オンラインアクションRPG『BLESS UNLEASHED PC』プレイレポ。リリースから1か月経過して見えてきた魅力と懸念点

先月7日にリリースされたオンラインアクションRPG『BLESS UNLEASHED PC』。本稿はリリース1か月を迎えた『BLESS UNLEASHED PC』の魅力的な点や人を選ぶ点、そして懸念点について改めて考えるプレイレポである。 

韓国のオンラインゲーム会社NEOWIZとその傘下であるRound8スタジオが開発したオンラインアクションRPG『BLESS UNLEASHED PC』。8月7日にリリースされた本作はアクションに特化したMMORPGとして注目され、リリースから1週間以上ものあいだ同時接続数7万前後を維持していた(関連記事)。リリース直後の賑わいが落ち着いた現在の同時接続数は3万5000から4万程度で、半数以上のユーザーが定着したとみられる。 

本作のリリースから1か月ほどが経過した現在ではユーザーからの意見も多く蓄積され、評価されている点や問題点が明らかになってきた。筆者も実際にプレイしたが、『BLESS UNLEASHED PC』は尖った部分も多く、人によって向き不向きが分かれる作品のように感じられた。本稿はリリース1か月を迎えた『BLESS UNLEASHED PC』の魅力的な点や人を選ぶ点、そして懸念点について改めて考えるプレイレポである。 
 

アクション性の高いバトルはゲームパッドとの相性 

筆者はPCゲームを遊ぶ際、キーボード&マウスでのプレイとゲームパッドでのプレイを使い分けている。本作はDUALSHOCK 4にてプレイしているが、アクション性の高いバトルをストレスなく楽しむことができている。直感的に操作できるコンボシステムはわかりやすく、それでいて単調というわけでもなく、ちょうどいい塩梅に落とし込まれている。本作はもともと北米・ヨーロッパ向けに2020年3月にXbox Oneで発売された『BLESS UNLEASHED』をベースに、PC向けに展開したものである。ベースがコンシューマー向けタイトルだったため、ゲームパッドでのプレイに最適化されていたのだろう。キーボードでもプレイしてみたが、ゲームパッドの快適さにはかなわなかった。 

本作のバトルは回避を駆使しながら敵に攻撃コンボを当てていくシステムで、かなりアクションに寄っている。バトル中は回避に攻撃にと気が抜けない場面も多く、特にボス戦では緊張感のある戦闘を楽しむことができる。逆に言えば、MMORPGでは戦闘は二の次で、のんびりと生活を楽しみたいプレイヤーには『BLESS UNLEASHED PC』はあまり合わないかもしれない。本作にも採集や製作、ハウジングなどひととおりの生活コンテンツは実装されているものの、全体のボリュームとしてはバトルコンテンツに重きを置かれているからだ。 

また、アクションが苦手で自分が本作のバトルについていけるかどうか不安な方は、インストール後のチュートリアルでひととおりの操作は体験できる。本作は基本プレイ無料で、チュートリアルも10分程度で終わる。プレイ開始のハードルは低いため、気になる方はまず触ってみてはいかがだろうか。 
 

 

フィールドボスには「MMORPGの楽しさ」が詰まっている 

本作では、フィールド上に大型のボスが出現し、周辺のプレイヤーと協力して討伐することでさまざまな報酬を獲得することができる。大型ボスは序盤で訪れることになるエリアにも出現し、ゲームプレイ開始からさほど時間をかけずに体験することが可能である。この大型ボスとのバトルには、MMORPGの楽しい部分が詰め込まれていると感じた。楽しい部分を具体的に言い換えるなら、フィールド上という誰でも集まれる場所を舞台に大人数で戦うという、ある種のお祭り感である。 

本作ではプレイヤーのレベルに応じて敵のパラメータに補正がかかるため、レベル差があるプレイヤー同士でも一緒にボスに挑むことができる。「自分は弱すぎて足手まといになるのでは」「自分は強すぎて初心者の楽しみを奪ってしまうのでは」などと憂慮する必要はない。レベルによる補正以外にも、他人が戦っている敵を横から攻撃しても双方にデメリットがないなど、プレイヤー同士の諍いがなるべく発生しないような配慮がなされている。プレイヤー全員がフィールド上で気持ちよく戦えるよう、想定される懸念点が可能な限り排除されているのだ。 

大型ボスとの戦いでは細々とした対人ストレスもなく、敵の派手な攻撃を回避しながらワイワイと戦うことができる。蘇生はどの職業でも可能なため、敵の攻撃にあえなく倒れてしまったとしても大抵の場合誰かが起こしてくれる。知らないプレイヤーと力を合わせて大きな敵に立ち向かうのが好きな方には、本作は胸を張っておすすめできるタイトルだ。 
 

 

日本のコミュニティで遊ぶことはできるのか 

海外産のMMORPGではしばしば「日本向けサーバーにキャラクターを作成したのに日本のコミュニティがない」という問題が起こる。本作にも日本向けサーバーが開設されているが、日本人あるいは日本語を理解するプレイヤーと出会うことができるのか、気になる方もいるかもしれない。結論から言えば、リリースから1か月経過した現在でも日本サーバー内では日本語チャットが飛び交っているし、日本人向けのギルド募集もおこなわれている。オープンチャットでは日本語で質問や雑談が交わされており、日本語でコミュニケーションを取ったり、日本人のコミュニティに所属したりするのはそう難しいことではないだろう。 

チャット面で気になる点としては、RMT関係の宣伝をおこなうスパムアカウントが散見されることだ。ゲームをプレイしていると、チャット欄にRMT宣伝の文言が頻繁に流れてくるのである。本作はRMT行為を規約で禁じており、運営サイドもRMT業者の存在を認識して対処している旨は発表されている。しかし現状はログインしてからロードが終わるまでの数分間にRMT関連のチャットが複数件流れてくるような状態で、とても運営の対処が追いついているとは言いがたい。プレイヤー側でブロックすることもできるが、運営側にはさらなるフィルタリング強化を期待したい。 
 

ストーリーは王道だが、会話UIに難あり 

『BLESS UNLEASHED PC』のストーリーは、王道のダークファンタジーといえる。かつてとある魔術師たちが災厄を招いた世界は、長い年月を経て復興し、荒廃した大地も回復してきていた。そんな折、街で平和に暮らしていた主人公(プレイヤー)は、友人に誘われて参加した祝祭で魔物の襲撃に巻き込まれる。なんとか生き延びた主人公は、世界に再び訪れようとしている災厄に直面し、やがて大きな戦いへと身を投じることとなる……というのがおおまかなあらすじである。 

物語の内容としては、特に序盤は地味なクエストが多い。アイテムを都市に運んでくれ、建物の中にチラシを貼ってくれ、というような雑用クエストも多い。とはいえ、MMORPGという運営型のゲームでシナリオを構成するのであれば、物語序盤から血湧き肉躍る感動的なシナリオを展開するのは至難の業といえよう。運営形態を鑑みれば『BLESS UNLEASHED PC』のシナリオについて評価するのは時期尚早ではないかと考える。 

問題点はむしろ、物語への没入感の低さである。Steamのレビューにもあり、筆者が感じたことでもあるのだが、本作の物語は頭になかなか入ってこない。シナリオの内容が難しいわけでも、ローカライズの品質が低いわけでもないのになぜこのようなことになるのだろうか。筆者が考えるに、原因は会話UIの見づらさにあるのではないかと思う。
 

 
画像のように、本作の会話UIは下部に相手のセリフがあり、セリフのテキストボックスの右上に主人公の相槌が置かれている。つまり、会話の際は下部、右上、下部、右上と視線を移動させることとなる。一般的に横書きの文章を読ませたい場合、視線をZ字に移動するように誘導するのがストレスなく情報を処理できるデザインとされる。画面中央に主人公のセリフを出す作品もあるが、その場合は会話イベントの要所でのみ主人公が発言する形式を取っていることが多い。本作の会話は主人公と相手のキャッチボールで読み進める必要があり、頻繁に視線の移動が必要となる。しかも、一般的なプレイヤーが横書きの文章を読むのに慣れ親しんだ視線の動きから外れた形式で、だ。ここにストレスが生じ、会話の理解に時間を要するのではないだろうか。 

リリース直後ということもあり、シナリオについて評価するのは早すぎると述べた。しかし、会話UIは今後も物語を読み進めるなかでずっと付き合わなければならないものだ。今後のシナリオがどれほど感動的に展開していっても、読みづらさが評価の足かせとなりかねない。何らかの調整を望みたい部分である。 
 

職業バランスにおける懸念 

バトルスタイルに幅のあるタイトルの宿命ともいえるが、コミュニティ内でもっとも不満が多いのは職業格差についてだろう。本作にはタンクであるガーディアン、ヒーラーであるプリースト、近接火力職であるバーサーカー、遠隔火力職であるレンジャーとメイジの5つの職業が実装されているが、この5つのバランスが取れているとは言いがたい。前述した通常フィールドでのバトルは参加人数に制限がないため好きな職業で楽しむことができるが、参加人数に制限があるマッチングダンジョンでは状況が変わってくるからだ。 

現状はガーディアンとバーサーカーの2職はやや不遇で、プリーストはコンテンツに応じて需要があり、レンジャーとメイジの2職が強いといった認識が浸透しているようだ。本作ではダンジョンへのマッチングにロールの縛りはなく、ダンジョンのギミックに火力チェックがある場合もあるため、火力が低くなりがちなガーディアンやバーサーカー、プリーストは敬遠される傾向がある。実際、高いレベルのダンジョンでは、職業を指定したパーティーの募集を見かけることが多い。 

ガーディアンについては、敵の攻撃にランダムターゲットのものや即死技が多いことから、防御力が高いことがメリットとして働きにくいのが問題のようだ。また、本作ではバトルシステム上、敵の攻撃を避けるために自身の攻撃射程外に移動を強いられることも多い。必然的に近接攻撃職であるガーディアンとバーサーカーは手数が減り、火力に貢献しにくい。近接火力職を謳うならばバーサーカーは遠隔職よりも一撃を重くしてバランスを取る必要を感じるが、レンジャーとメイジには火力が及ばないのが現状だ。 

プリーストは、回復が必要なほど敵の攻撃の熾烈なダンジョンでは採用されることもあり、前述の2職業ほど不遇ではなさそうだ。しかし、回復スキルにはクールダウンがあるため使い勝手はあまり良くない。筆者の知人がプリーストでプレイしていたが、「職業を指定されておりダンジョンの募集に入れないことが多い。回復面はヒーラーがやらずとも各々がポーションを飲めばよく、自分の存在意義を感じられない」という意見を漏らしていた。 

現状は職業そのものの個性を活かせておらず、レンジャーとメイジの2職以外は攻略に参加しにくい状況となっている。本作には「ブレスシステム」と呼ばれるビルド要素もあり、火力やサポートに寄せることでキャラクターのバトルスタイルに個性を出すことはできる。しかし、職業そのもののロール要素が淡白な現状では火力のみが重視される傾向にあり、ガーディアンは防御力の高い火力職、ヒーラーは回復ができる火力職とみなされるような火力職化が進み、逆に職業の個性がなくなってしまっているように感じられる。今後、それぞれの職業らしさが輝くようなバトルコンテンツの実装や、バランス調整がなされていくことに期待したい。 
 

 
以上、8月6日にリリースされたオンラインアクションRPG『BLESS UNLEASHED PC』の、サービス開始1か月後の状況をレポートさせていただいた。UIやマッチングダンジョンの職業バランス調整にやや難があるものの、アクション性の高いバトルには光るものがあるタイトルである。基本プレイ無料という敷居の低い作品のため、気になった方にはぜひプレイしていただきたい。 

また、9月16日には大型アップデートが実施され、初のコンテンツ追加が行われている。追加されたのは、フィールドボス「突然変異クイーン・スパイダー」(基本レベル42)とタイムダンジョン「ニグラトゥリス-悪の深淵」(入場レベル35)だ。いずれも高レベル帯のプレイヤー向けのコンテンツで、歯ごたえのある戦闘が楽しめるようだ。 

『BLESS UNLEASHED PC』はPC(Steam)にて配信中だ。 

Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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