オープンワールドゾンビ使役サバイバル『Welcome to ParadiZe』開発者インタビュー。ゾンビをおもちゃみたいにするアイデアや『How to Survive』からの進化などを訊く

 

パブリッシャーの3gooは、『Welcome to ParadiZe』をPS5向けに2月29日に発売する。同日に海外メーカーNaconよりPC(Steam)/Xbox Series X|S版も発売予定。本作は文明が滅び、ゾンビであふれかえってしまった世界で唯一の楽園「ParadiZe」を舞台にサバイバルをおこなうアクションRPG。本作は、敵として現れるゾンビを仲間にして一緒に冒険できるほか、ゾンビの行動をプログラミングすることで拠点の運営や管理を任せることができるというユニークな特徴がある。

本作の開発を手がけるのは、ゾンビアクションRPG『How to Survive: ゾンビアイランド』シリーズを手がけたEko Software。今回、弊誌ではEko SoftwareのプロデューサーGuillaume Blanchard氏にメールインタビューを実施。『How to Survive』シリーズの精神的続編ともいえる本作の、新たな見どころとなる要素のひとつ「ゾンボットシステム」は一体どのようにして生まれたのかや、これまでのシリーズとは打って変わって拠点運営の要素にフォーカスした理由、開発陣のお気に入りの武器や遊び方などを尋ねた。

──自己紹介と、『Welcome to ParadiZe』の紹介をお願いします。

Guillaume Blanchard(以下、Blanchard)氏:
こんにちは、『Welcome to ParadiZe』のプロデューサーのGuillaume Blanchardです。ゲーム業界では、25年働いています。そのうち8年は日本で過ごしましたが、忘れられない経験となっています。

『Welcome to ParadiZe』はポストアポカリプス的な世界を舞台に、プレイヤーがゾンビ相手にゾンビを操って身を守るアクションゲームです。本作ではユニークな能力をもったゾンビや、より危険な生き物が跋扈する広大なオープンワールドを舞台にしたストーリーが展開されます。


──ゾンビを操って労働力として使うというアイデアはどのようにして思いつきましたか?

Blanchard氏:
ゾンビの出るゲームを観察していて、敵の能力が限られていることに気付いたのがきっかけです。敵の能力は単調で、プレイヤーは早々に驚かなくなってしまう。そこでゾンビがほかのゾンビに特殊能力を与える、ハッキングシステムを考え始めました。かくして「ゾンビ」ならぬ「ゾンボット」が誕生したのです。

このシステムが持つ豊富なコンビネーションが分かっていくうちに、プレイヤーも利用できたら楽しいのではないかと思うようになりました。そこで生み出されたのが2タイプのゾンボット。プレイヤーの冒険を助けて危険な場面で戦う「フォロワー」ゾンボットと、キャンプを防衛してリソースを集める「ワーカー」ゾンボットです。


──本作の開発にはどんなゲームや映画からインスピレーションを受けましたか?

Blanchard氏:
影響を受けた特定の映画はありません。我々のチームの映画の好みは多様なもので、それがゲームに存分に反映されていると思います。ストーリーやキャラクターに関しては、映画というよりは現実の出来事からインスピレーションを得ています。

──過去にリリースした『How to Survive』シリーズから学んだ要素は何かありますか?

Blanchard氏:
ゾンビをめぐるゲーム体験を刷新したいと思ったというのは、『How to Survive』シリーズにおいても同じです。物語性を強めて、世界への没入感を高めたいとも思っていました。また、手応えある難易度を残しつつプレイヤーが楽しい部分に集中できるように、サバイバル面での制限や縛りを多少緩和することにしました。

──『How to Survive 2』にもある拠点管理要素ですが、『Welcome to ParadiZe』において、さらに拠点管理にフォーカスを当てた理由は何かありますか?

Blanchard氏:
いくつか理由があります。まず、拠点管理を前面に出してゲームプレイの核に置きつつ、ストーリーの一部にしたいと考えていました。さらに、ハッキングシステムが加わって敵が多種多様になっていくうちに、タワーディフェンス的な側面もあると面白いと考えるようになったのです。


──DLCのような追加コンテンツや『How to Survive』のStorm Warning Editionのようなアッパーバージョンのリリースの予定はありますか?

Blanchard氏:
現段階でアナウンスできるものはありません。ですが、リリース後もゲームのサポートを続けたいという意志はEko SoftwareのDNAに刻まれています。ご期待ください。

──『Welcome to ParadiZe』でもっとも重要なシステムはなんですか?

Blanchard氏:
間違いなくゾンビハッキングでしょう。行動や装備を選ぶだけで簡単にゾンボットをプログラミングできて、組み合わせパターンは無限大です。プレイヤーが自分のゾンボットを作るのを楽しむことを期待しています。それと、オンラインマルチプレイヤーと、オフライン2人協力プレイも触れておきたい部分です。あれこれ試すのは、他人とやった方が楽しいものですからね。

──PS5版では銃や弓を扱う際に、アダプティブトリガーの要素が巧みに取り入れられていますが、このあたりの開発エピソードについてお聞かせください。

Blanchard氏:
あるとき開発メンバーの一人が、PS5のアダブティプトリガーのサンプルプログラムを試してみようと言ってきたのです。我々は一目惚れして、ゲームの没入感を高めるために必要だとすぐに判断しました。よくできたテクノロジーです。

──ゲーム内には色んなロケーションがありますが、一番のお気に入りはどこですか?

Blanchard氏:
オープンワールド内での探索と、発見の楽しみはプレイヤーに譲りたいところですが、いろんな場所があるとは言っておきましょう。たとえば砂漠、雪山、廃鉱山、沼地や廃墟などです。

──開発陣イチオシの武器はありますか?

Blanchard氏:
どの武器も長所はありますが、個人的にはショットガンが好みです。他に比べて強力というわけではないですが、扇状にダメージを与えられるので、ゾンビを引きつけて固めてから効率良く撃つのが楽しいんです。チェーンブローでひたすらダメージを与える近接戦闘もけっこう好きです。


──本作ではスキルツリーやクラフトなど、プレイスタイルにかなり自由度があります。個人的にはどういったプレイ方法が好きですか?

Blanchard氏:
個人的にはバランスの良いビルドよりも、一つのツリーを最大まで上げる尖ったビルドが好きです。私のお気に入りは2つ。ひとつはいち早く「フォロワー」の数を増やして、近接戦闘に特化させることで戦闘を任せる遠隔ビルド。もうひとつはスタミナを増やしてコンボを開放していく近接ビルドです。いずれにせよ、開発チームに理想のビルドを聞いても同じ答えは返ってこないので、ゲームバランスには満足しています。

──本作に興味を持った日本のゲーマーにメッセージはありますか?

Blanchard氏:
Eko Softwareのゲームを遊んでいただいた日本の方々には非常に感謝しています。ふたたび遊んでもらえるよう、探検と試行錯誤に富んだゲームプレイと世界を作りました。楽しんでいただければ幸いです!「よろしくお願いいたします。」

Welcome to ParadiZe』国内版は、3gooよりPS5向けに2月29日向けに発売予定。Naconより同日にPC(Steam)/Xbox Series X|S版もリリース予定である。

[執筆・編集:Yusuke Oizumi]
[翻訳:Rikuya Melichar ]