“原稿用紙の中”を走るメトロイドヴァニア『Chronoscript(クロノスクリプト)』は、演出がとにかく豪奢で贅沢。2Dの迷宮と3Dの洋館から成る、超緻密アートの中を旅してきた

超豪奢メトロイドヴァニア『Chronoscript(クロノスクリプト)』の試遊レポートをお届けする。

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Chronoscript: The Endless End』は2D・3D両方の次元を跨ぎながら展開される探索型アクションアドベンチャーゲームだ。主人公であるフレドリック・G・ミュラーは寡黙な編集者。依頼を受けて怪しげな洋館にたどり着いたところで意識を喪失、次に気がつくと遠大な物語の書かれた原稿用紙の中に囚われていた。複雑に絡み合うダンジョンと化した物語世界で、「なれの果て」と呼ばれる異形の怪物たちと対峙しながらアビリティを獲得し探索を進め、依頼された物語の“校正”を進めていくこととなる。

本作は、現在8月26日よりドイツ・ケルンにて開催中の大規模ゲームイベント「gamescom」内・集英社ゲームズのブースにて、世界初となる試遊出展をおこなっている。本稿ではこの試遊版のプレイレポートをお届けする。

圧倒的な描き込みの手描きグラフィック

本作はいわゆるメトロイドヴァニアで、ひと連なりとなっている巨大な2Dダンジョンを探索することで物語が進行する。独特なビジュアル表現が特徴で、ダンジョンである“原稿用紙”の外側の世界を描く際には3Dが用いられるという、多面的な空間表現をとっている。今回の試遊版では2Dのダンジョン探索パートがメインで3D部分はあまり深くまで触れられなかったが、吸血鬼や洋館など中世風の情感たっぷりな雰囲気には大変惹きつけられ、プレイを開始した瞬間から一旦立ち止まって背景をじっくり眺めたいという気持ちになった。

まず、2Dダンジョン探索における設定が面白い。主人公は千年を生きる吸血鬼が書いた物語の原稿の中に囚われているのだ。それを表現するように背景にはたくさんの書物が詰め込まれた本棚が並んでいたり、原稿の外側にあたる部分には外の世界の書籍や羽ペンがちらちらと見え隠れしたりする。洋館内の一室に並べられた原稿用紙の中にいるという設定なので、時折原稿用紙の周囲に置かれているほかのものが視界に入ってくることもあるのだ。2D背景はどこへ行っても圧倒的な描き込み量のペン画になっていて、ダンジョンを探索するというよりまるで美術館や博物館で展示を眺めているような感覚になる。足早に通り過ぎるのがもったいない。時間に制限がなければ、もっと背景画をじっくりと眺めたかった。

ダンジョン内の部屋を進んでいくとエリア境界に原稿の次のページがぺらりとフライインしてくる表現には、仕掛け絵本をめくるような感覚も味わえた。試遊では限られた部屋しか探索できなかったが、こことは異なる雰囲気やオブジェクトの存在する広大なマップが広がっていると思うと、普段そこまでメトロイドヴァニアを遊んでいるわけではない筆者も、背景を堪能する目的で製品版を楽しみにしてしまうほどにビジュアルが魅力的だ。

マップ機能を使うと、洋館の一室に散らばる原稿用紙を俯瞰するかたちで自分の通ってきた部屋を見渡せる。
3Dの中の2D世界ということがわかりやすくて面白い。

依頼の主である吸血鬼ヴィオラ・S・チェンバースは、不死の呪いを負った執筆家だ。なぜ編集依頼先としてフレドリックを呼ぶ必要があったのか、また彼女の生きてきた千年という時間はどのようなものだったのか、校正すべき「なれの果て」とは何者か、そしてこの「終わりの続きの物語」はどこへ向かうのか――。まるでミステリーを読んでいるときのように、いくつもの疑問が浮かぶ。2Dアクションパートのメインはメトロイドヴァニアだろう。しかし、探索・マップ埋め・ボスを倒して強くなるなどの要素に加えて、謎の多いストーリーも味わい深そうだ。発売がかなり楽しみである。

不気味で物悲しい「なれの果て」たち

うずたかく積まれた本の中をずんずん進んでいくと、突き当りにていよいよボス部屋を発見。毛むくじゃらのイモムシ「愚読の司書虫」のお出ましだ。

この段階では、主人公は無敵フレームの発生する回避技を持っていないので、移動と二段ジャンプを駆使して乗り切らなければならない。まずは、相手の動きのバリエーションを観察するべく距離を取りながら様子見。パターンをひとつずつ覚えて、その次の相手の行動も鑑みたうえでの安全地帯はどこかを探っていく。相手の攻撃のパターンがわかってきたら、次はこちらが攻撃をねじ込めるタイミングはどこかを考える。こうして徐々に的確な対処法を身に着けていくところが、アクションゲームのボス戦の醍醐味だと感じる。

司書虫の突進が与える衝撃で上から本が降ってきたり、原稿用紙がガタガタと傾いたり、ついには天地がひっくり返ったりする。そうだ、ここは床やテーブルに置かれた紙の中の世界なのだ。ボス戦に集中しなければいけないのに、原稿が風に翻弄される演出に思わず見とれてしまう。

演出に目を奪われながらボス戦を続けると、体力を一定量削ったことで第二フェーズに移行したらしく、これまでにはなかった行動パターンが追加される。はじめこそ戸惑うが、ダメージを与えられる頻度は前半より上がっていることに気付き、ほどなくして討伐。“校正完了”となった。これで後述する新たなアクションを獲得できた。

今回はエクストラボスバトルチャレンジにも挑戦できるので、そちらにも挑むことにした。エクストラボス「断罪の歌劇団長」は、一言で言うと「歩くアイアンメイデン」である。そう、あの拷問器具のアイアンメイデンだ。中のトゲトゲを想像するだけで痛そうだし、危険な匂いがプンプンするのに、拷問器具の方から積極的に向かってくるなんて嫌過ぎる。

このボスバトルは回避を覚えた状態で挑めるので、司書虫のときとは若干立ち回りの方針も変わってくる。また、回数制限とクールタイムこそあるものの、離れた場所にインクを吹き出す遠距離攻撃もアンロックされているため、剣で斬りつけるしかできなかった司書虫戦に比べると行動の選択肢が多い。

間合いを測りつつ攻撃パターンを把握していく。地上での回避行動に加えてジャンプ回避も活用し、攻撃を避けると同時に次の一手にベストな場所に移動する。こちらの機動力が上がっているぶんボスの方もダイナミックな動きをしてくるので、最初のチャレンジはほとんどダメージを与えることができないまま負けてしまった。しかし、頻出攻撃はいずれもそこまで動きが速いものではないので、対処が身につくまでにそれほど時間はかからなかった。

問題は、扉を開いて走って追いかけてくるモーションだ。アイアンメイデンホールドとでも呼ぶべきこの攻撃に捕まると、当然中に閉じ込められて針のむしろとなり大ダメージを受ける。そもそも扉を開けて自分の意思で駆け寄ってくるアイアンメイデンという概念はそれだけで怖い。この攻撃が来るとわかると気持ちが焦るので、回避タイミングを誤りやすい。来るとわかっているのに避けられないので、ますます焦りが高まってしまう悪循環。この行動の発動頻度がそこまで高くないこともあり、回避すべきフレームの把握や練習にも時間がかかってしまった。とはいえ、自分が焦っているという自覚さえ持てれば、それが冷静さを取り戻す契機となる。今日の最後と決めた3回目の挑戦の中でようやく、アイアンメイデンホールドの回避に成功できるようになった。

回避率100%とはいかないまでも、一通りのモーションに対応できるようになったことで初めて第二フェーズへ移行。しかし、すぐさま大ダメージの初見モーションがやってきてあえなく死亡してしまった。とにかく悔しい。でも確実に対処法が身に着いていっているという実感は得られた。このボスを倒せば新たなアビリティも手に入るはずだ。そうなれば、次はこちらがアイアンメイデンになる番だ。必ず、製品版で一矢報いてやるつもりだ。

こぼれたインクを使ったアクションが面白い

今回プレイ可能な範囲では、オーソドックスな二段ジャンプと回避アクションを獲得できるほかに、本作の特色とも言える“インク潜り”アクションも体験することができた。これは司書虫を討伐した報酬として追加される能力だ。ダンジョンでは、床や壁に黒く染み付いているインクの中に潜って滑るように移動することができるようになる。また、インクの中から飛び出す際は、通常のジャンプよりも勢い良く高く跳ぶことができるので、ここに二段ジャンプを繋げればかなり高さを稼げ、機動力を底上げしてくれる。ボス戦でも床にインク溜まりが出現することがあるので、うまく活用できればアドバンテージとなるに違いない。

試遊の中で未だに惜しかったと思っているのは、「断罪の歌劇団長」……先ほどの歩くアイアンメイデン戦で、相手が床にこぼすインクをまったく活用できなかった点だ。何度か実戦の中でインクに潜ってどうなるか確認してはみたものの、インクの中にいる間無敵になれるわけではないので、普通に次の攻撃に被弾して痛い思いをするだけだった。つまり、そこはインクに潜ることが最適解となる場面ではなかったのだろう。

しかし試遊の録画を自分で見返してみると、「このタイミングでここに出現しているインクには潜るべきだったのでは!?」というアイデアが湧いてきて、その発想が攻略上正しいものかどうかを確認したくてならない。きっとほかのボスからもさまざまなアクションを授かることになり、はじめはうまく活用できなくても、ある時ハッと閃くということの連続になるのだろう。筆者はゲーム攻略する際に、PDCAを回しまくるのが大好きだ。きっと本作を製品版で遊ぶときにもそれを味わえるだろうという予感がある。

以上、『Chronoscript』の試遊レポートをお送りした。筆者としては、メトロイドヴァニアのジャンルが好きなプレイヤーや、ダーク・ゴシック風などの雰囲気が好みのプレイヤー、手描きアートスタイルのゲームが好みのプレイヤーなど、幅広い層におすすめできる作品だと感じた。無料体験版も公開されているので、気になった方は触ってみてはいかがだろうか。

Chronoscript: The Endless End』はPC(Steam)にて2026年中に配信予定だ。

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Kei Aiuchi
Kei Aiuchi

RPG、パズル、謎解きアドベンチャー、放置系などを遊びます。比較的やりこみ型。特に好きなゲームは『ルーマニア#203』

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