるThreesonには、ゲームセンター、ハンバーガー屋、ストリップ劇場までいくつもの店が揃っており、プレイヤーはそのすべての店に入ることができるそうだ。

開発を行っているのはポーランドのインディースタジオTaco Pizza Cat Games。ストーリーやアートワークを担当するTristan Barona氏を中心とした少人数で開発されているようだ。ユーモアが光る作品であり、ぜひ日本語でプレイしたいところだが、対応言語は今のところ英語のみとなっている。これまでに二回の小規模なKickstarterキャンペーンが行われており、どちらもすでにストレッチゴールを達成することに成功している。二度目のものは現在も継続中なので、気になる方はチェックしてみてはいかがだろうか。

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