Global Sites
今年屈指のメタスコアを獲得したゲーム『Mina The Hollower』、なぜこんなにも高評価?プレイしてみてわかった完成度、懐かしの2Dアクションを「深堀り」するアクションRPG
『Mina The Hollower』は、間違いなく今年を代表する1本になるだろう。

穴を掘って、敵をすり抜ける。それだけで、2Dアクションが進化する。そんな体験を味わえるのが『Mina The Hollower』だ。このゲームは『ショベルナイト』で著名なYacht Club Gamesが開発を手掛けており、執筆時点で売上50万本を突破。レビュー集積型サイトMetacriticのメタスコアは91。間違いなく今年を代表する1本になるだろう。
最近、筆者はこのゲームにハマっている。めちゃくちゃ面白い2DアクションRPGだ。ゆえに沢山の人に遊んでほしい。なぜこれほど評価が高いのか。本稿はそんな疑問に応えながらも説明していく、『Mina The Hollower』の紹介記事である。
『Mina The Hollower』は2Dアクションゲームだ。対応プラットフォームは、PC(Steam)/PlayStation5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2。価格は2480円となっている。
穴を掘って、敵や壁をすり抜ける

一体なぜ、本作は評価が高いのか。答えは、本作が「懐かしさ」を入口にしながら、現代的な「新しい体験」を提供しているからだ。過去の名作を参照しつつも、「穴を掘る」というコンセプトが懐かしい「2DアクションRPG」の文法の一部を、「3DアクションRPG」に書き換え、その原理がアクション・探索・物語・難易度設計まで一貫することで、新しい体験が成立している。昨今のゲーム業界では「ノスタルジーベイト」(思い出補正に頼るだけの作品)という言葉が映画業界から渡ってきており、一見すると本作も同類に思えてしまうが、決してそんなことはない。
2DアクションRPGを現代風に「深堀り」する一本である。では具体的な要素を観ていこう。作品を概観してみると、ゲームボーイカラー時代を思わせるアートスタイルに、チップチューンテイストのBGM、『ゼルダの伝説Ⅱ』のような敵と自キャラの軸を合わせて攻撃する、懐かしい戦闘アクションやレベルアップシステムに、『ゼルダの伝説 夢をみる島』のようなジャンプアクションが組み合わさっている。
細かい要素を観察すれば、『悪魔城ドラキュラ』風の武器が登場したり、『Bloodborne』のようなシステムや意匠が用意されていたりなど、著名作を参照したであろうシステムが多く散見される。とはいえ、本作は単なる懐古趣味の作品であったり、サンプリングの集合というわけではない。穴を掘って(それこそ、『ショベルナイト』のように)潜るアクションによって、敵の攻撃をその場で避けたり、くぐり抜けることができる。これが『Mina The Hollower』において最大の特徴であり、ゲームプレイの核となっている。

たかが穴堀り。されど穴掘り。基本的に2Dアクションは敵の存在がプレイヤーの進行に対する壁として機能する。平面における上下左右にしか動けないため、「敵を倒さないと先に進むことが難しい」という作りになっており、敵の攻撃射程から出たり入ったりを繰り返すことになる。その構造を踏まえてアクションが作られている。本作は潜ることで敵を通り抜けたり、その場で攻撃を回避できるため、敵を戦略的に無視するというプレイや、敵に張り付くというプレイができる。
つまり、地中という絶対に侵害されない空間が存在する都合上、敵の攻撃範囲に合わせて間合いを調整するのではなく、3Dアクションのように、プレイヤー主導で間合いが調整できる。「地面に潜って出てくる」という立体的なモーションを活用することで、「高さ」「上下階層」を意識したステージギミックを解き明かすことにもなる。
この仕様に合わせて、本作にはさまざまな武器とアクションが用意されている。5種類の武器と、消費型の攻撃アイテム。プレイヤーの操作内容に影響を与える数多くの装飾品。組み合わせによっては、攻撃速度を上げて一気にボスの体力を削り切ることもできたり、広大な攻撃範囲で殲滅戦を行うこともできる。盾を装備してパリィプレイと洒落込むのも良いだろう。『Mina The Hollower』は基本的なゲームプレイの基盤こそ、懐かしの2Dアクションではあるのだが、幹から伸びる枝葉の部分……プレイヤーに求められる思考内容が一貫して3DアクションRPGのものになっているという、独特なゲーム体験を提供する作品である。この独特な感触が本作の高評価につながっている。
作中一貫して問われ続ける、作品への主体的な態度

そして、本作のゲーム進行はすべてプレイヤーに委ねられている。アクションの仕様と同様に、プレイヤーの主体性を強調する方向性が作中を一貫している。主人公は物語において6つのダンジョンを踏破してくることを任じられるが、オープンワールド形式になっており、その攻略順は特に決まっていない(一応、推奨順をそれとなくゲームは知らせてくれる)。この仕様は『ゼルダの伝説』シリーズを参照していると予想されるが、本作は豊富なカスタマイズ要素を組み合わせることで、文字通りプレイヤーごとに異なる体験を生んでいる。リプレイ性も高い。
とは言うものの、本作の難易度もまた高い。プレイヤーの移動力が凄まじいぶん、敵もグイグイ動いて攻撃してくるため、モーションの学習は必須である。そして、ダメージを回復するにあたって、本作は敵を攻撃しないと回復ができない。攻撃を当てるほど回復アイテムの回復量が上がる仕組みだ。使うと回復量が0に戻る(言い換えると、敵に張り付いて攻撃し続ける技量があれば、ゴリ押しが効く)。多様なゲームプレイを実現するため用意された数々の装備品は、自主的に探索するなどして回収する必要があるのだが、その隠し場所へたどり着くのは至難の業だ。エリアの構造から到達ルートを推定し、ひたすら壁を叩いたり、地面に潜って隠し道を探し出す必要がある。

そこで機能するのが、多様な難易度調整システムだ。ダメージを増減するもの、ダンジョンの構造を楽な内容に改変してしまうもの、主人公を巨大化したり、視認性を悪化させるダメージエフェクトを追加するものなど、比較的自由に難易度を調整できる。「難しいゲームである」というアイデンティティを保ちつつ、それでいてプレイヤーの機嫌を損ねることなく、間口を広く取るための現代的な工夫である。
作中展開される物語内容もユニークだ。主人公は発明家。敵対するのは環境保護テロリスト。しかし、環境破壊の原因になっているのは主人公が発明した技術なのだという。主人公は本作の舞台に何をもたらしてしまったのか自覚的ではないため、プレイヤーが物語の全容を確かめるには現地民であるNPCとの積極的な交流が不可欠。彼らとの交流を通じ、徐々に内容が明らかになっていく過程がプレイヤーの当事者性を生み、主体性が問われるアクションと相まって、ゲームへの没入感を育む(なお、物語自体は分かりやすい)。そして、謎の探求という自発的な行為に対して、新しいサイドクエストが発生したり、謎解きのヒントが得られたりといった報酬が発生するのだから気持ちいい。

総じて、『Mina The Hollower』は過去の名作たちを土台にしながらも、懐かしさに留まらず、現代風に内容を深堀りすることで、高い評価を得た作品である。「穴を掘る」という『ショベルナイト』時代から続くコンセプトが、敵との間合いの取り方からマップ探索、ステージギミックの解法まで一貫して影響を及ぼし、2Dアクションをベースにしつつ、実質的には3DアクションRPGという、あまり類を観ない形式を作り上げている。
また、高難易度ながらも難易度調整システムによって間口を広く取っている点、そして環境破壊というテーマを主人公自身の問題として描く物語構造も含め、随所に現代的な目線が行き届いている。筆者としても、本作の高評価に対し、大いに納得している。今年を代表する1本になるであろう『Mina The Hollower』。高難易度なアクションゲームが好きな人も、そうではない人も、ぜひプレイしてみてほしい。
『Mina The Hollower』は、PC(Steam)/PlayStation5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに発売中だ。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


